トルコでは、12月20日夜、ドル、ユーロ、金がトルコリラに対して30%以上急落した後、物価は下がる気配を見せず、マーケットに足を運んでもほとんどの商品は以前と同じ価格で販売されていました。政府の利下げ政策と巨額のドル売りの狙いは、トルコリラの安定を図ることで、現在のところその目的はほぼ達成されています。しかし、インフレにもかかわらず利下げを4度も断行したせいで、12月になると物価は異常に跳ね上がり、国民の怒りを買っています。
ちなみに、特に値上がりが激しいといわれている紙製品、油、乳製品がどれほど上昇したのか、商品価格の比較サイトを使って代表的な商品の価格を調べてみました。
こうしてみると、12月に入ってからわずか1か月足らずで、為替の上昇に連動して価格が急上昇したことがわかり、今年1年の値上げ率はほとんどの品目が2倍以上に達しています。上記の商品は、どこのスーパーでも安売りの広告が出されると、直ちに売り切れています。
燃料や公共交通機関に目を向けると、家庭用のガスボンベ12Kgが1月1日には122.50TLだったのが、12月27日には221TLと2倍近く値上げされています。また、たとえば、イスタンブールの公共交通機関の運賃は、来年1月1日から36%の大幅な値上げが予定されています。
トルコの周辺国では天然ガスや石油が豊富に算出されますが、トルコでは燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っているため、リラに対して外貨が上がれば、燃料価格が上昇し、それに伴って商品の輸送費も上昇するため、ほぼすべての商品価格に影響を及ぼします。
エルドアン大統領は、外貨の急落を受け、大手マーケットに対して「ドルが上昇すれば、直ちに価格のラベルを貼り替えるスーパーマーケットチェーンは、ドルの急落を受けて、同様に直ちに値段を下げるべきだ」と圧力をかけ続けました。この呼びかけを受けて、大手スーパーマーケットチェーン5社のうち3社が値下げに応じ、マーケット内では値下げの準備が着々と進んでいます。
筆者が本日(27日)行った大手スーパーマーケットでは、冷凍食品、紙製品、コーヒーや紅茶などの嗜好品、洗剤が25%、野菜や果物は10%値下げされていました。他の商品も準備が整い次第、商品の値下げが行われる見込みだということです。
無駄に外貨の上昇を煽って物価を高騰させ、一体誰が得をしたのか消費者として怒りを覚えますが、今後物価が元通り下がるのか、しっかり見極めたいと思います。
PickUp編集部 トルコ特派員