欧米の経済制裁でルーブルに下落圧力
ロシア・ルーブル相場は伝統的に国際原油価格の動向に連動する傾向があるが、このところの国際原油価格の上昇を促しているウクライナ問題を巡っては、ロシアが当事国であるなか、欧米との関係悪化による追加制裁が嫌気される形で調整圧力が掛かっている。ウクライナ問題の行方は依然不透明であるものの、ロシアがウクライナ東部の親露派地域の独立を承認し、平和維持活動を目的とする派兵決定を受けて、事態は一段とこう着化する可能性が高まっている。
ウクライナ情勢の混迷による原油価格上昇がルーブル高になる可能性は低い
現時点においてウクライナを舞台にした全面的な武力衝突に発展する可能性は低いと見込まれるが、ルーブル相場を巡っては欧米の追加制裁の行方も影響して、ウクライナ問題を巡る状況に左右される展開が続くことは避けられない。ウクライナ問題は原油をはじめとする国際商品市況のさらなる上振れを招くとみられるが、ルーブル相場の追い風となる可能性は極めて低いと見込まれる。さらに、追加制裁の行方如何では取引自体が困難になるリスクにも注意が必要と言える。
株式会社第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト 西濵 徹
【ロシアルーブル/円(RUB/JPY)日足チャート】
【関連記事】
FX/為替「ドルルーブルは80超え」ロシアルーブル:マイナー通貨 - 外為どっとコム マネ育チャンネル
FX/為替「ロシアルーブル円、急落警戒!!」見通しズバリ!Fxトレード戦略【ロシアルーブル円】 2022年2月22日号 - 外為どっとコム マネ育チャンネル
FX/為替「ロシアルーブル/円、売りポジション大幅増加」市況・個人投資家動向(取引状況、ポジション動向)2022年2月22日 - 外為どっとコム マネ育チャンネル
株式会社第一生命経済研究所 経済調査部・主席エコノミスト
西濵 徹(にしはま・とおる)氏
2001年3月 一橋大学経済学部卒。2001年4月 国際協力銀行(JBIC)入行。同行では、ODA部門(現、国際協力機構(JICA))の予算折衝や資金管理、アジア(東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジア)向け円借款の案件形成・審査・監理、アジア・東欧・アフリカ地域のソブリンリスク審査業務を担当。2008年1月 第一生命経済研究所入社。2011年4月主任エコノミストを経て2015年4月より現職。2017年10月より参議院第一特別調査室客員調査員(国際経済・外交、政府開発援助等)(兼務)。
担当は、アジア、オセアニア、中東、アフリカ、ロシア、中南米諸国など、新興国・資源国のマクロ経済及び政治情勢分析。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。