主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2023年8月4日9時00分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼3日(木)の為替相場
(1):豪貿易収支は予想を上回る黒字額
(2):日銀臨時国債買入れオペ通知
(3):BOE予想通りの利上げ
(4):米新規失業保険申請件数は増加
(5):ISM非製造業は前月から低下
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:米7月雇用統計待ち/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
3日(木)の為替相場
期間:3日(木)午前6時10分~4日(金)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪貿易収支は予想を上回る黒字額
豪6月貿易収支は113.21億豪ドルの黒字となり、黒字額は予想(107.50億豪ドル)を上回った。その後に発表された中国7月財新サービス業PMIは54.1と予想(52.4)に反して前月(53.9)から上昇した。ただ、日本株が下落する中で豪ドルの上値は重かった。
(2):日銀臨時国債買入れオペ通知
日銀は臨時の国債買い入れオペを通知。残存期間3年超5年以下、5年超10年以下を対象に合計4000億円を買い入れるとした。0.65%前後に上昇した長期金利(10年債利回り)の抑制に動いたことで円売りが一時強まった。
(3):BOE予想通りの利上げ
英中銀(BOE)は大方の予想通りに政策金利を5.00%から5.25%へと引き上げた。一部に5.50%への利上げ予想があったことからポンドは売りが優勢となったが一時的だった。声明で「インフレ率を目標の2%に下げるため、必要な期間、十分制約的になるようにする」「一段と持続的なインフレ圧力の一部リスクが顕在化し始めた可能性がある」などとして利上げ継続に含みを持たせたためポンドは下げ渋った。ベイリー総裁は会見で「われわれは証拠に基づいた行動をし続けなければならない。インフレがさらに持続するという証拠が得られれば、それに対応する必要がある」と述べて、利上げ終了を宣言する時期ではないと表明した。一方で、金融政策報告の経済予測では、インフレ率が今年末までに4.9%に低下すると予想。5月時点より急速な低下を見込んだ。
(4):米新規失業保険申請件数は増加
米新規失業保険申請件数は22.7万件と市場予想(22.5万件)をやや上回り、前週(22.1万件)から増加した。一方、これより前に発表された米7月チャレンジャー人員削減数は前年比-8.2%の2.37万人にとどまった。
(5):ISM非製造業は前月から低下
米7月ISM非製造業景況指数は52.7と市場予想(53.1)をやや下回り前月(53.9)から低下。構成指数では仕入価格が56.8に上昇(前回54.1)した一方、雇用は50.7に低下(前回53.1)、新規受注は55.0(前回55.5)だった。
3日(木)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:米7月雇用統計待ち
昨日のドル/円は終値ベースで約0.6%下落。日銀が臨時の国債買い入れオペを通知して長期金利の上昇を抑制する姿勢を示したことでほぼ1カ月ぶりに143.89円前後まで上伸したが海外市場で142円台へと反落した。世界的な株価の下落などを背景に円を買い戻す動きが強まったほか、米7月ISM非製造業景況指数が予想に届かなかったことでドルが弱含むと一時142.06円前後まで下落した。本日の米7月雇用統計を前にドル買い・円売りポジションをひとまず手仕舞う動きが出たとの見方もあった。
米7月雇用統計の市場予想は、非農業部門雇用者数が20.0万人増、失業率が3.6%、平均時給が前年比+4.2%となっており、米労働市場は引き続き堅調なものの、賃金インフレ圧力がいくぶん低下すると見られている。
本日のドル/円は米7月雇用統計の結果次第で上下する公算が大きく、アジア市場から欧州市場にかけては取引手控えムードが広がりそうだ。ただ、東京市場では日銀の臨時国債買い入れオペが入るかどうかにも注目しておきた。
注目の経済指標:米雇用統計
注目のイベント:RBA金融政策報告
※時間は日本時間での表示になります。
※「注目の経済指標」「注目のイベント」は注目度が高い順に「◎」「○」「無印」で表示しております。
※発表時刻は予告なく変更される場合があります。また、予定一覧は信憑性の高いと思われる情報を元にまとめておりますが、内容の正確性を保証するものではございませんので、事前にご留意くださいますようお願いいたします。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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