外為どっとコムのFX取引口座『外貨ネクストネオ』1カ月間の取引データ「変動率」「スワップポイント累計」「取引高」をランキング表示した。
文責:外為どっとコム総合研究所 宇栄原宗平
X(Twitter):宇栄原宗平(外為どっとコム総研) @gaitamesk_ueha
集計期間:
2023年7月1日~7月31日の営業日
変動率ランキング:トルコリラが史上最安値を更新
計測期間である7月中で最も変動率が高かったのは、トルコリラ/円だった。7月に入っても安値を更新する流れが続く中で18日には5.025円前後の史上最安値を更新した。その後、20日にはトルコ中銀が政策金利を250bp(2.5%)引き上げて17.50%とした。市場予想(18.50%)を下回る結果だっただけに初動はトルコリラ売りで反応するもすぐに持ち直す展開となった。しかし、消費者物価指数(CPI)が38%台と高インフレが続いているにも関わらず、市場予想を下回る利上げとなったことなどから依然としてトルコリラは低迷状態が続いている。第2位のユーロ/トルコリラは18日に史上最高値(ユーロ高・リラ安)30.378トルコリラ前後まで上値を拡大した。
ドル/円は、変動率5.60%で第6位となった(前回:15位)。上旬は7カ月ぶりの高値圏でもみ合った後、米6月雇用統計の結果を受けて142円台へ反落。また、12日の米6月消費者物価指数(CPI)が市場予想より鈍化したことからドル売りが加速すると140円を割り込む展開となった。14日には約2カ月ぶりの安値となる137.23円前後まで続落した。その後は、持ち高調整などから141円台まで持ち直す場面もあった。26日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が予想通り0.25%利上げを決定した。市場では次回会合以降の利上げ打ち止め観測が広がりドル売りに傾く結果に。また、28日には日銀金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロール(YCC)の柔軟化が発表され、一時138.07円前後まで急落した。しかし、YCCの柔軟化が議論されていることは前日から伝わっていたこともあり材料出尽くしとの見方から円売りが強まると142円台を回復する動きを見せた。
集計期間中、3%を超える変動があったのは集計対象29通貨ペアのうち24通貨ペアだった(前回:25通貨ペア)。そのうち5%以上の変動幅を記録したのは11通貨ペアだった(前回:14通貨ペア)。
順位 | 通貨ペア | 変動率 | 高値 | 安値 |
---|---|---|---|---|
1 | TRY/JPY | 11.48% | 5.602 | 5.025 |
2 | EUR/TRY | 8.96% | 30.3784 | 27.8803 |
3 | ZAR/JPY | 8.67% | 8.068 | 7.424 |
4 | NOK/JPY | 6.60% | 14.139 | 13.264 |
5 | USD/TRY | 5.73% | 27.0096 | 25.5457 |
6 | USD/JPY | 5.60% | 144.914 | 137.229 |
7 | NZD/JPY | 5.58% | 89.689 | 84.947 |
8 | AUD/JPY | 5.48% | 96.832 | 91.798 |
9 | HKD/JPY | 5.39% | 18.49 | 17.545 |
10 | USD/CHF | 5.28% | 0.90035 | 0.85518 |
11 | SEK/JPY | 5.23% | 13.694 | 13.013 |
12 | CAD/JPY | 4.97% | 109.39 | 104.209 |
13 | MXN/JPY | 4.90% | 8.541 | 8.142 |
14 | NZD/USD | 4.75% | 0.6411 | 0.61202 |
15 | AUD/USD | 4.49% | 0.6895 | 0.6599 |
16 | CNH/JPY | 4.41% | 20.022 | 19.176 |
17 | EUR/JPY | 4.39% | 158.042 | 151.39 |
18 | GBP/JPY | 4.36% | 184.01 | 176.318 |
19 | EUR/USD | 4.08% | 1.12753 | 1.08336 |
20 | GBP/USD | 3.82% | 1.3142 | 1.26586 |
21 | CHF/JPY | 3.49% | 164.013 | 158.482 |
22 | SGD/JPY | 3.47% | 107.273 | 103.679 |
23 | EUR/NZD | 3.38% | 1.80688 | 1.74786 |
24 | AUD/CAD | 3.25% | 0.9055 | 0.87697 |
25 | GBP/AUD | 2.88% | 1.93927 | 1.88507 |
26 | EUR/GBP | 2.32% | 0.87007 | 0.85035 |
27 | EUR/AUD | 2.29% | 1.66026 | 1.62313 |
28 | USD/CAD | 2.25% | 1.33864 | 1.30918 |
29 | AUD/NZD | 1.89% | 1.09256 | 1.07231 |
スワップポイント累計ランキング:ポンド/円(買)が首位
長らく最上位だったユーロ/トルコリラ(売)が陥落し、ポンド/円(買)が新たに首位となった。英中銀の政策金利引き上げが要因と考えられる。メキシコペソ/円(買)が第2位、香港ドル/円(買)が第3位、ドル/円(買)が第4位、ユーロ/トルコリラ(売)が第5位となった。ユーロ/トルコリラは前回スワップ合計(8925円)から大幅に減少した。
※MXN/JPY、ZAR/JPY、HKD/JPY、CNH/JPY、NOK/JPY、SEK/JPYは10万通貨あたり
※前週終値に取引数量を掛け合わせた取引残高に対してのスワップポイント合計
順位 | 通貨ペア | 売買区分 | スワップ合計 円 | 取引保証金 |
---|---|---|---|---|
1 | GBP/JPY | 買 | 7501 | 74,000 |
2 | MXN/JPY | 買 | 6880 | 40,000 |
3 | HKD/JPY | 買 | 6060 | 80,000 |
4 | USD/JPY | 買 | 5780 | 58,000 |
5 | EUR/TRY | 売 | 5367 | 64,000 |
6 | EUR/JPY | 買 | 5075 | 64,000 |
7 | ZAR/JPY | 買 | 4690 | 40,000 |
8 | CAD/JPY | 買 | 3931 | 44,000 |
9 | USD/CHF | 買 | 3803 | 58,000 |
10 | USD/TRY | 売 | 3760 | 58,000 |
11 | NZD/JPY | 買 | 3560 | 36,000 |
12 | NOK/JPY | 買 | 3230 | 60,000 |
13 | CHF/JPY | 買 | 3010 | 66,000 |
14 | SEK/JPY | 買 | 2970 | 60,000 |
15 | AUD/JPY | 買 | 2953 | 39,000 |
16 | SGD/JPY | 買 | 2320 | 43,000 |
17 | EUR/NZD | 売 | 2081 | 64,000 |
18 | EUR/USD | 売 | 1970 | 64,000 |
19 | CNH/JPY | 買 | 1830 | 80,000 |
20 | EUR/GBP | 売 | 1696 | 64,000 |
21 | GBP/AUD | 買 | 953 | 74,000 |
22 | AUD/USD | 売 | 634 | 39,000 |
23 | AUD/NZD | 売 | 617 | 39,000 |
24 | EUR/AUD | 売 | 474 | 64,000 |
25 | TRY/JPY | 買 | 416 | 3,000 |
26 | AUD/CAD | 売 | 332 | 39,000 |
27 | GBP/USD | 売 | 140 | 74,000 |
28 | USD/CAD | 買 | 49 | 58,000 |
29 | NZD/USD | 買 | -35 | 36,000 |
取引高ランキング:ドル/円の首位は揺るがず
期間中の取引高ランキングは、ドル/円の首位は揺るがなかった。なお、第4位のユーロ/円は、21日に2008年9月以来の高値158.04円前後へ上伸した後、28日には151.39円まで下落するなどの相場展開となったが、その要因は日銀YCCに関する報道から円の売買が活発化したことだと見ている。そうしたことから、トップ10位には対円通貨ペアが8通貨ペアもランクインした。
順位 | 通貨ペア | 前回順位 |
---|---|---|
1 | USD/JPY | 1 |
2 | MXN/JPY | 2 |
3 | AUD/JPY | 3 |
4 | EUR/JPY | 5 |
5 | GBP/JPY | 4 |
6 | EUR/USD | 8 |
7 | ZAR/JPY | 6 |
8 | AUD/USD | 9 |
9 | NZD/JPY | 10 |
10 | TRY/JPY | 7 |
11 | GBP/USD | 11 |
12 | NZD/USD | 12 |
13 | CAD/JPY | 13 |
14 | GBP/AUD | 14 |
15 | CHF/JPY | 15 |
16 | EUR/AUD | 16 |
17 | USD/CHF | 18 |
18 | CNH/JPY | 22 |
19 | AUD/NZD | 17 |
20 | EUR/GBP | 19 |
21 | USD/CAD | 21 |
22 | EUR/NZD | 20 |
23 | NOK/JPY | 24 |
24 | AUD/CAD | 25 |
25 | HKD/JPY | 27 |
26 | USD/TRY | 23 |
27 | SEK/JPY | 28 |
28 | EUR/TRY | 26 |
29 | SGD/JPY | 29 |
まとめ
取引高ランキングのトップ10位のうち8通貨ペアが対円となっている。日銀によるYCC修正観測がくすぶる中で、大手通信社や有力新聞社による報道や日銀金融政策決定会合での決定内容により円取引が活発化した。また、トルコリラについては6月に続き軟調推移と不安定な状況が続いており、スワップポイントが前月から大幅に減少する結果となっている。
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宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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