執筆:外為どっとコム総合研究所 中村 勉
Twitter:@gaitamesk_naka
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目次
- ▼今週の振り返り
- ▼予想を上回るCPIにもかかわらず、豪ドル、NZドルは別々の動きに
- ▼NZの雇用統計でRBNZ利上げ幅が…?
- ▼中国経済がV字回復⁉
- ▼豪ドル/円のテクニカル分析
- ▼1/30 週のイベント
- ▼一言コメント
中国経済がV字回復なら豪ドル、NZドルを支える?NZにも注目経済指標
今週の振り返り
今週の豪ドル/円は90.09円前後、NZドル/円は83.64円前後で週初を迎えました。
23日には日銀が前週の金融政策決定会合で拡充を決めた、5年物の共通担保資金供給オペを実施。1兆円のオファーに対して、約3.1兆円の応札があったことが判明すると円安が加速。豪ドル/円は91.92円前後、NZドル/円は84.84円前後まで上値を伸ばしました。25日には豪州、NZの10-12月期消費者物価指数(四半期CPI)がそれぞれ発表され、ともに市場予想を上回りました。その結果、豪ドル/円は直近のレジスタンスとなっていた92円付近を上抜けて92円台後半まで上昇。他方で、NZドル/円は83円台半ばまで反落しました。
予想を上回るCPIにもかかわらず、豪ドル、NZドルは別々の動きに
25日に発表された豪州、NZの10-12月期CPIは豪州が前年比+7.8%、NZが+7.2%とともに予想(+7.5%、+7.1%)を上回る結果となりました。そして、両国ともに中央銀行のインフレ見通し(豪+8%前後、NZ+7.5%)を下回っていました。しかし豪ドルとNZドルの動きは違ったものとなりました。これは両国の金融政策に対する市場の思惑が大きく影響しています。まず豪州ですが、豪準備銀行(RBA)は昨年10月に金利の上げ幅を0.25%に縮小し、その後は2会合連続で0.25%利上げを実施しています。欧米のインフレ率が鈍化に向かう中で、市場はRBAが次回の会合にも政策金利を据え置き様子見に転じるとの思惑を持ちつつありました。他方で、NZ準備銀行(RBNZ)は前回11月の金融政策会合で利上げ幅を0.75%に拡大しタカ派的な姿勢を示しました。そのため、市場は次回2月22日の会合でも0.75%利上げを続けるというのが中心的な考えとなっていました。
そこへ前述の四半期CPIの結果が出てきました。豪州は予想以上の数値で、急伸するインフレをみて、「これは金利据え置きどころではない」との判断。NZはRBNZが想定していたよりもインフレが強まっていなかったので、「これは0.50%に利上げ幅縮小の可能性もあるぞ」と考える市場参加者が増えてきました。豪州、NZどちらの四半期CPIも市場予想を上回り、中銀予想を下回りましたが、それまでの市場の思惑が全く違ったため別々の動きをすることになりました。
NZの雇用統計でRBNZ利上げ幅が…?
来週は2月1日にNZの10-12月期雇用統計が発表されます。失業率の市場予想は前期(7-9月期)と同じ3.3%となっています。NZの失業率は2021年10-12月期に3.2%と1986年に統計を開始して以来の最低水準を記録しました。これ以降4四半期(1年間)連続で3.2%~3.3%で推移しています。また、労働参加率は71.7%と統計開始以来の最高値を記録、平均賃金は前期比+2.6%となっており、NZでも労働市場の逼迫がインフレを下支えする要因となっています。来週発表される10-12月期雇用統計で、NZの労働市場が引き続き逼迫した状態だと市場が捕えるとRBNZが0.75%利上げを継続するとの期待が再び高まるのではないでしょうか。
中国経済がV字回復⁉
その他、来週は中国の1月製造業/非製造業PMIや1月Caixin製造業/サービス業PMIが発表されます。中国は12月にゼロ・コロナ政策の緩和を開始。それ以降、新型コロナ感染拡大が見られた一方で、景気回復への期待が高まっていました。そして、今週は4年振りに行動制限のない春節がありました。感染拡大への警戒感は残りましたが、人民の大移動に伴う経済活性化の期待が高まっています。その影響もあり、市場は国家統計局、Caixinが発表する1月製造業/非製造業PMIはどれも50.0(好不況の境目)を超えると見ているようです。特に非製造業(サービス業)PMIはともに52.0と12月から大幅に回復すると予想しています。市場予想に届かない場合でも50.0を超える結果となれば、中国経済のV字回復を印象付けることとなります。その場合は、中国と交易関係の強い豪ドル、NZドルを支える材料となりそうです。
豪ドル/円のテクニカル分析
豪ドル/円は25日に①転換線が基準線の上、②日々線が雲の上、③遅行線が日々線の上、と三役好転が点灯しました。目先の上値目途は200日移動平均線(MA、青線)となります。日足の終値ベースで200MAを上抜けると一段の上昇が見込めそうです。一方で下値目途ですが、目先は日足一目均衡表の雲上限となります。そこを下抜けた場合は、今週安値(23日)の90.06円前後が次の目途となりそうです。
【豪ドル/円 日足・一目均衡表、200日移動平均線】
予想レンジ:AUD/JPY:90.00-94.50、NZD/JPY:82.00-86.00
1/30 週のイベント:
01/30 (月) 06:45 NZ 12月貿易収支
01/31 (火) 09:30 豪 12月小売売上高
01/31 (火) 10:30 中国 1月製造業購買担当者景気指数(PMI)
01/31 (火) 10:30 中国 1月非製造業PMI
02/01 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期就業者数増減
02/01 (水) 06:45 NZ 10-12月期四半期失業率
02/01 (水) 10:45 中国 1月Caixin製造業PMI
02/02 (木) 06:45 NZ 12月住宅建設許可件数
02/02 (木) 09:30 豪 12月住宅建設許可件数
02/03 (金) 10:45 中国 1月Caixinサービス業PMI
一言コメント:
先日、指導している少年サッカーチームで未就学時の体験会を開催したので、息子も参加させました。私が指導しない日にはちょくちょく練習場に連れて行き、雰囲気に慣れさせていたつもりでした。本人もやる気だったのですが、いざ自分も他の未就学児とやる番!となると勝手が違うようです。泣きながら私のところに走ってきて参加を拒否。未就学児の体験ではよくあることなのですが、まさか慣れていると思った我が子が…最初は外でボールを蹴って、慣れてきたようなので最後の試合には少しだけ参加しました。周りの大学生のお兄ちゃんの好サポートのおかげで何点か取り、ママにはどや顔で「○○点取ったんだよ!」と報告していました。
中村 勉(なかむら・つとむ)
米国の大学で学び、帰国後に上田ハーロー(株)へ入社。 8年間カバーディーラーに従事し、顧客サービス開発にも携わる。 2021年10月から(株)外為どっとコム総合研究所へ入社。 優れた英語力とカバーディーラー時代の経験を活かし、レポート、X(Twitter)を通してFX個人投資家向けの情報発信を担当している。
経済番組専門放送局ストックボイスTV『東京マーケットワイド』、ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。
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