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最新動画は【外為マーケットビュー】で公開しています。
動画配信期間:2024/1/5~2024/1/19
外為市場に長年携わってきたコメンテータが、その日の相場見通しや今後のマーケット展望を解説します。
目次
0:00 新年ご挨拶
0:24 2024年相場見通し 米大統領選
3:09 1~3月に相場を決定づける出来事が多い
5:51 米利下げのコンセンサス
7:53 2024年の経済見通しは強気派が多数
8:43 ドル円振り返り
9:31 FOMC議事要旨を点検
11:05 米雇用統計の注目点
12:09 ドル円見通し
13:07 【PR】口座開設特別キャンペーン
要約
2024年相場見通し 米大統領選
今年の相場なんですけれども、個人的に思うのは、積極的に予想したくない1年になりそうだなということです。
まず、今年はコンセンサスが割と揃っております。アメリカの金利が低下し、その結果、株高になるんじゃないか。それからドル安になるんじゃないか、というコンセンサスがあります。ただ、マーケットのコンセンサスというものは、得てして外れることになっております。どこがどう外れるのかっていうのはまだ予想できないんですけれども、こういうシナリオ通りに単純にはいかないんじゃないかなという予感がしております。
なぜならば、今年は政治の年になります。多くの選挙が各地で行なわれることになります。1月13日に台湾で選挙があります。これがまず大きな選挙になります。その後も多くの国で選挙があるんですけども、やはり最も大きいのがアメリカの大統領選挙が行われるということです。現状の支持率を見ますと、トランプ大統領の復活が結構高い確率でありそうに見えます。トランプ大統領になりますと、かなりの方向転換になると思われるので、世界は激動になるんじゃないかなと思います。
今、多くの国で戦争が起こっております。一つはウクライナ、そして一つはガザでイスラエルが侵攻しております。このウクライナにおける戦争は、プーチンが戦争終結に同意するかどうか、プーチンの意向次第のところがあります。プーチンは今年トランプさんが大統領に再選することを願っていると思います。同時に、イスラエルの首相であるネタニヤフ首相も、トランプさんが再選することを願っていると思います。ということは、できるだけバイデン大統領の足を引っ張る方向にネタニヤフ首相が動く可能性があるんじゃないかと思います。戦乱が拡大し、中東情勢が混乱すればするほど、トランプ大統領当選の確率が高まるんじゃないかなっていう感じがしております。
こういうこともあり、今年はあえて予想したくないような年になると思います。
1~3月に相場を決定づける出来事が多い
年初1月~3月の早い時期に、その年の相場を決定するような大きな事件・大きな出来事が起きやすいという、なぜか分からないんですけども毎年そういうアノマリーのようなものがあります。
2020年にはコロナが年初ありました。これでマーケットは激動になったわけです。
2021年は、米大統領選挙でバイデン大統領になったんですけれども、議会の支配がどうなるのかというのが少し不明なところがありました。上院の補欠選挙で共和党が負けて民主党が勝利し、トリプルブルーということになって、民主党主導の政治が力強く行なわれることになりました。その結果、非常に巨額のコロナ支援の経済対策が打たれまして、それがインフレの元になったということがあります。トリプルブルーが決まった瞬間にドルが強くなったのは記憶に新しいところです。
2022年はロシアがウクライナに侵攻しました。これが2月24日のことです。
2023年は2月に発表になった米雇用統計が非常に強い数字だった。アメリカ経済はリセッションに入ると思われていたんですが、「実は強いぞ」ということで、全てのシナリオはひっくり返ってしまいました。その少し前までは、1月のFOMCでパウエル議長が「ディスインフレーション」っていう言葉まで使って、「もしかしたら金利が下がるんじゃないか」、「これ以上、金利は上がらないんじゃないか」とか、「インフレは収まるんじゃないか」っていう見通しをチラっと言ってたんですけれども、57.1万人という米雇用統計の数字が出て、これで一気にひっくり返ったわけです。
今年はどうなるのか、それはまだ見えていないんですけれども、今年も予想外の動きになるんじゃないかなという風に考えております。それが、予想せざるリセッションなのか、それとも予想せざる「やっぱりアメリカ経済強いぞ」っていう数字が出てくるのか。これで、全然変わってくると思います。
米利下げのコンセンサス
今マーケットを決めているのは、「アメリカが恐らく利下げするだろう」っていうコンセンサスです。3月に利下げするのか、6月に利下げするのかというところで意見が割れてるところなんですが、かなり3月利下げが勢いを増しております。多くの金融機関が、3月利下げスタート、そして年内5回とか、極端なところでは2.25%利下げというような、すごい利下げを織り込んでる金融機関も一部にはあります。それは、完全にアメリカがリセッションに陥るっていうシナリオです。ただ、現状を見ているとそういう風になるとはとても思えませんね。どうなるんでしょうか。
この3月利下げか、6月利下げか、ここで相場が変わってくると思います。6月利下げ、つまりアメリカ経済が強いということになると、ドルが落ちるっていうシナリオは修正を迫られることになるんじゃないかなと思います。また、3月に本当に利下げして、順調に利下げするような経済環境になるとすれば、それが経済成長を伴いながらの利下げであれば、うまくアメリカ経済はマネージされているということで、これはこれでまたアメリカ経済に対するコンフィデンスが高まるんじゃないかなと思います。
ところが、予期せざるリセッションでアメリカ経済を支えるために、後追い的に利下げっていうことになると、株価は急落し、米経済もそのうちリセッションに落ちるという最悪のシナリオになってしまいます。こうしたところが、ちょっと読めないなっていうのが正直なところであります。
2024年の経済見通しは強気派が多数
経営者の方々の今年の相場、今年の経済見通しはことごとく強気です。日経平均については3万9000円とか4万円という予想がぽんぽん出てきます。これは、NISAが始まるからっていうところもあるのかもしれないですが、経営者の方々が日本経済に対して非常に自信を持っていらっしゃる。これはすごくいいことだなと思うんですけれども、ただその見通しが本当に正しいのかどうかっていうところで、私自身は不安があるところではあります。
ドル円振り返り
年初でドルが反発しております。
【ドル/円(USD/JPY) 5分足チャート】※2024年1月5日11:00頃
最新の為替チャート|ドル/円(USDJPY)|5分足」はこちら
同時にアメリカの株価が下落しています。これは、アメリカの金利が上がったからなんですけれども、2023年12月の相場はアメリカの金利が低下して株高になって、ドル安になるという相場でした。それの調整と言えば調整ですし、その反対の動きが起こっているところです。2023年の終わりにちょっと織り込み過ぎたんじゃないかなっていうところもあるんですけれども、もしかしたらこれが新しい相場かもしれないっていう懸念もあります。
FOMC議事要旨を点検
FOMC議事要旨が水曜日に発表されて、極めてニュートラルな内容だったなと思います。議事要旨っていうのはFOMCで話し合われたことのまとめにはなるんですが、ちょっと時間があって編集されています。ですから、現時点のパウエルFRB議長の考えとか、全体の考えとか、微妙に味付けが変わってるはずなんですね。それなのに、非常にニュートラルになってるってことは、基本的に経済は強い、けれども恐らく引き締めしすぎを警戒して利下げをしていかない、でもコンセンサスはあまりない、っていうところなんだと思います。利下げは進むんでしょうけれども、アメリカ経済は強めの数字がしばらくは続きそうなので、すぐにドルが下がるっていう感じにもならないのかもしれません。
米雇用統計の注目点
ADP雇用統計がちょっと強めの数字でした。それから、新規失業保険申請件数も強めの数字でした。
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そういうことを考えると、本日の雇用統計はちょっと強めになるんじゃないかなと思ってます。予想は、非農業部門雇用者数は前回19.9万人だったんですが、17万人ということになっております。失業率は3.7%だったんですが、若干上昇する3.8%になっております。問題になるのは平均時給なんですけども、ここは落ち着いた数字で前月比0.3%、前年比3.9%。このところよく見てるような数字になります。
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この数字であれば、あまりマーケットは動かないんじゃないかなっていうところなんですけども、予想よりも少しでも強い数字が出てくると、ドルが強いのかなっていうところになります。
ドル円見通し
今年いずれ金利が下がるのであれば、145円近辺っていうのは売り場になるのかなっていう可能性もあるんですけれども、あまり自信を持って言えないところじゃないかなと思っております。アメリカの10年金利は4%近辺まで戻ってきておりますが、多分4.2%ぐらいまでしか戻れないんじゃないかなと思っております。それを考えると、もう一段ドルが上がる可能性は否定できないんですが、146円とか147円ぐらいのところがせいぜいで、一気にこの局面で150円っていうのも考えにくいなとは思ってはおります。
今年は非常に難しい年になるんじゃないかなと考えております。
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慶應義塾経済学部卒。1988年ー1995年ゴールドマン・サックス、2006-2008年ドイツ証券等、大手金融機関にてプロップトレーダーを歴任、その後香港にてマクロヘッジファンドマネージャー。独立した後も、世界各地の有力トレーダーと交流があり、現在も現役トレーダーとして活躍。
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