執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
X(Twitter):@gaitamesk_naka
日々、為替情報発信中!
目次
豪月次CPIはコア指数に注目!RBAの政策に影響を与える可能性
先週の振り返り
先週の豪ドル/円は95.00円前後、NZドル/円は87.18円前後で週初を迎えました。週前半は原油価格の上昇などを背景に豪ドル/円は96.06円前後、NZドル/円は88.32円前後まで上昇しました。豪ドルやNZドルと同じ資源国通貨であるカナダの消費者物価指数が2カ月連続で予想を上回る加速を示したことも材料視されました。週後半は、米国の金融引き締めが長期化するとの見方から株価が大幅に下落したことや、日銀金融政策決定会合を前に円が買い戻されたことなどから、豪ドル/円は94.53円前後、NZドル/円は87.25円前後まで押し戻されました(執筆時)。
豪月次CPIはコア指数に要注意!
今週は27日に豪8月月次消費者物価指数(CPI)が発表されます。豪州のCPIは2022年12月に前年比+8.4%でピークを打ち、その後は反発する場面も見られましたが、7月には+4.9%まで低下しました。ただし、7月のインフレ低下の主要因は自動車燃料と青果物価格の下落によるものです。自動車燃料、青果物、休暇旅行を除くCPI(豪統計局のレポートを読んでも呼び方が決まっていないので、当レポートでは月次コアCPIと呼ばせてもらいます)は前月の+6.1%から+5.8%へ低下幅は小幅なものとなっています。
世界の主要国を見ると、このところの原油価格の上昇が各国のCPIにも影響を与えています。そのため、全ての項目を含んだ総合CPIはこれまでの低下から一転し反発を示した国もあります。しかし、どの国を見ても同じなのは自動車燃料等を除いたコアCPIが低下傾向を継続していたことです。
そのため、今回の豪8月月次CPIは月次コアCPIの結果に注目したいと思います。たとえ、総合のCPIが前月から反発をしたとしても、月次コアCPIが堅調に低下していることを示す結果となれば、10月のRBA理事会での追加利上げの可能性が低下することから豪ドルは売られることになりそうです。ただし、現時点で市場はRBAが追加利上げをすることはほぼなさそうだと予想しています。豪ドル売りは一時的なものになりそうです。
警戒したいのは総合CPI、月次コアCPIともに前月から反発を示した場合です。これは9月19日に発表されたカナダの8月CPIが同様のパターンでした。市場ではカナダ中銀の利上げサイクルは終了したという見方が大勢を占めていましたが、カナダ8月CPIの強い結果を受けて「最低でもあと1回の利上げがありそう」との見方に変化しました。豪8月CPIで総合CPI、月次コアCPIともに上振れた場合には要注意です。
中国の景況感は?
来週は30日に中国国家統計局が集計、発表する中国9月製造業購買担当者景気指数(PMI)と中国9月非製造業PMIが、10月1日に中国9月財新製造業PMIと9月財新サービス業PMIが発表されます。中国では8月から数々の景気刺激策が発せられています。その甲斐もあり、8月は中国製造業PMIが49.7まで回復し好不況の境目となる50.0間近となりました(財新は51.0)。政府の支援策により中国の製造業が好況に転じられるか注目です。他方でサービス業(非製造業)は50.0を上回っているものの、低下基調となっています。政府の支援策が下支えとなるのか注目しましょう。ただし、どちらの指標も土日に発表される予定なので豪ドル相場への影響は翌週になります。
※経済指標カレンダーによっては、9月29日に中国9月財新製造業PMIと9月財新サービス業PMIが発表される予定となっていますが、10月1日に変更されたようです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は一旦上値が抑えられてしまいましたが、8月半ばから始まった上昇トレンドは継続しているとみています。目先の下値目途は一目均衡表の基準線や雲下限となりそうです。一方上値は9月20日高値の96.06円前後や7月5日高値の96.83円前後が目先のレジスタンスとなります。その上の水準では6月19日高値の97.68円前後が意識されそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表】
予想レンジ:AUD/JPY:93.00-97.50、NZD/JPY:86.00-89.50
9/25 週のイベント:
09/27 (水) 10:30 豪 8月消費者物価指数(CPI)
09/28 (木) 09:00 NZ 9月ANZ企業信頼感
09/28 (木) 10:30 豪 8月小売売上高
09/30 (土) 10:30 中国 9月製造業購買担当者景気指数(PMI)
09/30 (土) 10:30 中国 9月非製造業購買担当者景気指数(PMI)
10/01 (日) 10:45 中国 9月財新製造業購買担当者景気指数(PMI)
10/01 (日) 10:45 中国 9月財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)
一言コメント:
夜になると涼しくなり、過ごしやすい日が増えてきました。私も寝る際はエアコンを付けない日が増えています。気になるのは、私のいびきが近所迷惑にならないか?といったところでしょうか。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。