主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年12月28日8時30分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼27日(水)の為替相場
(1):日銀 慎重な姿勢を維持
(2):日銀 国債買入れ計画を修正
(3):植田日銀総裁 「来年に期待」
(4):欧州通貨が対ドルで上昇
(5):米5年債入札は好調に消化
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:テクニカルのポイントを意識/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
27日(水)の為替相場
期間:27日(水)午前7時10分~28日(木)午前6時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):日銀 慎重な姿勢を維持
日銀は12月の金融政策決定会合の「主な意見」を公表。「2%の『物価安定の目標』の持続的・安定的な実現の確度はさらに高まってきており、金融正常化のタイミングは近付いてる」との主張が見られたものの、「金融緩和の継続を通じて賃上げのモメンタムを支えることが重要である」「現在、慌てて利上げしないと、ビハインド・ザ・カーブになってしまう状況にはなく、少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはない」などと、早期の緩和修正に対する慎重な意見が目立った。
(2):日銀 国債買入れ計画を修正
日銀は来年1-3月期の国債買い入れ計画を発表。1回あたり買い入れ予定額のレンジ下限を引き下げた上に、長期債・超長期債の買い入れ回数を減らした。
(3):植田日銀総裁 「来年に期待」
植田日銀総裁はNHKのインタビューで「賃金・物価の好循環が見通せる状況が来年にあることを期待している」「(来年は)今年の春と同じか、それを少し上回るくらいの賃上げが決定されると望ましい」と述べた。政策転換のタイミングについては、「中小企業の賃金データが全部そろうのは、春闘の結果が出る3月よりかなり遅くなると思う」としながらも「(中小のデータが完全に出ていなくても)ある程度前もっての判断は可能だ」との認識を示した。
(4):欧州通貨が対ドルで上昇
ユーロ、ポンド、スイスフランなどの欧州通貨が対ドルで上昇。ユーロ/円やポンド/円も上昇したが、一巡後は米長期金利の低下を受けたドル/円の下落につれて反落するなど値動きは不安定だった。
(5):米5年債入札は好調に消化
米5年債入札(580億ドル)は応札倍率が前回を上回るなど好調に消化された。これを受けて米長期金利が低下幅を拡大。米10年債利回りは7月以来の3.7%台へと低下。米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測も相まって、2年債利回りは5月以来の4.25%割れとなった。
27日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:テクニカルのポイントを意識
昨日のドル/円は141円台へと反落。日銀が公表した12月会合の「主な意見」で早期の緩和修正に慎重な主張が目立ったとして142.84円前後まで上昇したものの、海外市場に入ると一転してドル売り主導で下落した。米10年債利回りが7月以来の3.7%台に低下したほか、2年債利回りは5月以来の4.2%台に低下するなど米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げを睨んだ動きが強まる中、日米金利差の縮小を背景に141.55円前後まで下落した。
ドル/円は足元で142.90円台を通る200日移動平均線が上値抵抗となっており、本日も142円台半ば以上ではテクニカル的な戻り売りが出やすいと考えられる。一方、14日安値の140.96円前後が下値ポイントとして意識されやすいことから、141.00円に近付けば押し目買いが入りそうだ。材料面ではNY市場で発表される米新規失業保険申請件数(市場予想は前週比0.5万件増の21.0万件)に注目したい。
注目の経済指標:新規失業保険申請件数
注目のイベント:米7年債入札
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
経済指標・イベントの結果について
主要な経済指標・重要イベントの結果について、最新情報は外為どっとコムサイトの「経済指標カレンダー」で確認できます。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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