兼業トレーダーF氏は日々のトレードで「1銭刻みに逆指値エントリーして相場が5銭動いたら利確」というやり方で着実に利益を獲得してきました。『欲ばらない』気持ちがFX投資では大事」というF氏ですが、どのように損切りしているのでしょうか。そして、大きな損を出してしまったときは、どのようにメンタルをコントロールしているのでしょうか。さらに詳しくトレード手法を伺うとともに、利益目標の設定や将来について語っていただきました。
ハンドルネーム :F氏
年齢・性別 :60代男性
職業 :自営業(兼業トレーダー)
FX歴 :約12年
トレードスタイル:スイングトレード(中・長期保有)
投資商品 :株式、不動産
運用成績 :2023年6月〜7月の約2ヵ月で1,900万円超えの利益(外為どっとコムの口座のみ)
趣味 :特になし
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▼目次
1.ストップ注文は利幅の2倍まで我慢
2.5銭上昇で1万通貨を買い増す口座
3.ニューヨーク市場のクローズで毎朝スタート
4.FX投資の魅力は?!
5.バブル天井で買った株には魅力がない
6.おいしい料理でメンタルコントロール
7.投資は予備資金を別管理で用意
ストップ注文は利幅の2倍まで我慢
編集部:- Fさんに楽しくFX投資をしていただけることが分かって、とてもうれしいです。ちょっと話を戻すと、1銭ごとに逆指値注文を入れて、5銭で利確というお話でした。ストップ注文はどうされていますか?
F氏:- 10銭でストップですね。
編集部:- それが損切りのルールなのですね?
F氏:- 「1万円で利確、マイナス2万円までは我慢」って思っていますから。だから、利確する倍の値幅でストップを入れています。
編集部:- 初心者の方に多いのは、せっかくご自身のルールを決めていたのに「最終的に守れずに、損切りできなかった」なんていう話を聞くのですが、Fさんはいかがですか?ルールは守れていますか?
F氏:- 私は基本的に変えないですが、唯一、ルールに従わないことがあるんです。
編集部:- ぜひ教えてください。
F氏:- 普段は今お伝えしたルールに従って、買ったり、売ったりしているんですが、複数社の口座を活用している中で、特定の口座だけは買い続けっぱなしにしています。
5銭上昇で1万通貨を買い増す口座
編集部:- 買いっぱなしですか?
F氏:- はい。ある値幅まで動いたら買い増ししていきます。そして、ある程度増えたところで売却します。レートが大きく動いたときでも、有効比率が下がらないように、かなりの資金を入れた状態で安定運用させているんです。
編集部:- ひとつの業者の口座だけはそういう運用をされているのですね?
F氏:- そうです。今回ドル/円相場が下がりましたけれど(取材時2023年7月17日)、そのまま持ち越しにしておきました。
編集部:- 口座を維持できるように資金を多めに入れてあるから、安定運用できると?
F氏:- 世の中の人たちが「相場は上がっていくだろう」と言っているときは、5銭刻みで1万通貨ずつ買い増していくんです。長期トレンドが変化した!?と世間が言ったら、その時のタイムラグの多少の損は覚悟した上で売却するんです。
編集部:- なるほど、ただ5銭刻みで買い増しですから、結構ひんぱんに購入することになりますよね?
F氏:- そうですね。0.05円で1万通貨ですからね。ただ、その口座だけでのやり方ですよ。これは、過去の成功体験からの引きずりで、長期上昇トレンドの時だけです。
編集部:- それ以外のFX口座では、IFDやIFOを使って売買されていて、そちらが基本ということですね
F氏:- はい。基本は1万円の利益と2万円の損失で切るようにしています。「フラッシュクラッシュ」のような動き方をしたときに、強制ロスカットにあうことを防げますし、急激な下げにも有効なんです。
編集部:- 口座による使い分けはリスクヘッジができるということですね?
F氏:- そうしておかないと、以前、朝起きたら口座の資金がゼロになっていたことがあるんですよ。「これはまずい」って思いましてね。
編集部:- そういう経験から、ご自身で考えられたやり方なのですね?
F氏:- その通りです。
編集部:- Fさんは利益目標を明確に立てていますか?
F氏:- 特に決めていません。相場に合わせるといった感じですね。
ニューヨーク市場のクローズで毎朝スタート
編集部:- 1日のトレード時間はどれ位でしょうか?
F氏:- 5、6時間かな。夜はやらないんですよ。眠いからね(笑)。
編集部:- 次の日のお仕事に影響が出ますものね。相場を最初に確認するのはいつも何時頃でしょうか?
F氏:- 朝は4時半ですね。
編集部:- 早いですね。まず、チャートでレートチェックですか?
F氏:- はい、夏時間だから今は5時30分がニューヨークの終わりですよね。夜早く寝ちゃいますから、ニューヨーク市場で結構動きがありますよね。終わる前にどんな動き方をしたのかを確認したいんです。IFDでたくさん注文を出していますから、クローズする前に見ておかないと、強制ロスカットされるかもしれないので。
編集部:- 次の日の市場オープンのところはチェックしますか?
F氏:- そこはしませんね。ニューヨーク市場の終わりだけです。
編集部:- 次に見るのは何時ですか?
F氏:- 次は9時ですね。それで12時くらいまではチェックしています。
編集部:- 東京市場のオープンですね?
F氏:- そうです。東京に限らず、市場が始まった直後は動きがあると思うのでチェックします。東京なら9時半から10時過ぎまで、あとは12時半くらいかな。夜は21時に始めて22時半から23時くらいまでかな。
編集部:- ニューヨークに入るとアメリカの指標発表がありますからね。すごく健康的なサイクルでトレードされているように思います。
F氏:- いやいや、歳だからね(笑)。本当は午前3時くらいもできればいいんでしょうけれどね・・・まあFX投資は本業でもないから。
FX投資の魅力は?!
編集部:- いえいえ、普段からお仕事もされていて、お声もお若いし、とてもお元気そうです。それにしても、Fさんは「FX投資は楽しみながらやるのがいいんだ」って冒頭でおっしゃっていましたが、どういうときに楽しいと感じられますか?
F氏:- やみつき感があるところですかね(笑)。
編集部:- あはは、それはどういうことですか?
F氏:- 少しずつやると、ちょっとずつ利益が出るじゃないですか。利益が出ると、やっぱりうれしいじゃないですか。
編集部:- はい。それはその通りです。
F氏:- 繰り返し利益が出れば「うれしい」「うれしい」「またうれしい」っていう気持ちになって、多分、脳内でエンドレスにFXトレードがやりたくなるような物質が出るんじゃないかと思うんですよね(笑)。
編集部:- それは楽しくなりそうです。
F氏:- 21時30分にアメリカの経済指標が発表になるでしょ。発表の5分くらい前からレートが上がるのか、下がるのか、注文を出しておくと、結構ドキドキするじゃないですか(笑)。
編集部:- それはドキドキしますね。
F氏:- カウントダウンみたいな感じで、特に雇用統計の発表のときなんかはね・・・ドキドキするところがFX投資の私にとってはひとつの楽しみなんです。
バブル天井で買った株には魅力がない
編集部:- それにしても、投資の対象を株式からFX投資にシフトされたのは、やはり魅力があるからですか?
F氏:- 私が持っている株式は、バブルのときに買ったものがほとんどなんです。バブルが天井で、以降はずっと下がりっぱなしで、東日本大震災でさらに一段下がってしまったんですね。
編集部:- なるほど、高いときに購入された銘柄が多いのですね。でも、最近は日経平均も3万円を回復して、また上がってきています。
F氏:- バブル時の価格には届いていないんですよ。株価を見ていても、あんまり楽しくなくなってしまったんですね。
編集部:- なるほど。
F氏:- 「ちょっと利益が出るとうれしい」っていう気持ちが株にはなくなっちゃったんです。今から始める人は、日本株が少し上がってきているんで、楽しいかもしれませんけれど。
編集部:- ちょっと利益が取れて「うれしい」が連続しないとダメなのですね?
F氏:- ちょっとがいいんです。私は1万円以上の利益は望みませんから。
編集部:- ところで、FさんはFXの運用成績についてご家族にはお話しされていますか?
F氏:- しないですね。利益が出ても損失を出しても、家族にも他人にも言わないです。利益が出たからって自慢しても意味がないでしょ。
編集部:- ただ、ご家族には報告しておかないと心配されるっていうトレーダーの方も結構いらっしゃいます。
F氏:- そういう方もいらっしゃるでしょうね。ただ私は家族が生活できるくらいの収入は仕事で稼いでいます。株やFX投資はあくまでも、自分が自由にできる余裕資金でやっているんです。だからゼロになっても、まったく家族に迷惑をかけることはありませんから。
編集部:- なるほど。ところで、Fさんの取引環境を教えてください。
F氏:- モニターを3台使っています。FX口座は複数社で開設しているので、各社のアプリを開いてすべて同じように注文を出していかなきゃいけないから。
編集部:- 発注するのが結構大変そうですね?
F氏:- 0.01円間隔で注文を出しますからね。打ち込むのが忙しいですね。
編集部:- ただ、IFDやIFO注文ですから、一度エントリーしてしまえば、あとは指定通りに約定するので、本業をされている間も心配はないですね?
F氏:- はい、その通りです。
おいしい料理でメンタルコントロール
編集部:- トレードが上手くいかなかった時などメンタルのコントロールはどうされていますか?
F氏:- 相場で損失を出してしまったときの気分転換は、おいしい料理を食べることですかね。
編集部:- なるほど。
F氏:- 自分で作って食べることです。
編集部:- ご自身で料理をされるのですか?
F氏:- ええ、しますよ。ふるさと納税で、おいしい食材を結構手に入れているんですよ。何かしないと、気分が晴れないときってあるじゃないですか。そういうときにはおいしいものでも作ろうかなと思うんです。何時間もかけて作ると、嫌なことを忘れるっていうか、結構、気分が紛れるんですよ。
編集部:- 作った料理をご家族に振る舞われるのですか?
F氏:- ええ、たまに。
編集部:- おいしいって、みなさん喜ばれるのではないですか?
F氏:- いえ、まったく(爆笑)。
編集部:- そうなのですか!?(笑)。
投資は予備資金を別管理で用意
F氏:- それと損失を出しても泣かないことです。誰にも言わない。泣き言を言っても解決できないですから。だから、投資は総資産の全部を使ってはいけないってことです。
編集部:- 投資はあくまでも余剰資金でやるべきだと。
F氏:- はい。全くその通りです。私は必ず資金的な余裕を持ってやるようにしています。だから常に予備資金を取ってあります。もし利益が出たら、半分くらいを出金して予備資金の口座に移動させておくんです。そうすると、もう一度やり直しができますでしょ。
編集部:- 確かにそうですね。Fさんは資金管理の面でもしっかりとリスクコントロールを徹底されているのですね。ところで、投資は年齢を重ねていくと、体力的にキツくなって「大変だからもうやめようかな」みたいなことを考えられるトレーダーの方もいらっしゃいますが、Fさんはそういうことを考えたことがありますか?
F氏:- 運用金額を少なくして、長くやっていきたいですね。全体の資金が3,000万円あったら、500万円ずつ運用して、損失がでたときは、また500万円を入れて運用する。そんなやり方をすれば、数回失敗しても投資を続けていくことができます。ずっとそんなやり方をしていきたいですね。
編集部:- いいですね。ずっとFX投資を楽しみながらやっていきたいということですね?
F氏:- はい、まったくその通りです。
編集部:- 今日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました。これからもFX投資を楽しんでください。
マネ育PickUp編集部より
「投資はあくまでも余剰資金で」「常に予備資金を別口座に用意しておく」Fさんのリスク管理の考え方は、ハイリスク・ハイリターンと言われがちなFX投資において、本当に大切なことですが、なかなか実践できている人はいないでしょう。中でも積立方式のトレードをひとつの口座でだけ行っているというお話が印象的でした。IFDやIFO注文を使うことで、こまめに利確や損切りを行うだけでなく、異なる手法で投資することでさらにリスクを分散させているように思えたからです。FさんがFX投資で成功を収めることができた最大の理由は、徹底したリスク分散にあったのではないでしょうか。
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