<第170回調査>2023年7月29日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
分析・レポート作成
外為どっとコム総合研究所
調査実施期間
2023年7月21日(金)13:00~2023年7月25日(火)24:00
調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は646件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか
問7:今年前半(1-6月)のFX取引の損益状況についてお伺いします
問8:日銀は、年内(2023年中)にマイナス金利を解除(利上げ)すると思いますか?また解除すべきだと思いますか?
今後の調査実施計画及び公表方針
問1:今後1カ月間の米ドル/円相場の見通しについてお答えください。
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が56.2%であったのに対し「円高・米ドル安」と答えた割合は21.4%であった。この結果「米ドル/円予想DI」は△34.8%ポイントと前月の△48.1%ポイントからプラス幅が縮小した。
調査期間前後の米ドル/円相場は、「日銀、金融政策維持の公算 YCC変動幅据え置きの可能性」との観測報道が伝わると142.00円目前まで上昇したが、米連邦公開市場委員会(FOMC)の政策発表を控えて140円台後半に押し戻されるなど伸び悩んだ。FOMCの利上げ打ち止め観測がくすぶる中で個人投資家の米ドル強気見通しはやや後退したが、日銀が大規模緩和を継続するとの見方が強まる中で円弱気の見通しは維持したようだ。
今後1カ月の米ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が150.22円、最安値が130.00円となり、高値の平均値は144.33円、安値の平均値は137.14円であった。高値の中央値は145.00円、安値の中央値は137.50円だった。前月調査から1.5円程度、円高・米ドル安方向へシフトしている。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問2:今後1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が、47.2%であったのに対し「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は18.3%であった。この結果「ユーロ/円予想DI」は△28.9%ポイントとなり、前月の△41.1%ポイントからプラス幅が縮小した。
調査期間前後のユーロ/円相場は、日銀による政策修正観測が後退したことで158円台に乗せて2008年9月以来の高値を更新したが、独7月PMIの悪化などからユーロ圏の景気不安が浮上したことで155円台へと失速した。欧州中銀(ECB)による利上げの打ち止め時期が近いとの思惑もあり、ユーロ強気の個人投資家が減少したようだ。
今後1カ月のユーロ/円相場の高値と安値の予想については、最高値が163.00円、最安値が140.00円となり、高値の平均値は157.95円、安値の平均値は152.12円であった。高値の中央値は158.00円、安値の中央値は153.00円であった。前月調査から0.6~3円程度、ユーロ高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問3:今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が、44.4%であったのに対し「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は19.0%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は△25.4%ポイントとなり、前月の△26.6%ポイントからプラス幅がやや縮小した。
調査期間前後の豪ドル/円相場は、豪6月雇用統計が良好な結果となったことや日銀による政策修正観測が後退したことで95円台後半まで強含んだが、中国経済の減速懸念などから伸び悩んだため月初の水準である96円台を回復できなかった。そうした上値の重さが意識されて個人投資家の豪ドル強気・円弱気の見通しがやや萎んだと見られる。
今後1カ月の豪ドル/円相場の高値と安値の予想については、最高値が100.00円、最安値が87.00円となり、高値の平均値は96.88円、安値の平均値は92.50円であった。高値の中央値は97.00円、安値の中央値は93.00円で前月調査から1円程度、高値は円高・豪ドル安へ、安値は豪ドル高・円安にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問4:今後1カ月間のポンド/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の英ポンド/円相場の見通し」については、「英ポンド高・円安方向」と答えた割合が、45.0%であったのに対し「円高・英ポンド安方向」と答えた割合は20.6%であった。この結果「英ポンド/円予想DI」は△24.4%ポイントとなり、前月の△39.2%ポイントからプラス幅が縮小した。
調査期間前後の英ポンド/円相場は、日銀による政策修正観測が後退したことで182円台半ばへ強含む場面もあったが、英6月消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けて英中銀(BOE)が利上げを継続するとの期待が薄れた影響が残り伸び悩んだ。8月3日の次回BOE金融政策委員会(MPC)を前に個人投資家の英ポンド先高期待もやや後退したようだ。
今後1カ月の英ポンド/円相場の高値と安値の予想については、最高値が190.00円、最安値が159.00円となり、高値の平均値は184.12円、安値の平均値は177.25円であった。高値の中央値は184.00円、安値の中央値は178.50円で、前月調査から安値が2.5円程度、英ポンド高・円安方向にシフトした。
※高値と安値が逆の回答や片方だけの回答などを無効とした上で、上位3%と下位3%の回答をカットしてデータを処理
問5:今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)。また、選んだ理由もご記入ください
今後3カ月程度の期間で買いたい、もしくは強くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「米ドル」と答えた割合が42.0%で最も多かった。次いで「円」が23.7%で、その後、「ユーロ(9.1%)」、「メキシコペソ(6.3%)」、「英ポンド(5.9)」、「豪ドル(3.4%)」と続いた。「米ドル」の回答割合は前月の43.9%から僅かに低下した一方、「円」は18.7%からやや上昇した。「米ドル」と答えた理由について自由記述形式で尋ねたところ「7月利上げに続く再利上げが織り込まれることで米ドル高が進む」との声や「インフレ低下で景気が回復」「リセッション(景気後退)懸念が後退している」として米国景気の底堅さを指摘する意見が目立った。「円」と答えた向きからは「日銀が早晩YCCを修正する」などとして日銀の政策修正を期待する声が挙がっていた。
問6:今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)。また、選んだ理由もご記入ください
今後3カ月程度の期間で売りたい、もしくは弱くなると思う通貨はどれですか(ひとつだけ)と尋ねたところ、「円」と答えた割合が43.5%と最も多かった。次いで「米ドル(23.8%)」、さらに「トルコリラ(8.7%)」、「中国人民元(5.7%)」と続き、その後「ユーロ(5.4%)」、「英ポンド(5.4%)」が並んだ。円は回答割合が前回の50.7%から低下したものの4カ月連続で首位を維持した。今回も2番手の「米ドル」は前回の17.1%から割合が増加した。「円」と回答した理由については「YCC(イールドカーブ・コントロール)などの政策に修正はなく金融緩和を続ける」などとして日銀の金融政策を円安予想の根拠とする回答が圧倒的に多かった。「米ドル」とした理由については「利上げ終了」「来年には利下げ」などと、こちらも金融政策を睨んだ回答が多かっ。
問7:今年前半(1-6月)のFX取引の損益状況についてお伺いします
今回の特別質問として、「今年前半(1-6月)のFX取引の損益状況について」尋ねたところ、「0%(変化なし)」が19.5%と最も多く、以下「1-5%」が12.7%、「-30%以下」が9.9%、「10-20%」が9.4%、「5-10%」が8.4%と続いた。なお、「答えたくない」は6.5%だった。利益(棒グラフ青合計)の回答が38.3%、損失(棒グラフ赤合計)が合計35.8%で、年前半のFX投資家の損益状況は概ね均衡していたようだ。もっとも、それぞれの内容を見ると、利益の中では「1-5%」が最多だった一方、損失の中では「-30%以下」が最多であった。傾向として「損大・利小」になりがちなことが読み取れる回答結果であろう。
問8:日銀は、年内(2023年中)にマイナス金利を解除(利上げ)すると思いますか?また解除すべきだと思いますか
「日銀は、年内にマイナス金利を解除(利上げ)すると思いますか?また解除すべきだと思いますか?」と尋ねたところ「解除しないと思うが、するべきだと思う」が34.5%で最も多かった。次いで「解除しないと思うし、するべきではないと思う」が23.8%、「解除すると思うし、するべきだと思う」が15.8%、「解除すると思うし、するべきだと思う」が7.9%という結果であった。「マイナス金利を解除しないと思う」の合算割合が58.3%に上った反面、「マイナス金利を解除するべき」の合算割合は50.3%で、いずれも半数を超えたのが印象的な結果となった。
今後の調査実施計画及び公表方針
本調査も第170回目となりました。調査開始から13年が経過し、データの蓄積が進んできました。今後については、毎月定点観測で実施する調査結果を基に、予想DIの時系列比較から見出せるFX投資家の相場観の変化やその傾向などのほか、中長期的な視点に基づいたFX投資家の投資スタイルの変化などの考察も進めて行きたいと考えています。なお、毎月の本調査においては、公表扱いとしている質問項目及び回答結果の他に、「投資家の属性」、「取引頻度」、「取引規模」、「取引時間帯」、「投資選好」など、投資家実態を把握するために必要な各種の質問項目も設けて集計しています。それらの回答結果を用いた投資家の実態報告や属性別のクロス・セクション分析等については、当研究所が1年に1回、毎年年央に公表する「外為白書」で紹介する予定です。
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。