FX会社での勤務経験を持つYTKさん。現在は電気通信関係の個人事業主として働きながら、毎日FXに取り組む兼業トレーダーです。FXトレーダー歴は長く、リーマンショックで約1200万円という損失をだしながら、見事に復活を果たしました。相場の動きを正確に予測し、基本的に成行ではなく、指値注文だけでエントリーして、着実に利益を獲得しています。いったい、どのように相場を予測しているのか、具体的にはどのような取引手法を用いているのか。YTKさんにじっくりと話を伺いました。
年齢性別 :30代男性
職業 :個人事業主兼業トレーダー(元FX会社員)
FX取引歴 :15年以上
収支 :約9年で800万円超え(2013年10月~2021年12月取材申込時点)
トレードスタイル:デイトレード、スキャルピング
投資商品 :FXのみ
▼目次
1.外為どっとコムでFXデビュー
2.貯金200万円を元手にスタート
3.リーマンショックで1,200万円を失う
4.転職で収入アップ、FXの成績も好転
5.毎日12時間、為替レートを確認
6.チャートとは「後付け」
7.相場急変以外は指値注文
8.逆張りは指値注文が出しやすい
外為どっとコムでFXデビュー
編集部:- まずFXとの出合いを教えてください。
YTK:- 実は以前FX会社で働いていたことがあるんです。新卒で入社しました。就職活動をする中で、「将来のことも考えると、やっぱり金融の知識は身につけたほうがいい」と思い、FX会社を選びました。勤務していた部署は経理や総務で、お客さまの口座残高を管理したり、取引の売買報告書などを作ったりしていました。
編集部:- そうなんですね?FX会社で金融の知識を身につけようと。当然FXにも詳しくなりましたね?
YTK:- そうですね。ただ、当時は今と違って、手数料が高かったですよね。スワップポイントもたくさんついて、最高レバレッジも現在の25倍(個人)より、かなり高かった。だから、現在とは取引のやり方がまったく違いましたが、FXの基礎的なことは勉強できたと思います。
編集部:- FXを始めたのはいつですか?
YTK:- 入社後すぐですね。当時はFX会社に勤めていても、取引ができる時代でしたよね(※1)。実は自分の会社ではなく、外為どっとコムさんで口座を開設したんです。自分の会社では、運用成績や取引内容がバレちゃいますから(笑)。FX会社の中で、手数料、スワップポイントなどの評判が良かったので、外為どっとコムさんを選びました。
※1現在は金融先物取引業協会の規則により、同協会加入の金融商品取引業者(FX会社)に勤務し、金融先物取引業務に従事している人間は、金融先物取引を行うことが禁止されている
編集部:- それはちょっとうれしい話ですね。ところでYTKさんがFXを始められた当時は、FX会社もあまり多くありませんでしたが、その後、いろんなFX会社が出てきましたよね。
YTK:- そうですね。もちろん、その後、複数社でFX取引をしました。レバレッジのみならず取引ルールも大きく変わっていく中で、条件の有利なところを探し、メリットとデメリットを考慮しながら、同時に別々の会社の口座で取引していたこともあります。でも今は外為どっとコムさんだけです。信用度が高くて、最も安全なFX会社のひとつだと思うからです。
貯金200万円を元手にスタート
編集部:- どうもありがとうございます! 始めたときの運用資金はどれくらいでしたか?
YTK:- 確か200万円くらいですね。
編集部:- 少なくはない金額ですね。
YTK:- 自分にはある程度の貯金がありましたし、FX会社で経理をしていたときに、500万円とかで、投資を始める人たちがいるのを知っていたので、そのくらいが普通だと思っていました。
編集部:- 実際に始めてみて、運用成績はどうでしたか?
YTK:- 貯金を使ってFX口座を開設し、毎月の給料から積み立てたお金を入金し、FXの利益は引き出さずに、そのまま口座に残して“複利”運用することで、資金を増やしていったのですが・・・。
リーマンショックで1,200万円を失う
編集部:- もしかして、リーマンショックですか?
YTK:- そうなんです。リーマンショックの直撃を食らってしまい、約1,200万円の損失を発生させました。
編集部:- うわっ、それはすごい。よくやめずにFXを継続されましたね?
YTK:- 単純に「ロスカットされたのは、リーマンショックで急速に円高に振れたときに、『買い』で(相場に)入っていたからであって、いずれ(レートは)戻ってくる」と思ったからです。すぐにある程度は取り返せました。また、ロスカットされたとはいえ、運用できる資金が数百万円ほど残っていたので、FXを続けたんです。
編集部:- なるほど相場を熱心に分析されていたからこそ、戻ってくるという自信があったんですね?
YTK:- いや、自信があったと言うわけではなくて、「ある程度は取り返せるかな」と思っていただけですね。他の金融商品をやってなかったので、私にはFXしかなかった、というのも事実です。
転職で収入アップ、FXの成績も好転
編集部:- 当時の取引通貨ペアは?
YTK:- 分散していましたが「米ドル/円」と「豪ドル/円」が多かったと思います。
編集部:- そこからYTKさんの収益はV字回復していくわけですが、どのような取引をされたんでしょうか?
YTK:- 実はリーマンショック後に転職しました。現在は電気通信の個人事業主ですが、会社員時代よりも収入が増えたんです。資金に余裕が持てるようになったら、FXの収益もうまく増やせるようになりました。
編集部:- 大きなロット数で余裕を持ったトレードが可能になったと言うことですか?
YTK:- 電気通信事業はIT社会においてはなくてはならないものですよね。たまたま転職が「当たった」ということなんだと思います。リーマンショックで確かに大きな損失を出してしまいましたが、それがきっかけで、転職し、働いてお金を稼ごうという気持ちになりました。投資よりも働いて稼がなきゃと思ったんです。
毎日12時間、為替レートを確認
編集部:- 本業がお忙しい中で、FX取引はいつされているのでしょうか?
YTK:- これを言うと、みなさんに「ドン引き」されてしまうかも知れませんが、為替相場は毎日12時間くらい見ています。ただし、コロナショックがあってからですね。やっぱり、長く見ていたほうがスキャルピングはしやすくなります。また取引の効率もよくなりますね。
編集部:- 「本業もありながらの相場チェックを毎日12時間」は、かなり大変なことだと思いますが?
YTK:- そうですね。相当きついです。ちょっと今やりすぎですね(笑)。
編集部:- 仕事中も見ているのでしょうか?
YTK:- スマホやタブレットでアプリを立ち上げて、為替レートをずっと表示させています。でも作業中は見ることができませんから、作業が終わったらすぐに確認ということですね。ただ、日本時間の昼間は、そんなに値動きしないから、そこまでする必要もないんですが。
編集部:- 売買チャンスな相場になったら、仕事中でも注文されますか?
YTK:- そうですね。でも、車の運転中は見ることはできませんし、道路わきに車を止めて、というわけにもいきませんからね。基本的に仕事中は注文ができないと思っています。
チャートとは「後付け」
編集部:- 見るのはチャートではなくて為替の実勢レートパネルということなんですか?
YTK:- そうです。私はチャートよりも実勢レートを見ていますね。
編集部:- 分析するためにだけチャートは使うということでしょうか?
YTK:- そうです。そもそもチャートって「後付け」だと思っているんです。
編集部:- それは面白い話ですね。
YTK:- ただ、チャートには「チャートの流れ」というものがあって、もちろん、チャートのテクニカル分析も、売買の判断材料にはしています。
編集部:- どのようなテクニカル指標を活用されていますか?
YTK:- 外為どっとコムさんの新しいアプリ「GFX」ですと、MACDがメインですかね。MACDの1分足とか5分足の短期でやることが多いですね。
編集部:- 取引にPCは使いませんか?
YTK:- 実はPCは使っていないです。タブレット端末で大きく表示させて、注文はスマホで出しています。為替レートの変動を重視していて、後からチャートでチェックしています。チェックするのは、自分がポジションを持っている「ドル/円」「ユーロ/ドル」「豪ドル/円」が多いですね。
相場急変以外は指値注文
編集部:- あらかじめ売買注文を出しておくことはありますか?
YTK:- 毎日12時間、相場を見ているといいましたが、実はレートを見ているだけなんです。というのは、あらかじめ指値で注文を出しているからです。もちろん、相場が急変すれば成行で注文を出しますが、仕事で作業している間は、ほとんど注文は出せませんから。
編集部:- 決済まで含めたIFO注文等も活用されていますか?
YTK:- 基本的にエントリーするときの指値注文だけですね。決済するタイミングは、そのときの状況で変わってしまうと思うので。決済まで出しておきたい気持ちもあるんですけどね。
編集部:- 新規指値の利幅、乖離率はだいたいどのあたりに置いているのでしょうか?
YTK:- 一概には言えませんが、だいたい20pipsですね。やっぱり相場を細かく分析していると、約定しやすい注文レートがわかってくるんです。そこをよく考えて、注文することができれば、うまくいくんじゃないかなと思います。
編集部:- なるほど相場の流れをしっかり読んでおけば、どれくらいのレートで約定するというところが見えてくると?
YTK:- そうですね。
逆張りは指値注文が出しやすい
編集部:- 「順張り」「逆張り」でどちらが得意というのはありますか?
YTK:- 両方ともやっていますが、順張りのほうが、注文から決済までのスピードが速いですよね。相場の勢いに乗っていきますからね。
編集部:- 「トレンドにうまく乗っかれ」ということですね?
YTK:- ただ、順張りは指値注文を出すのが難しいですね。だから成行注文ができるときに、順張りをやりたいと思っています。順張りよりも逆張りのほうが(エントリーの)指値注文は出しやすいですね。
編集部:- ところで仕事が終わってからは、どれくらい取引をしているのでしょうか?
YTK:- 仕事は夕方6時くらいに終わります。そうですね。21時か、22時くらいから、ずっと為替レートを見ています。
編集部:- そうするとニューヨーク市場ですね?
YTK:- そうですね、経済指標などの発表があると値が動きますから、22時前後のタイミングが多いですかね。その後、午前2時くらいまで起きていることもあります。ただ、眠いときは22時くらいから寝てしまう日もありますね。早寝してしまうと、午前3時くらいに目が覚めてしまうことがあって、FOMCなどが開催されているときは、そのまま朝まで起きっぱなしということもあります。
編集部:- つまり相場に合わせて生活していると?
YTK:- ただ、そこまでFXをやる必要があるのかなと、最近は疑問になってきました(笑)。まるで「ブラック企業」で働いているみたいですよね(爆笑)。
PickUp編集部より
これまで多くのデイトレーダー、スキャルパーに会ってきました。長時間FX取引をしている人は珍しくありませんでしたが、多くの場合、ローソク足のチャートで動きを確認しながら売買を繰り返すというスタイルでした。ところがYTKさんが見ているのは実勢レートパネル。エントリーは事前の指値注文で行うというもの。どうしてこういうスタイルに行き着いたのか、後半では具体的な理由や手法を伺いました。
(後編に続く)
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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