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FX市場、6月はトルコリラが史上最安値を更新!また、円安加速も円買い介入の警戒感が高まる… 【FX 変動率・スワップポイント累計・取引高ランキング】2023年6月版

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外為どっとコムのFX取引口座『外貨ネクストネオ』1カ月間の取引データ「変動率」「スワップポイント累計」「取引高」をランキング表示した。

文責:外為どっとコム総合研究所 宇栄原宗平

宇栄原宗平(外為どっとコム総研) (@gaitamesk_ueha) / Twitter


集計期間:
2023年6月1日~6月30日の営業日

▼変動率ランキング:トルコリラが史上最安値を更新


▼スワップポイント累計ランキング:ユーロ/トルコリラ(売)が首位


▼取引高ランキング:ドル/円の首位は揺るがず


▼まとめ

変動率ランキング:トルコリラが史上最安値を更新

計測期間である6月中で最も変動率が高かったのは、ユーロ/トルコリラだった。5月29日にトルコ大統領選でエルドアン大統領の続投が決定すると高インフレが続く中で低金利政策が継続されるとの見立てからトルコリラ売りが加速。その後、新しい財務大臣に元米投資銀行ストラテジストで元副首相であるシムシェキ氏が起用され、トルコ中銀総裁には米ファースト・リパブリック・バンクで共同最高経営責任者(CEO)を務めたエルカン氏が就任したことで市場の正常化に向けて大幅利上げの期待高まった。そうした中で、6月22日のトルコ中銀会合では政策金利を8.5%から15.00%への引き上げを決定した。しかし、市場予想は20.00%程度だったことから失望売りが優勢となりユーロ/トルコリラは6月27日に史上最高値28.5762トルコリラまで上値を拡大した。こうしたことから第1位、2位、3位をトルコリラが独占している。

ドル/円は、変動率4.83%で第15位となった(前回:8位)。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)で11会合ぶりに金利を据え置くも金利見通し(ドットチャート)にて年内にあと2回の利上げを行うことが示唆された。また、その後パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が「今年あと2回の利上げが適切となるだろう」などと発言したこともドル買いを強める要因となった。他方で、海外中銀による相次ぐ利上げで日銀の大規模緩和を維持する姿勢が改めて際立ったことからドル買い・円売りが加速。6月29日には2022年11月10日以来の145.07円前後まで上伸した。そうした中で、日本政府による連日の円安けん制発言から円買い介入への警戒感が高まり昨年9月22日に円買い介入が実施された145円付近では伸び悩む展開が続いている。

集計期間中、3%を超える変動があったのは集計対象29通貨ペアのうち25通貨ペアだった(前回:26通貨ペア)。そのうち5%以上の変動幅を記録したのは14通貨ペアだった(前回:11通貨ペア)。

順位 通貨ペア 変動率 高値 安値
1 EUR/TRY 28.70% 28.5762 22.2044
2 USD/TRY 26.57% 26.1024 20.6237
3 TRY/JPY 23.51% 6.699 5.424
4 ZAR/JPY 11.49% 7.823 7.017
5 NOK/JPY 8.96% 13.526 12.414
6 AUD/JPY 8.17% 97.675 90.299
7 MXN/JPY 7.84% 8.474 7.858
8 CAD/JPY 6.93% 109.504 102.41
9 NZD/JPY 6.53% 88.974 83.524
10 GBP/JPY 6.48% 183.869 172.674
11 AUD/USD 6.38% 0.6899 0.64853
12 EUR/JPY 6.31% 157.994 148.616
13 CHF/JPY 6.04% 161.648 152.439
14 SEK/JPY 5.98% 13.462 12.702
15 USD/JPY 4.83% 145.071 138.388
16 HKD/JPY 4.77% 18.5 17.657
17 EUR/AUD 4.45% 1.65534 1.58482
18 SGD/JPY 4.30% 106.917 102.505
19 AUD/CAD 4.28% 0.91158 0.87415
20 NZD/USD 4.26% 0.62468 0.59913
21 GBP/AUD 4.00% 1.92401 1.85007
22 GBP/USD 3.87% 1.28472 1.2368
23 USD/CAD 3.57% 1.35843 1.31157
24 EUR/NZD 3.53% 1.80059 1.73927
25 EUR/USD 3.28% 1.10112 1.06614
26 CNH/JPY 2.91% 19.967 19.402
27 USD/CHF 2.45% 0.91189 0.8901
28 AUD/NZD 2.44% 1.1052 1.07884
29 EUR/GBP 1.64% 0.86575 0.85179

 

スワップポイント累計ランキング:ユーロ/トルコリラ(売)が首位

ユーロ/トルコリラ(売)が5月に続き首位となった。メキシコペソ/円(買)が第2位、ポンド/円(買)が第3位、香港ドル/円(買)が第4位、ドル/円(買)が第5位となった。

※MXN/JPY、ZAR/JPY、HKD/JPY、CNH/JPY、NOK/JPY、SEK/JPYは10万通貨あたり
※前週終値に取引数量を掛け合わせた取引残高に対してのスワップポイント合計

順位 通貨ペア 売買区分 スワップ合計 円 取引保証金
1 EUR/TRY 8925 64,000
2 MXN/JPY 7520 40,000
3 GBP/JPY 7430 74,000
4 HKD/JPY 6560 80,000
5 USD/JPY 6132 58,000
6 USD/TRY 5644 58,000
7 EUR/JPY 4765 64,000
8 ZAR/JPY 4570 40,000
9 USD/CHF 4158 58,000
10 CAD/JPY 3894 44,000
11 NZD/JPY 3508 36,000
12 AUD/JPY 3140 40,000
13 SEK/JPY 2760 60,000
14 NOK/JPY 2700 60,000
15 CHF/JPY 2410 65,000
16 SGD/JPY 2320 43,000
17 EUR/NZD 2226 64,000
18 EUR/USD 2170 64,000
19 CNH/JPY 1990 80,000
20 EUR/GBP 1386 64,000
21 TRY/JPY 816 3,000
22 AUD/USD 709 40,000
23 EUR/AUD 700 64,000
24 GBP/USD 577 74,000
25 AUD/NZD 513 40,000
26 GBP/AUD 479 74,000
27 USD/CAD 326 58,000
28 AUD/CAD 98 40,000
29 NZD/USD 0 36,000

 

取引高ランキング:ドル/円の首位は揺るがず

期間中の取引高ランキングは、ドル/円の首位は揺るがなかった。なお、第4位のポンド/円は183.87円前後と2015年12月以来の高値を更新した。英消費者物価指数(CPI)の高止まりが続く中で、英中銀(BOE)は6月22日に市場予想(0.25%利上げ)を上回る0.50%の利上げを決定した。大幅利上げを実施したことで景気減速(リセッション)への懸念がくすぶると思われる。ただ、少なくとも年内は利上げを続ける可能性が高いことや円安が後押しとなり上値摸索の展開となっていることなどが取引高ランキングに変動をもたらしたと思われる。

順位 通貨ペア 前回順位
1 USD/JPY 1
2 MXN/JPY 2
3 AUD/JPY 3
4 GBP/JPY 5
5 EUR/JPY 4
6 ZAR/JPY 6
7 TRY/JPY 10
8 EUR/USD 7
9 AUD/USD 9
10 NZD/JPY 8
11 GBP/USD 11
12 NZD/USD 12
13 CAD/JPY 15
14 GBP/AUD 13
15 CHF/JPY 14
16 EUR/AUD 16
17 AUD/NZD 19
18 USD/CHF 17
19 EUR/GBP 20
20 EUR/NZD 21
21 USD/CAD 22
22 CNH/JPY 18
23 USD/TRY 24
24 NOK/JPY 23
25 AUD/CAD 25
26 EUR/TRY 27
27 HKD/JPY 28
28 SEK/JPY 26
29 SGD/JPY 29

まとめ

取引高ランキングの1位から7位までが対円通貨ペアとなっている。6月は日銀が大規模金融緩和の維持を決定した一方で海外中銀は相次いで利上げを決定した。そうしたことから日銀のハト派スタンスが際立ち円安が強まったことが要因となったようだ。

変動率ベスト3に該当するトルコリラは7月についても注視する必要がある。6月トルコ中銀会合では6.50%利上げを決定し政策金利を15.00%にしたにも関わらずトルコリラ売りは加速。7月5日に発表されたトルコ6月CPIは+38.21%と市場予想(+39.00%)を下回ったとはいえ前回(+39.59%)から大きく鈍化しておらず高止まりとなっている。そうした中で、7月20日にトルコ中銀による政策金利の発表が控えており、一部では段階的に政策金利を引き上げていくのではないかとの声も上がっている。トルコ中銀と市場の見立ての乖離によってトルコリラ相場は大きく変動することが考えられる。

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uehara.jpg 外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
宇栄原 宗平(うえはら・しゅうへい)
国際テクニカルアナリスト連盟 認定テクニカルアナリスト(CFTe) 2015年から金融業界に参入し、顧客サポートなどに従事。また金融セミナーの講師としても活躍する。2022年2月(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。これまでの経験や知識を活かしながら、FX個人投資家へ精力的な情報発信を行っている。経済番組専門放送局「ストックボイス」や、ニッポン放送『辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!』でのレギュラー解説ほか出演多数。マネー誌『ダイヤモンドZAi(ザイ)』にてドル円・ユーロ円見通しを連載中。
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