総括
FX「弱いながらも小康状態」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円7.3-8.3
(ポイント)
*今週の政策金利決定も大統領の以降で14%に据え置きか
*国民は自己防衛でリラ売りドル買い、リラ売りユーロ買い
*トルコを格下げ(フィッチ)
*S&Pは既に格下げを実施
*対円では9%安だが、対ドルで31%安
*エルドアン大統領の来年の大統領選挙への支持率が低い
*高インフレに暫く忍耐を(エルドアン大統領)
*米議会がF16戦闘機のトルコへの売却に反対
*新資本規制の効果薄れる
*6月消費者物価は78.62%へ
*スウェーデンとフィンランドのNATOへの加盟を支持
*ロシアへの経済制裁に加わらない
*トルコの不満はEUに入れずNATOに利用されていることか
*住宅価格上昇はロシア人の住宅購入によるもの
*観光収入は増える
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
(貿易赤字改善は難しい。今週の政策金利決定は14%で据え置きか)
資源を持たない恒常的な貿易赤字国のトルコが資源高で赤字改善が難しい。なかなかリラを浮揚させるのは難しいところだ。大統領の指示でインフレが80%に近づいても政策金利は14%に据え置かれたままである。リラ安と14%の金利では海外からの投資もままならないようだ。今週の政策金利決定会合も14%で据え置かれる予想だ。
(国民は自己防衛でリラ売りドル買い、リラ売りユーロ買い)
国民は自己防衛でユーロやドルを買っている。トルコの預金はリラよりも外貨が多い。国民はこれでインフレから逃れようとしている。
(ギリシャ、イタリアになれずリラ売り)
政府はリラ上昇のため資本規制を強化し、リラの国外への流出を防ごうとしているが効果は出ていない。20世紀は同じような苦しみを経験していたギリシャやイタリアはユーロ通貨統合に参加して通貨の安定を獲得した。トルコは今後も恒久的な貿易赤字からくるリラ安・高インフレに悩むこととなる。経常収支は観光収入をあてにするしかない。外交を改善して、ユーロ通貨統合に参加するとは言えないまでも、EUや米国との関係を改善すれば経済外交もよくなり経済安定化に繋がるが、大統領にはその気持ちなく、喧嘩外交あり、ロシアになびく外交ありと心許ない。
(低下する大統領支持率)
高インフレに国民の不満は大きく来年の大統領選挙へ向けて、エルドアン大統領の支持率は低下を続けている。エルドアン大統領は選挙に勝つためには法律を変えたりしても巻き返す人間なのでサプライズ政策はあるかもしれない。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
雲に入れず。7月15日、18日と上ヒゲが長い
日足、雲に入れず。7月15日、18日と上ヒゲが長い。ボリバン中位割り込む。7月13日-18日の上昇ラインがサポート。7月15日-18日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向きで20日線を下抜く、20日線は上向き。
週足、7月4日週-111日週の上昇ラインがサポート。5月9日週-6月27日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下位。
月足、1月からほぼ横ばい。21年12月-22年6月の上昇ラインがサポート。21年11月-22年5月の下降ラインを上抜く。
年足、7年連続陰線。22年は一時寄り引き同時に近づいたが、また円に引き離される。18年-21年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
北欧2国のNATO加盟、約束履行なければ凍結
エルドアン大統領は、フィンランドとスウェーデンが先月のテロ対策に関する約束を守らない場合、両国のNATO加盟を凍結すると述べた。
また、スウェーデンは現時点で「良いイメージを見せていない」とした。
両国の加盟申請を巡っては、トルコの反対で加盟実現が危ぶまれていたが先月、NATO首脳会議の直前の協議でトルコが支持に転じた。ただエルドアン大統領は首脳会議閉幕時の会見で、クルド人武装組織の扱いなどを巡る約束を順守しなければ国内の批准手続きを行わないと警告した。
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