執筆:外為どっとコム総合研究所 神田 卓也
9月30日、英大手格付け会社S&Pはトルコのソブリン債格付けを「B+」から「B」に引き下げた。S&Pは、トルコが来年の総選挙や大統領選挙を控えて金融の安定より成長を優先していると指摘。「極めて緩和的な財政および金融の環境は、世界的な金融環境の引き締まりを背景に、価値を保存する手段としての通貨リラの信認を一段と損なうリスクがある」と格下げの理由を説明した。
10月3日、トルコ統計局が発表した9月消費者物価指数(CPI)は前年比+83.45%となり、市場予想(83.50%)はわずかに下回ったものの24年ぶりの高い伸びとなった。輸送価格が前年比118%上昇、食品・非アルコール飲料が93%上昇するなど、トルコは深刻なインフレに見舞われている。
これらに先立つ9月29日、トルコのエルドアン大統領は中銀に対し今後の会合で政策金利をさらに引き下げるよう提言したことを明らかにした。大統領は「私の最大の戦いが金利との戦いだ。私の最大の敵が金利だ。われわれは金利を12%まで引き下げた。これで十分だろうか。十分ではない。一段の低下が必要だ」と発言。その上で「われわれは中銀とこの点を協議している。今後の金融政策決定会合で金利を下げる必要があると提案した」と述べた。10月20日の中銀会合でも追加利下げが濃厚と見られる。現時点では、トルコリラを買うべき理由は見当たらないのが実情だ。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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