総括
FX「安定上昇。一時19円越え。米中制裁合戦を想定し備えを」人民元見通し
(通貨7位(3位)、株価14位(8位))
予想レンジ 人民元/円 18.7-19.2
(ポイント)
*人民元は19.035と年初来最高値更新。2015年12月以来の高値
*2022年に入ってから貿易収支、製造業PMI、小売売上、鉱工業生産が改善
*株価は3月急落も政府の景気支援策で下げ止まる
*株価急落はウクライナ危機、米中対立激化、コロナ感染拡大などによるもの
*1人当たりGDPが世界の「高所得国」入りに近づく
*消費者物価は低い0.9%
*2022年のGDP目標は5.5%
*軍を海外派遣する根拠法を整備へ
*中国の外資導入は昨年再び過去最大
*EU、中国と4月1日に首脳会談へ
*2021年の対米黒字が1兆ドル超え
*米国は中国の半導体企業に制裁を加えたため半導体が不足している
*海外投資家による中国国債保有高が最高
*21年のGDPは前年比8.1%増で、予想の8.0%増を上回った。
(人民元、対円で強いが対ドルでは若干弱い)
中国株が急落したが、人民元は底堅い。12通貨中の順位こそ7位へ落としたが、バスケット通貨制で重用するドルが下落したからである。年初来対円では4.76%高だ。対ドルでは0.4%安。このところの中国株の乱高下は影響しなかった。
(株急落に景気対策)
上海総合指数は3月では一時11%超下落した。コロナ感染拡大でロックダウンの可能性がでて景気停滞観測がでたこと、ウクライナ問題でバイデン大統領が「中国がロシアを支援すれば、それなりの代償を負う」としたことで、中国への経済制裁も連想され急落した。
ただここでは劉鶴副首相が「市場に恩恵を与える政策を導入する」方針を示したことで、苦境に陥っているさまざまなセクターを押し上げる具体的な政策がさらに打ち出されるとの期待が広がって株価は急回復した。劉鶴副首相は投資家の利益を重視する方向への政策変更を示唆した。指導部が決めた原則に従い、今年の経済成長率目標(5.5%前後)を達成を手助けする具体策が考案されることになる。また不動産部門のリスクを減らす必要があり、新たな発展モデルを促す措置を提案したと発言。国務院金融安定発展委員会で、資本市場にとって好ましい政策措置を打ち出す方針を示した。
(最優遇貸出金利を据え置き)
人民銀行は3月21日、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想通り据え置いた。ただ、経済に対する外的リスクが高まる中、金融緩和の必要性が強まっているとみている。1年物LPRは3.7%に、5年物LPRは4.6%に、それぞれ据え置かれた。
市場では、当局が近く金融緩和を再開し、新型コロナウイルス再拡大や信用の伸び鈍化、不動産部門の低迷などで打撃を受けた景気への支援に取り組むと予想している。ウクライナ情勢に絡む外的リスクの高まりも中国経済への重しとなる。
(中小企業に1兆元税還付)
中国国務院(内閣)は、中小企業に1兆元近くの税還付を実施する方針を表明した。経済の安定性を高めることが目的。市場の信頼向上、資本市場の安定と健全性維持に向け、対象を絞った措置も講じる。資本市場の運営に起因する問題を適切に取り扱い、安定し透明性があり予測可能な市場環境を作り出す方針。国務院は、国際資本市場の変化が中国資本市場に及ぼす影響を非常に重視するとし、経済を安定化し市場の活力を可能な限り刺激する政策を打ち出していくと述べた。
(米中首脳会談)
ウクライナ情勢をめぐって、バイデン米大統領と習近平中国国家主席のオンラインの首脳会談では、バイデン大統領が中国がロシアを支援すれば代償がともなうことを警告したのに対し、習主席はロシアへの制裁に反対する姿勢を崩さず、議論は平行線のまま終わったとみられている。
テクニカル分析(人民元/円)
堅調 19.035付ける。年初来高値更新
日足、ボリバン2σ上限。3月21日-22の上昇ラインがサポート。3月23日は若干上ヒゲが長い。5日線、20日線上向き。はるか雲の上。
週足、ボリバン3σ上限。3月7日週-14日週の上昇ラインがサポート。はるか雲の上。
月足、ボリバン2σ上限。1月-2月の上昇ラインがサポート。雲の上。
2020年8月より月足の陰線は2回だけ(18か月で、寄り引き同時が1回)。
年足、21年は大陽線。20年-21年の上昇ラインがサポート。15年-21年の下降ラインを上抜いて22年スタート、ここまで陽線。
チーファンラマ
米中対立、米中制裁合戦の備えを
ウクライナ問題でバイデン大統領が「中国がロシアを支援すれば、それなりの代償を負う」としたことで、中国への経済制裁も連想され急落した。米国がロシアと同じような制裁を課すと世界経済は大混乱、我々個人の生活も大混乱する。
世界のどの国も最大貿易相手国を中国としている。その流通が途絶える。米債を1兆ドル購入している中国の資金が逃げる。資本市場から一帯一路まで中国の投資マネーが逃げる。大混乱になる前に、それを想定して自力で生き抜く準備をしたい。何も無ければいいのだが、コロナ、ロシア侵略と想定外のことが起きる時代なので。
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