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FX/為替予想「原油価格の上昇と中銀のタカ派的スタンスでペソが上昇」メキシコペソ/円 4月見通し YEN蔵

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目次

▼メキシコ中銀はタカ派姿勢を維持
▼メキシコ中銀の独立性は維持できるか?
▼ペソは大きく上昇

メキシコ中銀はタカ派姿勢を維持

3月24日の金融政策決定会合で政策金利を予想通り0.50%引き上げ6.50%としました。7会合連続の利上げで決定は全会一致でした。
メキシコの3月前半の消費者物価指数は前年比で7.29%、農産物、エネルギー価格を除くコア指数は6.68%となりました。
これに対してメキシコ中銀はインフレ率が目標の上限の4%を下回る時期を2023年4~6月以降になるという見通しを示しました。これは2月時点の見通しである2023年1~3月期から後ずれしました
中銀は声明で予想されるインフレのリスクバランスは悪化しており、上方に偏っているとしました。インフレに対する警戒感が連続利上げに結びついたと推測されます。

メキシコ中銀の独立性は維持できるか?

メキシコ中銀の決定の発表の数時間前にロペスオブラドール・メキシコ大統領は中銀が0.50%金利を引き上げて6.50%にしたと発言しました。その後に大統領はロドリゲス・メキシコ中銀総裁にすでに公表されたものと勘違いしていたと陳謝しました。
中銀の発表を事前にリークしたり、中銀の決定に圧力をかける行動は先進国では禁じ手です。トランプ前米大統領のようにパウエルFRB議長に圧力をかけた首脳もいましたがG7の国では異例中の異例です。
一方でトルコのように中銀総裁の首を挿げ替えても金融政策に介入する国にもあります。しかしそのような国の中央銀行は信頼されずに、自動的に金融政策も後手に追い込まれます。
ロペスオブラドール・メキシコ大統領は、メキシコ中央銀行の独立性を尊重することを改めて表明するとしましたが、この大統領は中銀に圧力をかける兆候は以前からありました。
2020年12月に大統領の与党は国内の余剰のドルの買い入れを中銀に義務付ける法案を提出しましたが中銀の独立性を危うくするということで審議が棚上げされました。

去年の11月と12月のレポートにロドリゲス・メキシコ中銀総裁については書きましたが、改めて復習してみたいと思います。
11月24日にロペスオブラドール大統領は次期メキシコ中央銀行総裁にビクトリア・ロドリゲス財務副大臣を起用することを発表しました。それまでエレラ前財務・公債相が指名されていましたが、その人事が撤回されました。
この時も財政の専門家であるロドリゲス氏を指名したことで金融政策の不透明感からドル/ペソは上昇しペソ安がすすみました。
ロドリゲス氏は財政の専門家としてメキシコ市長時代のロペスオブラドール氏に仕え、大統領になった後にはメキシコ財務省に財務副大臣として勤務していました。金融政策に関しての能力が未知数ということと大統領との結びつきが中銀の独立性という意味で不安材料になっています。

一方でロドリゲス新総裁になってからのメキシコ中銀は、連続利上げで金融引き締めを継続し、ロドリゲス総裁自身も利上げに賛成しています。メキシコペソの上昇を見ると市場はここまではメキシコ中銀の姿勢に対して信任しています。
メキシコのGDPは2021年第4四半期の成長は前期比でフラットになり、CPIが高止まりする中で中銀が利上げスタンスを継続するのであれば大統領が中銀に対して信任を危うくする行動をとる可能性もあり、この点はペソのリスク材料になると思います。

ペソは大きく上昇

3月に入りペソ高が続いています。対ドルではFOMC前に全体的にドル高になったために、月初の20.46ペソから8日に21.46ペソまで上昇しました。しかしFOMCを通過して世界的にリスク選好が続く中でドル安ペソ高になり24日の利上げ後に19.92ペソまでペソ高となりましたが、20ペソ付近に反発して終了しました。
ドル/メキシコペソは19.80ペソ付近、そのレベルを抜けると2021年の安値19.59ペソ付近が短期的なサポートとなりそうです。
20.25ペソ付近が下抜けするまでのサポートレベルで、ここが抜けなければ19.59~20.25ペソのレンジ。上抜けすれば25,75日移動平均線が位置する20.50ペソ付近への上昇を予想します。

一方でペソ/円は6.123円まで上昇し、2018年10月の6.16円以来の高値圏に到達しました。2020年以降レジスタンスになっていた5.7円を上抜けしたことで上昇が加速しました。 対ドルに対して対円のペソの上昇のほうが大きいのは、やはりペソ高の面もありますが円安の要素が大きいのだと思います
6.16円が短期的なレジスタンスとなり、ここを抜けた場合は2017年7月の高値6.426円が上値のめどと予想します。レジスタンスンスだった5.7円がサポートとなり5.7~6.16円、上抜けする場合は6.426円への上昇を予想します。

メキシコペソ/円 日足

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YEN蔵
株式会社ADVANCE代表取締役 米系のシティバンク、英系のスタンダード・チャータード銀行で、20年以上にわたり、為替ディーラーとして活躍。現在は投資情報配信を主業務とする株式会社ADVANCE代表取締役。ドル、ユーロなどメジャー通貨のみならず、アジア通貨をはじめとするエマージング通貨でのディーリングについても造詣が深い。また、海外のトレーダー、ファンド関係者との親交も深い。ブログ「YEN蔵のFX投資術」、メルマガ「YEN蔵の市場便り」で個人投資家に対して為替に関する情報を発信しており、人気を博している。
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