総括
FX「人民元2位へ急騰。2月PMIが1月に続き改善。米中緊張は続く」人民元見通し
(通貨2位、株価7位)
予想レンジ 人民元/円19.6-20.1
(ポイント)
*2月PMIに改善で人民元、株価が上昇
*3月5日に全人代
*米中関係での摩擦は続くが、決定的な衝突はない
*中国がウクライナ・ロシア紛争の和平案を提案
*王毅氏とプーチン大統領が会談
*1月の対中国FDI、前年比14.5%増
*政策金利、2月据え置き
*主要経済指標発表は3月に
*対豪関係は改善
*対米、対独の2022年の貿易額は過去最高
*IMFが23年成長見通し上方修正
*習主席が中国式現代化論を総括した
*マッカ―シー下院議長は台湾訪問か
*ラガルドECB総裁は中国の景気回復でのインフレを懸念
*対露貿易は拡大
(各種PMIが続伸で人民元、株価が急上昇)
人民元は各種PMIの改善もあって前週の5位から2位へ上昇。今年は、常に上位グループに入っている。3月1日の上海総合指数は1%高、香港ハンセン指数は4.21%高となった。政府の「デジタル中国の建設計画」を材料に、三大通信株や通信設備株が続伸した。
(2月PMIは1月に続き改善)
ゼロコロナ政策緩和で中国経済の正常化が進み、3月1日発表の2月の各種PMIも1月にい続き改善した。
・政府版製造業PMI52.6(前回51.3)
・政府版非製造業PMI56.3(54.4)
・政府版総合PMI56.4(52.9)
・財新製造業PMI51.6(49.2)
(イエレン米財務長官は関係改善に動く)
イエレン米財務長官は、中国と「適切な時期に」経済問題の協議を再開すると述べた。中国の偵察気球問題を受け、ブリンケン国務長官とイエレン財務長官の訪中が取り止めとなった。
イエレン長官は米中間のコミュニケーションは「地球全体のために」重要だと指摘。具体的な時期は分からないとしながらも、「適切な時期に協議を再開すると信じている」と述べた。
(中国がウクライナ・ロシア紛争の和平案を提案)
中国外務省が、ウクライナ危機の政治解決に向けた12項目の文書を発表した。ウクライナのゼレンスキー大統領は、中国の文書に対し、「戦争の当事国だけが和平案を提案できる」と慎重な立場を示した。一方で、 習近平国家主席と会談する用意があると明らかにした。ゼレンスキー大統領は12項目の中に「いくつか同意できない項目がある」と述べ、ウクライナの領土保全や露軍のウクライナからの撤退などが明記されていないことに不満をにじませた。
(3月5日に全人代)
全人代が3月5日に開幕する。習近平国家主席への権力集中が強まる中、ここ10年で最大の人事刷新を行う見通しだ。一方、新型コロナウイルス禍後のまだら模様の景気回復や対米関係の悪化など多くの課題にも直面している。今年の経済成長率目標について、失業率を抑えるため5-6%に設定される可能性が高いとしている。消費や海外投資を促す措置などを打ち出す見通しだが、抜本的な改革は見込まれていないという。
テクニカル分析(人民元/円)
3月1日は大陽線で2σ上限へ
日足、雲の上に出て小康後、3月1日は大陽線を出し、再びボリバン2σ上限へ上昇。2月24日-3月1日の上昇ラインがサポート。22年11月4日-23年3月1日の下降ラインが上値抵抗。5日線。20日線上向き。
週足、雲中での推移続いていたが雲の上限へ。2月20日週-27日週の上昇ラインがサポート。22年10月17日週-2月20日週の下降ラインを上抜く。ボリバン中位も上抜く。
月足、1月、2月は陽線。3月も陽線スタート。11月-12月、10月-11月の下降ラインを上抜く。1月-2月の上昇ラインがサポート。
年足、3年連続陽線。23年も陽線スタート。ただ22年は上ヒゲが長い。20年-21年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
米中関係はどこへ向かうのか
米中間の国交を断絶するような大きな争いはないが、経済安全保障面ではIT関係を中心に常に摩擦が起きている。それにもかかわらず2022年の米中貿易は過去最高額となった。
世界の多くの国が対中貿易額が最大もしくは上位となっている。米中関係がさらに悪化して、対ロシアのような貿易断絶状態になれば世界はどれほど混乱するのか想定はしておきたい。ただ中国は21世紀に急速に台頭してきた。多くの国は中国との取引がなかった時も経験している。中国の代替となる産業を再興するには時間がかかるが実現できる。元々やっていたのだから。それより中国が売り手先を失うほうが計り知れないダメージがあるのではないかと思う。それゆえに中国もロシアのような無謀な行動に走ることには慎重となると思う。
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