読む前にチェック!最新FX為替情報

読む前にチェック!
最新FX為替情報
CFD銘柄を追加!

スプレッド
始値比
  • H
  • L
FX/為替レート一覧 FX/為替チャート一覧 株価指数/商品CFDレート一覧 株価指数/商品CFDチャート一覧

FX/為替「ルーブル取引不全 ユーロの下落圧力増す公算」臨時レポート 外為どっとコム総研 神田卓也(2022年3月1日時点)

臨時レポート

目次

▼ルーブル急落 欧米がロシア銀をSWIFTから排除
▼SWIFTからの排除で、ロシア企業の海外取引は困難に
▼ロシア中銀の資産凍結も異例の措置
▼制裁にはあえて曖昧さも
▼ルーブルは取引不全 ユーロの動向に注意

 

ルーブル急落 欧米がロシア銀をSWIFTから排除

米国、英国、欧州、カナダは2月26日(日本時間27日午前)、ロシアのウクライナ侵攻に対する制裁措置の一環として、ロシアの一部銀行を国際銀行間通信協会(SWIFT)から排除することで合意した。また、ロシア中銀に対して制裁を科すことにも合意した。

これを受けて週明け28日のロシアルーブル相場は気配を大きく下げて始まった。市場では、不要不急のルーブル取引を避けるムードが広がり流動性は極端に低下。銀行間市場で実際に取引が成立したかどうかは不透明だが、ブルームバーグ端末には日本時間11時過ぎにオープンレートして1ドル=117.50ルーブルが刻まれた。これは、前週末終値の1ドル=83.24ルーブルから約30%のドル高・ルーブル安水準だ。

なおこの日、本邦FX会社の多くがルーブルの新規取引を停止した事も伝わっている。欧米のロシアに対する経済制裁が、なぜルーブルの取引不全にまで発展したのか、そして投資家が今後注目すべき点について、改めて考えてみたい。

SWIFTからの排除で、ロシア企業の海外取引は困難に

まず、SWIFTとは、国際貿易などに絡む銀行間の資金決済を安全かつ円滑に行うために設立された協会の名称であるとともに、同協会が提供する送金取引のプラットフォームそのものを指す。世界の金融機関の1万社以上がこのプラットフォームを通じて大量の取引を処理しており、一日に3800万件におよぶ送金メッセージ等がやり取りされている。

中国なども別の決済網を有してはいるが、参加金融機関の数が圧倒的に少なく、この分野はSWIFTがほぼ独占していると言って差し支えない状況にある。

このため、ロシアの金融機関がSWIFTから締め出されることは、ロシア企業による海外取引がきわめて制限されることを意味する。ロシアは、国内総生産(GDP)の25-30%をモノの輸出が占め、そのうち約半分が天然ガス・原油などが占めるエネルギー輸出大国だけに、SWIFT遮断の影響は大きい。

ロシア中銀の資産凍結も異例の措置

欧米諸国は、ロシアの民間銀行だけでなく中央銀行にも制裁を科すことを決定した。詳細は発表されていないが、ロシア中銀が米連邦準備理事会(FRB)に持つドル資産を事実上凍結する案が有力視されている。実現すれば、SWIFTからの遮断との合わせ技で、ロシア中銀が市場でルーブル買い・ドル売り介入を継続的に行うことは事実上不可能となる。これまで、経済制裁としての資産凍結といえば、企業や個人が対象だった。今回もし中銀の資産凍結に踏み込めば、極めて異例の措置と言えるだろう。

なお、日銀もロシア中銀から預かっている4-5兆円規模の外貨準備を凍結する模様。28日に日本経済新聞が報じた。

制裁にはあえて曖昧さも

ただし、今回の異例の制裁措置にはいくつかの曖昧な点がある。例えば、SWIFT遮断については、ロシアの銀行のうちエネルギー取引を主に担う一部の金融機関には適用しない可能性を示唆している。また、約6300億ドルの外貨準備を保有するロシア中銀への制裁については、前述のとおりその詳細は明らかにしていない。欧米の共同声明は「われわれはきょう発表した措置に加えて、ロシアにウクライナを攻撃した責任を取らせるため、さらなる措置を講じる用意がある」としており、あえて曖昧さを残したことで追加制裁の余地を残したようにも見える。ロシアに「逃げ道」を用意して停戦を迫る考えがあるのかもしれない。

ルーブルは取引不全 ユーロの動向に注意

そうした中、28日に行われたロシアとウクライナの停戦交渉は、交渉の継続にこそ合意したものの、前向きな成果はなかった模様だ。数日中に次回交渉が行われるとも報じられているが、ロシアがウクライナ政権の退陣を要求している以上、交渉は難航することが予想される。いずれにしてもロシアルーブルは、ロシアがウクライナから手を引かない限り取引不全の状態が続くと考えられる。

一方で、ウクライナ情勢の混迷が続けばユーロに対する下落圧力が増す公算が大きい。ユーロ圏は貿易や金融の面でロシアとの繋がりが深い。天然ガス輸入の4割をロシア産が占める他、オランダやドイツの金融機関はロシアへの投資の割合が高いことで知られている。ロシア経済の破綻懸念は、通貨ユーロの重しになる可能性が高い

なお、欧州中銀(ECB)のラガルド総裁は、ロシアのウクライナ侵攻による経済全体の影響を判断するのは時期尚早だとしつつ、長引く不透明感が投資と消費を圧迫し、経済成長を妨げる可能性が高いことはすでに明白だと指摘。その上で「ECBはキャッシュと流動性が利用可能であることを確実にし、金融政策の方向性を設定するにあたり選択性と柔軟性を活用する」と表明した。今後のウクライナ情勢次第では、ECBの金融政策正常化が遅れるとの見方が強まりかねない。当面は、ユーロ相場の動向に注意が必要だろう

【ロシアルーブル/円(RUB/JPY)】
ロシアルーブル/円 為替チャート・FXチャート | 外為どっとコムのFX |

ロシアルーブル/円 日足

【ユーロ/円(EUR/JPY)】
ユーロ/円 為替チャート・FXチャート | 外為どっとコムのFX |

ユーロ/円 日足チャート

●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。