総括
FX「経済指標改善と中国の電力問題支援で上昇」南アランド見通し
「通貨10位、株価16位」
「予想レンジ 南アランド円7.6-8.1」
(ポイント)
*円を抜いて年初来10位へ浮上
*直近の経済指標改善
*7月の消費者物価は前年比4.7%上昇
*9月政策金利は据え置きか
*中国による電力支援進展
*BRICSサミットを開催
*対中、対露が親密となれば、対米は?
*今週は7月卸売物価と8月アブサ製造業PMIの発表。来週は2Q・GDPの発表
*今年は波乱万丈、月間最強3回、最弱4回も年初来では10位と弱い
*難題(停電、グレーリスト入り、中国・ロシアへの接近で対米関係悪化)残る
*AGOA法、継続なるか
*成長見通しは微増、インフレ見通しは微減
*インフレ鈍化で政策金利据え置き
*南アの最大貿易相手国は輸出入ともに中国
(円を抜いて年初来10位へ浮上)
ボリバン2σ下限から雲に沿い上昇。直近の経済指標も改善した。6月小売売上は前月比で0.2%増(前月0.9%減)、6月住宅建設許可は前年比で10.8%増(前月12%減)、6月景気先行指数は0.1%減(前月1.7%減)でランドを支えた。ランドは円を抜いて12通貨中10位に上昇した。
(消費者物価は落ち着く)
7月の消費者物価は前年比4.7%上昇した。伸びは6月の5.4%から鈍化し、予想の5.0%を下回った。前月比では0.9%上昇、予想は1.1%上昇だった。インフレ率は今年6月、2022年4月以降で初めて中銀目標(3-6%)レンジ内に収まった。
(中国による電力支援進展)
電力問題の改善も見られた。中国は1億6,700万ランド相当の非常用電力設備を南アに寄付した後、今度はエネルギー危機に対処するための補助金として5億ランドを利用できるように約束した。ラモクゴパ電力大臣は先週、中国の企業5社と協力覚書に署名した。ラモクゴパ大臣は、南ア国民の電気料金の上昇を招かない解決策を見つけたいと述べている。
(BRICSサミットを開催)
南アで開催されたBRICSサミットでは、グループが拡大することとなった。6カ国の加盟を決定。ラマポーザ大統領によると、アルゼンチン、エジプト、イラン、エチオピア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が2024年1月1日に加わる。サウジのファイサル外相は、「新たな発展と経済的機会を創出し、われわれの関係を望ましい水準に高めるためにこの協力を発展させていきたい」と語った。
(対中、対露が親密となれば、対米は?)
一方、BRICSサミットで南アとウクライナを侵略しているロシアとの関係が深まれば、米国が南アに供与している貿易での免税などに影響がでる可能性もある。南アの対米輸出は中国に次いで2位のシェアがある。
(今週、来週の指標)
今週は7月卸売物価と8月アブサ製造業PMIの発表。来週は2Q・GDPの発表だが減速の予想だ。このところ赤字が続く経常収支の発表や3Q消費者信頼感指数の発表がある。
テクニカル分析(ランド/円)
雲に沿って上昇。年初来では円を抜く
日足、雲に沿って上昇継続。ボリバン2σ上限に近い。上向きの5日線が20日線を上抜く。7月31日-8月25日の下降ラインが上値抵抗。8月22日-25日の上昇ラインがサポート。
週足、ボリバン2σ上限から反落も中位で切り返す。雲中へ。8月14日週-21日週の上昇ラインがサポート。7月31日週-8月21日週の下降ラインが上値抵抗。。5週線下向き、20週線上向き。
月足、6月、7月は陽線も8月は陰線スタート。ただ大きく戻してきた。5月-6月の上昇ラインがサポート。22年11月-23年7月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線は上向き。
年足、今年は円とデッドヒートを繰り返す、8月はまたもや陽転。20年-22年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
9月の政策金利は据え置きか
南ア中銀は政策金利を年内いっぱい据え置く公算が大きい。来年に入ると物価の落ち着きに伴って利下げが始まるとみられている。
9月の次回会合で政策金利は8.25%に維持されると予想。 一方来年は1月ないし3月に政策金利が0.25%引き下げられ、その後四半期ごとに0.25%の利下げがある、というのがコンセンサス。
物価上昇率の鈍化と、政策金利が横ばいから低下基調になりそうなことは家計にとってプラスとなるものの、気候変動やエルニーニョ現象のせいで消費者物価指数構成品目のウエートとして最大の食品価格に上振れリスクがあるという。
南アの物価上昇率は今年平均が5.9%、来年平均が4.9%、2025年平均が4.6%になると予想されている。 今年の成長率は0.3%、来年は1.2%との見通しが示された。
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