大学ではデリバティブなど金融工学を学び、その後に進学した大学院では修士論文のテーマにFXを選ぶほど、学生時代からFXや投資に関する高い専門知識を持っていたはーれー氏。大学院で出会った周囲の人たちの影響と修士論文のために30万円で始めたFX投資ですが、社会人になってからも続けて、20代で億トレ達成を果たすなど、素晴らしい成績を収めてきました。また、「専業」になってもおかしくないほどの実績を持つはーれー氏ですが、なぜか「兼業」であることに強くこだわります。はーれー氏が「兼業」にこだわる理由、そのトレード手法や投資哲学について迫りました。
ハンドルネーム :はーれー
年齢・性別 :30代男性
職業 :兼業トレーダー
FX歴 :約10年
トレードスタイル:スキャルピング(短期売買)
投資商品 :FX、株
運用成績 :約3年間(2021年〜2023年)で5,100万円超の利益(外為どっとコムの口座のみ)
趣味 :モーターバイクでツーリング(保有車種:ハーレーダビッドソン・ブレイクアウト、トライアンフ・スラクストン)
▼目次
1.金融工学を学ぶゲーム好きの大学院生
2.テレビで見た有名”億トレ”の記憶
3.スピード注文ができるFX会社を選択
4.短期売買は友人たちのマネ
5.資金30万円でFXスタート
6.東日本大震災で資金のほぼすべてを失う
7.FX投資を研究していたおかげで補填?!
8.人の気持ちがFX投資に与える影響
9.20代で億トレを達成
10.金融機関並みのトレーディングルームで
11.情報が多すぎるとFX投資はうまくいかない
12.トレードする通貨ペアのチャートで十分
13.固執し過ぎず相場に合わせる
14.テクニカルは4つの移動平均線
15.ファンダメンタルズは気にしない
16.利食いは利益幅で決めない
金融工学を学ぶゲーム好きの大学院生
編集部:- まずFX投資を始めたきっかけを教えてください。
はーれー氏:- 学生時代の友人がFX投資をやっていたからです。大学生の時は経済学を専攻していまして、その中でも「金融工学」と呼ばれる分野、特にデリバティブのような金融商品に興味を持っていました。その後は大学院に進学し「情報」系の研究室で情報工学の勉強をしていたのですが、株式投資や先物取引、FX投資をしている大学院生が結構いたんです。ただ、私は資金が少なかったため、少額でも始められるFX投資を選びました。
編集部:- なるほど、学生時代から投資であるとか、外国為替であるとか、FX投資につながるような環境に身を置かれていたのですね。そのとき何歳ですか?
はーれー氏:- 22歳で大学院に入りましたから、23歳くらいかな。
編集部:- ただ、金融商品を「勉強」するのと、実際に「運用」するのでは、やっぱり違うと思うんですが、FX投資を始めてみた印象や当時の心境はどんなものでしたか?
はーれー氏:- プロフィールの紹介で、趣味がバイクだってことを話しましたが、結構ゲームも好きなんです。「FX投資は『ゲーム感覚』でできるかな」っていうのと、友達の紹介で口座開設して、10万円とか、20万円とかを入金すると、私がキャッシュバックをもらえるっていうキャンペーンが当時ありまして(笑)…。
編集部:- FX企業各社が、新規顧客獲得のために、その手のキャンペーンをよくやりますよね。
はーれー氏:- 1枚(10,000通貨)とか、2枚(20,000通貨)とかなら、損失が出ても「数千円」とか「1万円」とかでしたので、あんまり「FX投資が怖い」っていうような感覚は当時からありませんでしたね。株の場合はストップ安等に貼りつかれると逃げ切れず、損切りたいのに損切れないという場面がありますが、FXの場合は自分で損切る意思さえあれば、損切りすることができるので、当時は怖さでいうと株の方が怖いものだと認識してましたね。
テレビで見た有名”億トレ”の記憶
編集部:- 金融工学を学ばれていて「面白そうな世界だな」と興味を持ち、その上に「ゲーム好き」なわけですから、最初から「FXトレーダー」の要素が十分だったのですね?
はーれー氏:- そうかもしれないですね。加えてテレビ東京の「給与明細」っていう番組に、株式投資の”億トレーダー”として有名なトレーダーさんが出ていた記憶が頭のどこかに残っていたんです。その影響で、なんか「トレーダーってカッコいいな」って当時から思っていたんですよね。
編集部:- 23歳の若者には、自分とさほど歳が違わない人が、たくさん並んだモニターを見ながら、株にしろFX投資にしろ、ネットで売買して数億円の利益を出している様子を見たら「うわっ、カッコいいなー」となりますよね?
はーれー氏:- そうですね。「カッコいい」だけじゃなく「楽しそう」「面白そう」っていうのもありました。自分もそういう勉強をしているし「得意なんじゃないかな」っていう、根拠のない自信はあったかもしれないです。
スピード注文ができるFX会社を選択
編集部:- 実際にFX投資を始めたとき、アプリの使い方、売買注文の出し方などはすぐにわかりましたか?ゲームが好きだっておっしゃっていたので、やっぱり最初から違和感はありませんでしたか?
はーれー氏:- そうですね。現在はMT4を使っているんですが、始めたときは口座開設したFX会社が用意しているチャートを使っていました。でも「難しい」とか「抵抗がある」とか、そういう感覚はありませんでしたね。
編集部:- スムーズに始められたということですね?
はーれー氏:- そうですね。外為どっとコムでは「スピード注文」ができますよね。唯一「スピード注文」の機能が実装してあるのか、ないのかを確認して「スピード注文」ができるFX会社を選んでいましたね。
編集部:- なるほど、それはもうFX初心者の視点ではないですね。さすがです。
はーれー氏:- スピード注文があると、より「ゲーム感覚」に近いというか、”ポチポチ”って「ボタンひとつで売買できたほうがいいな」って思っていましたから。
スピード注文についてはこちら(外貨ネクストネオ リッチアプリ版)
短期売買は友人たちのマネ
編集部:- ということは、最初から短期でのトレードが前提だったのですね?
はーれー氏:- そうですね。長期で保有するよりは、当時は(今よりも)スプレッドは広かったし「スキャルピング」なんて言葉もなかったけれど「何回もポジションを取って、利益を獲得するのがいいんだ」って思っていましたね。
編集部:- それはすでに投資をしていた大学院のお友だちの影響ですか?
はーれー氏:- そうですね。周りにいた人たちの影響です。当時のスプレッドが何銭だったのかは、ちょっと覚えていませんが、米ドルよりもユーロが動いていて、チャートがブレイクして走っているときに、 何回かチャートが変化するタイミングで、当時は枚数が少ないんで、利益が出ても1,000円や2,000円でしたが、そういうのをちょこちょこと取って「晩ご飯代を稼いだ」みたいなことを周りの人たちがやっていました。自分もそれをマネしたんですね。
資金30万円でFXスタート
編集部:- はーれーさんはFX投資を始める前にどのようなFX投資の勉強をしましたか?
はーれー氏:- 最初はネットで調べてトレーダーのブログなどを見て、基本的なやり方を覚えました。ある日、友だちのアパートで机の上にあるパソコンを見ていたんですが、当時は「ニコニコ生放送」が流行っていて、生番組でトレードするトレーダーたちがいたので、自分もその人たちを見ながらやるようになったんです。そう考えると「ニコ生」の影響が一番大きいかな。
編集部:- 確かに「ニコ生」全盛時代でしたよね。はーれーさんはいくらの資金でFX投資を始められたのでしょうか?
はーれー氏:- 最初に入れたのは20万円くらいです。その後「ちょっと参考書を買わなきゃいけないから」って親に言って、10万円くらいもらって、それを追加入金しました(笑)。だから、30万円でスタートですね。
編集部:- 当時は大学院生ですよね。FX投資をやっていることは、家族や友人に伝えていましたか?
はーれー氏:- 伝えてはいないですね。内緒っていうか、まあ自分のお金だったので、別に言う必要もないと思っていました。
東日本大震災で資金のほぼすべてを失う
編集部:- その後、その資金30万円がどうなったのか教えてください。
はーれー氏:- 確か、2010年6月あたりでFX投資を始めたんですが、授業の合間や研究室での研究の合間にずっとトレードしていて、2011年3月の東日本大震災の直前には80万円くらいに増えていました。
編集部:- おーっ、着実に運用されていますね?
はーれー氏:- ニコ生を見ていると、損失を出してしまっている人が多かったんですよね。”FX芸人”って言われる人たちです。相場が「すごく落ちてきたな」っていうときに、彼らが「逆張りでナンピンして捕まった」みたいな失敗動画をたくさん見ていたので、そうじゃないやり方を続けていたら「三歩進んで二歩下がる」みたいな感じで、少しずつ資産が増えたんです。
編集部:- それで30万円が80万円になったのですね。その後も大学院を出て、会社に就職して、それでもFX投資を続けて、現在のようなトップトレーダーになられたのだと思います。その道のりはどんなものだったのでしょうか?
はーれー氏:- 確かに震災前までは少しずつ増えていたんですが、震災のとき、円安ドル高に一瞬だけ振れてから、一気に円高が進行して72円くらいになりましたよね。
編集部:- あのときは激しかったですね。
はーれー氏:- ナンピンして損失が大きくなり、でも損切りができなくて。気付いたら、ニコ生の「FX芸人」と同じことをしてしまっていて、苦しい思いをしました。
編集部:- そうだったのですね。
はーれー氏:- 今までの利益がほとんどなくなりましたね。そのとき、正直にFX投資の資金がほとんどなくなってしまった話を家族にしたんです。
FX投資を研究していたおかげで補填?!
編集部:- 初めてFX投資をしていることを伝えたのですね?
はーれー氏:- そうですね。学生にとっての50万円ってすごく大きいじゃないですか。
編集部:- はい。そう思います。
はーれー氏:- 私が元気がなかったため、母親が私に「どうしたの?」って話しかけてきたので、正直に「昨日の震災の影響でFX投資の今までの利益がなくなってしまった」って正直に答えたところ、あまりにもかわいそうに思ったのか、母親が補填してくれたんです(笑)。
編集部:- いや〜、それはなかなかすごい展開ですね。でも「もうやめなさい」ではなく、応援してくれたのですね?
はーれー氏:- そうですね。大学院での研究テーマも、最初は「原油価格の変動要因モデルの推定」だったんですが、研究室に入ってから研究テーマを変更しまして、最終的に修士論文はFXに関する内容で提出しているんです。為替や株式の研究をしていることは母親も理解していたので、言ってみれば「勉強代」として、きっと応援してくれたんですね。今考えても本当に有難いです。
編集部:- なるほど、個人の資産運用や投資ではなく、あくまでも「学業の研究対象であるFX」とご家族はきっと理解してくれたのですね?
はーれー氏:- そうかもしれないですね。「いくら損失したの?」って、母が聞いてきたので、本当は80万円弱くらいだったんですが、母には「100万円」って答えましたね。だから、損したはずなのに、なぜかお金は増えているみたいな感じになって…(笑)。30万円⇒80万円⇒20万円⇒100万円の流れですね。
編集部:- そうだったのですね。
はーれー氏:- 資産が100万円になって以降、強制ロスカットされないように、エントリーレートから最大でも60銭くらいのところでストップ注文を入れて、そこにいく前には自分で損切りするようになりました。
人の気持ちがFX投資に与える影響
編集部:- 再スタートされた時から、本格的にリスク管理をするようになったのですね。それにしても、FX投資に関する修士論文を書かれた人には初めて会いました。
はーれー氏:- 実際にトレードしながら研究したんです。「感情工学」「感性工学」と呼ばれる研究なんですが、為替に関するブログ、Twitter、掲示板などのSNSから、人間の気持ちに関する情報を抽出し、それが実際の相場にどのような影響を与えたかというような研究をしました。最終的には波形を描くというものでした。あるFX業者が実装しているテクニカル分析で未来チャートを描くというのものがあると思いますが、それのテクニカル分析バージョンではなく、人の気持ちバージョンですね。
編集部:- それは面白そうですね。
はーれー氏:- 私の修士論文は、多くの人の気持ちと逆方向に相場は動くという結論を導き出しました。たとえば、米ドル/円で1ドル=140円というレートは、1ドル=137円とか138円という1円刻みの節目よりも重要で、もっと大きい5円刻みの基準があって、そういうときって、ブレイクした時にすごく走ると予測する人が多いんですね。
編集部:- 実際のトレードでかなり参考になりそうな研究ですね。
はーれー氏:- そうですね。みんなが「上にいく」って強く思っているときは、「一瞬だけ下げて」、ロングを刈り取るような動き方をする場合が多いんです。修士論文の研究が、今のトレードでものすごく活用できているかというと、そこまでではありません。でも、それなりに役立っているとは思います。
20代で億トレを達成
編集部:- FX初心者なのに利益を出せたのは、豊富な知識のおかげだったのですね?
はーれー氏:- そうかもしれないですね。そのころから、就職活動が始まったり、しっかりと修士論文の準備をやらなきゃいけなくなったり、FX投資はあくまでも空いている時間にやるしかなかったので、ちょっと長めに持つようなトレードスタイルになりましたね。大学院を卒業し、会社で働き出し、当然「兼業トレーダー」でしたが、ちょうどアベノミクスが始まった時期で、それから数年後の30歳になる手前くらいで、運用資産は億超えになりました。
編集部:- それはすごい。誰もが羨むようなサクセスストーリーですが、家族のサポートがあったとはいえ、どうすれば100万円の資金を5〜6年で最大化できるのですか?
はーれー氏:- そうですね。会社に就職してから最初の半年間は研修をしなければならなくて、FX投資はあまりできないような環境だったんです。ただ、学部卒の新入社員も結構いるような部署だったので、自分は大学院ですでに勉強をしてきたし、社員研修のプログラムなどでは、学部卒の社員よりもアドバンテージがあるような状況でした。そのため帰宅後に予習・復習をあまりしなくても大丈夫だったので、毎朝、出勤前にちょっとやって、会社の休憩時間にスマートフォンでちょっとだけやって、帰宅後のニューヨーク時間にはひたすらトレードをするっていう生活をずっと続けていました。枚数はそんなに多くありませんでしたが。
編集部:- なるほど院卒だったことで、新入社員にもかかわらず、時間的な余裕が持てたのですね。しかも、修士論文もFX投資がテーマですから、FXトレーダーとしてもアドバンテージがあったのではないですか?
はーれー氏:- まあ、プラスに働いたとは思いますね。というのも、私は研修終了直後からフレックス勤務ができたんです。
編集部:- ということは、出勤・退勤時間が自由だったのですね?
はーれー氏:- それほど自由というわけではないですが、朝は1時間程度遅れて出勤することが可能でした。株でもFX投資でも、東京市場の仲値って重要ですよね。それを確認できるかできないかっていうギリギリくらいまで自宅にいたかったんです。東京時間で一番動くところですから。とにかく仕事をしながらでも、FX投資ができるような時間は確保しようと思っていました。
編集部:- フレックス勤務ならではのメリットを活かされたのですね?
はーれー氏:- そうですね。さすがにフレックス勤務でも、欧州の時間帯は諦めるしかありませんでしたが(笑)。でも、私は会社の飲み会に参加した記憶も、ほとんどありませんし、そのころには「ニコ生」放送で、スキャルピングという手法があることを知ったので、相場を見ている時間が長ければ長いほど、チャンスも多くなることがわかりました。なので日本時間の朝に少しトレードして、帰宅後のニューヨーク時間はひたすらトレードを続けることにしました。
金融機関並みのトレーディングルームで
編集部:- はーれーさんの取引環境が気になります。画面越しにお部屋を拝見すると、金融機関並みに液晶モニターが並んでますね?
はーれー氏:- そうですね。株と合わせてディスプレイは14台あります。結構、見た目から入るタイプなんで(笑)。自分の部屋をトレーデイングルームみたいにしたかったんです。FX投資を始めたときから8台はありましたよ。ディスプレイを貼り付けられるようなデスクを使っていますが、メーカーでの製造は終了していたので、ひたすらオークションで探して購入しましたね。
編集部:- それだけの台数でどのようなものを表示させているのでしょうか?
はーれー氏:- 私がトレードしているのは、4通貨です。米ドル/円 、ユーロ/米ドル、ポンド/米ドル、豪ドル/米ドルのチャートを4画面に1分足と5分足で表示させて、スピード注文が出せるようにしておくんです。その右隣の2画面に4通貨ペアの60分足、4時間足、日足を並べて、その画面の端のほうに、4時間足でユーロ/円とかポンド/円とかを表示させます。左側には日経225とか、NYダウとか、ツイッターとかですね。暗号資産は取引しないんですが、チャートとしては表示させています。
情報が多すぎるとFX投資はうまくいかない
編集部:- 為替だけではなく、株式投資などもされているから、日経平均などのチャートを表示させておくと、FX投資にもプラスに働きそうですね?
はーれー氏:- いや、FX投資だけに限れば、たくさん情報を表示させているから、利益が出せるっていうものでは、実はないように感じます。一概にプラスに働いているかどうかはわからないですね。もしかすると、情報画面をたくさん出していないほうがいいかもしれないです。私の場合は株取引もありますので、たくさんの画面を表示せざるを得ませんが。
編集部:- それは面白いですね。どうしてですか?
はーれー氏:- 日経平均株価が上がれば、米ドル/円が上がるかというと、そんなこともありませんよね。「上げ」だけに反応したりとか、最近は「下げ」だけにちょっとだけ反応したりしています。全部が連動しているわけじゃないんです。
編集部:- ちなみに米債の金利なども表示させていますか?
はーれー氏:- サイトやツイッターで確認しています。
編集部:- いろいろ出しすぎちゃうと、かえって邪魔になるから、FXトレードに必要な最低限の情報に削ぎ落として、相場分析するのが良いということですか?
はーれー氏:- そうですね。取引自体の色々な情報もそうですし、テクニカル分析等もそうだと思います。私もFX投資を始めたばかりのころは、「ニコ生」を見ながら色々なテクニカル分析を表示させていたんです。でも、「こっちのインジケーターだと買いを示しているけれど、こっちのインジケーターでは売りを示している」みたいなことが起きていて、自分を信じきれないまま、トレードしていました。FX投資で米ドル/円だけをトレードするなら、シンプルなチャートだけを見てトレードするほうが逆にいいかもしれません。
トレードする通貨ペアのチャートで十分
編集部:- 他通貨との相関関係を気にして、トレードしていない通貨ペアのチャートまで出してやっている人も少なくないのですが、その必要もないということでしょうか?
はーれー氏:- そうですね。米ドル/円をトレードするときに、とりあえずユーロ/米ドルも表示させるというような「既定路線」ってあるじゃないですか。でも実際はそんなに必要ないかな、と思っています。
編集部:- それは興味深い意見です。
はーれー氏:- 関係があるときはあるんですが、関係がないときはないんですね。ドル買いなのかドル売りなのか等は見ることはできますが、米ドル/円だけでスキャルピングをする場合には、精度が高まるとは思えないですね。例えば、今、パソコン1台を持って旅行に出かけて、米ドル/円のチャートだけを表示させてトレードしたとしても、自宅でたくさんの情報を出しながらトレードした場合の結果とほとんど変わらないと思います。
固執し過ぎず相場に合わせる
編集部:- なかなか面白い、貴重な意見ですね。「自分を信じきれなくなる」っていう先ほどの言葉が、重要な鍵を握っていそうですね?
はーれー氏:- 自分の性格だと思います、「信じすぎない」・「固執しすぎない」方がいい場合も多いんじゃないかなと。例えば、チャート上で固い抵抗があるラインをブレイクする方向に固執しすぎてボコボコにされたり(笑)
編集部:- 固執しないほうがいい?
はーれー氏:- 「絶対に上昇」とか「絶対に下落」とか決めつけるのではなく、フラットな状態で「どちらに転んでも大丈夫」みたいな意識でやると、大きな損失は回避しやすいと思いますね。決めつけトレードだと攻撃力は上がり、防御力が下がるイメージです。各々の性格に合わせてトレードするのがよいかと思います。
テクニカルは4つの移動平均線
編集部:- 実際に利用されているテクニカル分析は何ですか?是非、具体的に教えてください。
はーれー氏:- いろいろ試して、最終的に邪魔にならないっていう理由で残っているのは「EMA(指数平滑移動平均線)」と「SMA(単純移動平均線)」ですね。
編集部:- 移動平均線ですか?
はーれー氏:- はい。具体的に言うと4つあります。まずEMAは20(日)です。残りは全部SMAで、25(日)、75(日)、200(日)です。まあ、基本的な移動平均線の使い方は、「上に抜けたらロングで」とか「下に抜けたらショートして」とか「タッチしたら逆張りして」とかですが、私の場合は、特に使っているということはなくて、なんとなくさみしいから出している感じなんです(笑)。もし使用するのであれば、たくさんの方が見ているような「メジャーな数値」を出すべきだとは思います。
編集部:- ということは、テクニカル分析を重要視しているわけではないのですね?
はーれー氏:- そうです。値動きのみ重視のトレードですね。
ファンダメンタルズは気にしない
編集部:- では、ファンダメンタルズを重視して、トレード判断ですか?
はーれー氏:- 政策変更等の大きなファンダメンタルズは気にしますが、雇用統計等の大きめな指標の結果は一切気にしないですね。
編集部:- えっ、そうなのですか?となると、先ほどお聞かせいただいた1分足、5分足、60分足、4時間足、日足のチャートを見ながら、その場で判断して売買をしていると?
はーれー氏:- そうですね。雇用統計とか、CPI(消費者物価指数)とか、結果すら見ないですね。
編集部:- そうなのですか。意外です。
はーれー氏:- 見ないというと語弊がありますが、Twitterで誰かがツイートするじゃないですか。後から見て「こんな結果だったんだ」って思うくらいです。それを見たときは、すでに動いた後なので、まあ数値の確認くらいですかね。
編集部:- 米国の雇用統計やCPIが発表になるタイミングで「さあやるぞ!」みたいなことはないのですか?
はーれー氏:- う〜ん、あまり気合いをいれてやろうということはないですね。重要指標の発表の時の欲望が渦巻いている感じが苦手なんです(笑)。みんなが「利益を出してやろう」みたいな雰囲気が。すごく動きそうな時は60分足や4時間足を見て、フィボナッチ比率の50(%)とか、38.2(%)で、ラインを引いてみて「ここまで一瞬で落ちてきたら入ろう」とか、なんとなく「こうきたら、こうしよう」みたいなものはありますが、自分の中で「10対0でこっちだ」というものはなく「7対3でこっちかな」みたいなときに、実際に「7」側に振れた場合は、強気にトレードしてみます。逆方向の「3」側に振れたときは、ただ眺めているだけになっちゃいますかね(笑)。だから、「絶対にこっちだ」みたいなものはありません。
利食いは利益幅で決めない
編集部:- 奥が深いですね。もうひとつ教えていただきたいのは、利食いのタイミングです。利食いのタイミングの見極めが難しいという人も多いのですが、はーれーさんはどのように判断しているのですか?利食いの「幅」は決めていますか?
はーれー氏:- う〜ん、毎日とは言いませんが、ある程度の期間は「これくらいの値幅で相場が動く」「これくらいのボラティリティになる」っていうのがあると思うんです。”ドン”っとブレイクした瞬間に、走ったら利食っちゃいますし、走らないまでも、じわじわと上がりそうだなと思えば、ポジションの半分だけを利確することもあります。その辺りは難しいですね。
編集部:- 相場の動きを見ながら決済している、ということですね?
はーれー氏:- そうですね。相場を見ながら「半分だけ利食って、少しだけ持っておこう」とか、「これくらい利益が出たからいいや」とか、そのあたりの判断ですね。
マネ育PickUp編集部より
はーれーさんは大学院生(23歳)のときにFX投資を30万円で始めて尋常ではないスピードで資産を増やすことができたのは、大学生で金融工学を勉強し、大学院でFXを研究した知識が大きな影響をもたらしていることは間違いないでしょう。「テクニカル分析はほとんど使わない」「ファンダメンタルズも気にしない」と質問に答えたはーれーさんですが、重要指標も気にしない理由をすらすらと説明する様子からは、普通トレーダーの「使わない」という答えとは、まったくレベルが違うのではないか思いました。後半ではさらに詳しく投資手法や投資哲学について伺います。
▼後編はこちら
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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