雇用統計・ライブセミナー(2024年2月2日(金) 18:30~21:00)
雇用統計・ライブ実践リアルトレード(2024年2月2日(金) 21:00~23:00)
更新日時:2024年2月5日 11時54分(結果を追記)
執筆日時:2024年2月1日 13時15分
執筆者 :株式会社外為どっとコム総合研究所 小野 直人
2月2日の米国雇用統計の予想と戦略「NFPの底堅さ継続も、148円定着は厳しいか」2024年2月号-By 外為どっとコム総研
目次
1.はじめに
2024年2月2日(金)、日本時間22時30分に米国で1月雇用統計が発表されます。雇用統計はアメリカの雇用情勢を調査したデータで、特に非農業部門雇用者数、NFP、失業率、時間給は金融政策を決定する際にFRBも重視する指標です。
米経済は緩やかに成長減速するソフトランディングがメインシナリオとなる中、パウエルFRB議長は「3月利下げ」をけん制しつつも、「インフレが2%に接近する確信」について「より多くのよいデータ」を求めているとの見解を示し、3月利下げも完全に排除していません。FRBは今後発表されるデータを精査しながら、慎重に利下げのタイミングを測る姿勢のようです。今回の雇用データが果たして、緩和のタイミングを遅らせる材料となるのか、それとも早める材料となるのか注目されます。
では振り返りからです。
2.前回のおさらい
・米3月利下げは五分五分
1月5日、米労働省が発表した12月の非農業部門雇用者数(NFP)は21.6万人増と、市場予想(17.0万人)を上回ったほか、失業率も3.7%と、市場予想3.8%を下回り、雇用者数の増加が続いていることが示されました。ただ、11月分のNFPが19.9万人から17.3万人、10月分のNFPが15.0万人から10.5万人へ下方修正されたほか、12月分の労働参加率も低下するなど、労働市場の過熱感は緩和傾向です。結果を受けて、米国の3月利下げ期待は、五分五分となりました。
図表1.分野別新規雇用者数(千人)※出所:米国労働省
145.07円付近で推移していた米ドル/円は、結果を受けて一時145.961円まで急騰しました。しかし、前月分のNFPの下方修正やその後に発表されたISM非製造業景況指数が50.6まで低下したことを受けて、143.802円まで下げる局面もありました。もっとも、下振れ一巡後は144円後半へ戻すなど概ね底堅く推移しました。また、株式市場は金利が上昇したことで売りが先行したものの、米国のソフトランディング期待から買い戻されて、ダウ平均株価は25.77ドル高い37466.11ドルで越週しました。
図表2.前回発表前後のドル円の動き
米ドル/円 30分足
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
3.今回の見どころ
・1月は市場予想を上回る傾向も
・賃金インフレは後退
米労働市場においては、労働省が公表する雇用動態調査(JOLTS)の求人件数が2022年をピークに減少を示すなど、過熱感は徐々に後退しています。ヘルスケアと政府部門の雇用が底堅さを示している点で足許の減速ペースは限られると考えますが、大幅な財政赤字を抱える中で政府部門の雇用拡大だけが続くとの見方も難しいです。今後、政府部門の雇用者数が限定されることで、雇用拡大ペースはさらに減速していくのではないでしょうか。1月の雇用統計も労働市場の緩やかな鈍化トレンドは維持されるのではないでしょうか。
図表3.JOLTS求人件数とNFPの推移
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
図表4.産業別の雇用者数増減
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
ただ、1月は少し他の月とは違う特殊な事情がある点には注意が必要です。下の表は、NFPについて2014年からの1月分だけの市場予想、季節調整後の雇用者数の増減、季節調整前の雇用者数の増減を比較した表です。これを見ると実際の雇用者が大きく減少しているものの、季節調整後の数字はかなり好調な結果が示されている感じです。つまり、1月は季節調整の影響でかなり数字が押し上げられやすい側面があるのかもしれません。悪天候の影響も懸念されて楽観的にはなり切れませんが、悲観的なほど悪くない結果に落ち着くのではないでしょうか。
図表5.1月の雇用者増減
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
かたや時間給は頭打ち傾向が鮮明です。時間給の前年比の伸び率の平均を見ると、雇用者数と同様に2022年をピークに伸びが抑えられている様子が分かります。3大自動車メーカーの賃金増加から賃金の伸び減速は少し後ずれしそうでが、今年中には伸びが3%台まで低下しそうなことは容易に想像がつきます。前年比の伸びが3%台へ低下して来れば、FRBの利下げスピードが加速していきそうです。以上を踏まえれば、NFPへの期待から米ドル/円は上向きに反応するのではないかと考えていますが、インフレ圧力緩和からリスクオンの株高で米ドルの上値も抑えられそうなため、米ドル円の上値も限定されるのではないでしょうか。発射台次第ですが148円回復を試しながらも、次第に上値が重くなるのではないかと考えています。
図表6.時間給の伸び
出所:各種調査機関のデータを基に外為どっとコム総研作成
図表7.ドル円チャート
米ドル/円 8時間
出所:外為どっとコム「ネオチャート」
図表5.[雇用統計の実績と予想]
年月 | 非農業雇用者数変化(万人) | 失業率(%) | ||
予想値 | 初回結果 | 予想値 | 初回結果 | |
2024年01月 | 17.8 | 35.3 | 3.8 | 3.7 |
2023年12月 | 17.0 | 21.6 | 3.8 | 3.7 |
2023年11月 | 18.0 | 19.9 | 3.9 | 3.7 |
2023年10月 | 18.0 | 15.0 | 3.8 | 3.9 |
2023年09月 | 17.0 | 33.6 | 3.7 | 3.8 |
2023年08月 | 17.0 | 18.7 | 3.5 | 3.8 |
年月 | 平均時給/前月比(%) | 労働参加率(%) | |
予想値 | 初回結果 | 初回結果 | |
2024年01月 | 0.3 | 0.6 | 62.5 |
2023年12月 | 0.3 | 0.4 | 62.5 |
2023年11月 | 0.3 | 0.4 | 62.8 |
2023年10月 | 0.3 | 0.2 | 62.7 |
2023年09月 | 0.3 | 0.2 | 62.8 |
2023年08月 | 0.3 | 0.2 | 62.6 |
◇関連の経済データ実績
年月 | ISM製造業雇用指数 | ISM非製造業雇用指数 |
2024年01月 | 47.1 | - |
2023年12月 | 48.1 | 43.3 |
2023年11月 | 45.8 | 50.7 |
2023年10月 | 46.8 | 50.2 |
2023年09月 | 51.2 | 53.4 |
2023年08月 | 48.5 | 54.7 |
出所:Bloomberg、外為どっとコム「経済指標カレンダー」
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