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今週の為替予想(豪ドル/円 NZドル/円 )「RBA理事会に注目!利上げ継続示唆でも豪ドルは上値が重い?」ハロンズ FX 2023/3/5

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執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次

 

RBA理事会に注目!利上げ継続示唆でも豪ドルは上値が重い?

今週の振り返り

今週の豪ドル/円は91.78円前後、NZドル/円は84.00円前後で週初を迎えました。3月1日に発表された豪10‐12月期国内総生産(GDP)や豪1月消費者物価指数(CPI)の結果を受けて豪ドル売りが強まり、豪ドル/円は一時91.29円前後まで下落しました。その後発表された、中国2月製造業購買担当者景気指数(PMI)や同2月非製造業PMIが予想を上回ったことで、同国の景気回復期待が高まりました。この結果を受けて、豪ドル/円は一転買いが優勢となり92.22円前後まで上値を伸ばしました。また、中国の景気回復期待はNZドルに対しても支援材料となり、NZドル/円は85.21円前後まで上値を伸ばしました。

RBA理事会!注目は?

3月7日には豪準備銀行(RBA)の金融政策会合(理事会)が開催されます。前回2月の会合では、それまでの声明にはなかった「今後数カ月にわたり金利を引き上げる必要」といった見方が示されました。その後、ロウRBA総裁は議会証言でも同様の発言をしています。そのため、市場は今回の理事会でRBAが0.25%の利上げを実施することを“ほぼ”確実視しています。それは「直近の豪雇用統計と豪月次消費者物価指数(CPI)の結果がインフレ鈍化を示唆するもの」と市場が捉えたからです。では、その2つの指標の結果を確認してみましょう。

①1月豪雇用統計


1月の豪州の雇用者数は12月から引き続き減少となりました。豪州の雇用者数が2カ月連続で減少するのは、新型コロナのパンデミック期間を除くと2016年まで遡ることになります。RBAは労働市場のひっ迫を警戒しています。そのため、労働者の減少はインフレ鈍化の一つの兆しと市場は捉えました。しかし、同統計を集計、発表している豪統計局(ABS)は、「1月は1年で一番季節性が高い時期」「豪労働市場は依然としてひっ迫」との見方を示しています。豪州の労働市場が減速し始めていると評価するには時期尚早でしょう。

②豪消費者物価指数(CPI)


12月の月次CPIは前年比+8.4%と豪州のインフレは大きな伸びを見せました。大きな要因はホリデーシーズンによる宿泊費や移動費の高騰でした。そして、3月1日に1月月次CPIが発表されました。結果は+7.4%となり、12月の大幅な上昇は季節的な要因だったことを裏付けた一方で、11月と比べると若干上昇しています。インフレは鈍化の兆しを見せたとはまだ言えなそうです。

①、②を見る限りでは豪州のインフレが鈍化をし始めたとは言えません。また、欧州や米国を見ると鈍化傾向に入ったインフレが、ここ最近鈍化のペースを落としています。「今回のインフレは粘着性が強い(つまりなかなか鈍化しない)」といった言葉を見る頻度も増えてきました。こういった状況下でRBAが利上げを見送ることはないと筆者は考えています。政策金利は大勢の予想通り0.25%の利上げを実施し、前回の声明に織り込まれていた「今後数カ月にわたり金利を引き上げる必要」といった文言に変化があるかが注目となりそうです。

豪州経済は?

3月1日に豪10-12月期国内総生産(GDP)が発表されました。結果は前期比+0.5%となり、5期連続のプラス成長となりました。一方で、プラス幅は2期連続で縮小しています。内容を見ると、輸出と家計支出に支えられた一方で、家計貯蓄が4.5%と前期(7.1%)から大きく減少しています。これは高インフレ、高金利の影響が貯蓄に影響を及ぼし始めていることを示すとともに、この状況が続けば豪経済は大きなダメージを受けることを示唆しています。

小売売上高のデータを見ても、12月に大きく減少した小売売上高は1月に反発しました。これは、「12月の減少は、人々が11月のブラックフライデーのセールに前もって買いだめをした」というABSの見解が正しかったことを示しています。一方で、豪州の消費は昨年9月から横ばいとなっていることも示しています。豪州の消費意欲は昨年5月にRBAが利上げを開始して以降も堅調な伸びを示していました。前述の10-12月期GDPの結果を見てもわかる通り、旺盛な消費が豪州経済を支える一因でした。その消費に停滞の可能性が出てきたということです。

こういった指標結果から、市場は豪州経済が減速することへの警戒感を強めています。こういったことから、7日のRBA理事会でRBAがこれまで以上にタカ派的な姿勢を取ったとしても、豪州の景気減速懸念が豪ドルの上値を抑えるのではないでしょうか。この状況を変えられるのは、経済指標の好転とインフレの鈍化となりそうです。

豪ドル/円のテクニカル分析

今週の豪ドル/円は92.20円台に透明の天井が存在していたかのように、同水準で上値を抑えられました(執筆時)。この水準よりも上では、93円台前半に200日移動平均線(MA、青点線)が位置しています。強い抵抗となる一方で、上抜けに成功した場合には豪ドル買いが加速する可能性がありますので、同水準では注意が必要になりそうです。その上の水準では、昨年11月下旬から12月にかけて意識された94円前後が上値目途として意識されそうです。下値は目先は日足一目均衡表・雲上限(90円台半ば~91円手前)が目途として意識されそうです。

【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200MA】

出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

予想レンジ:AUD/JPY:90.50-94.00、NZD/JPY:83.50-86.50

3/6 週のイベント:

03/07 (火) 時間未定 中国 2月貿易収支
03/07 (火) 09:30 豪 1月貿易収支
03/07 (火) 12:30 豪準備銀行(RBA)、政策金利発表
03/09 (木) 10:30 中国 2月消費者物価指数(CPI)
03/09 (木) 10:30 中国 2月生産者物価指数(PPI)
03/10 (金) 06:45 NZ 10-12月期四半期製造業売上高

一言コメント:

先日、義理の両親と家族旅行に行った際に、突然次男が私のことを「お父さん」と呼び始めました。私が義父のことを「お義父さん」と呼んでいたからマネをしたのだとは思いますが、もう少し「パパ」と呼ばれていたい気もして複雑な気分に…(笑)現在は、たまに思い出したかのように「お父さん」と呼んできますが、そのうち状況によって「パパ」と「お父さん」を使い分けてきそうです。

nakamura.jpg 外為どっとコム総合研究所 調査部 研究員
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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