▼今週の振り返り
▼強すぎる豪雇用統計。今後の焦点は？
▼ホリデーシーズンで参加者減少？
▼テクニカル的には…
▼12/20 週のイベント
▼一言コメント
豪雇用統計が良くても、米ドル1強！？
今週の振り返り
週半ばから後半に予定されていた、各国中央銀行の金融政策決定会合を前に週初は様子見ムードが強かった。特に15日の米FOMCでのテーパリング（量的緩和縮小）ペースの加速や米国の22年の利上げ開始時期の前倒しへの期待から米ドルが上昇。注目されたFOMC後は米金利の先高観から米ドルが買われる場面も見られましたが、既に市場ではテーパリングペースの加速や利上げ開始時期の前倒しをある程度織り込んでいたことや、パウエル議長が米経済見通しへ対して楽観的な見方を示したことでリスクオンのドル売りとなりました。16日に発表された豪雇用統計では市場予想を大幅に上回る好結果となり豪ドルも円も82.50円手前まで買われましたが、米国が中国の34の機関を輸出禁止対象の「エンティティーリスト」に追加したと発表したことで米中関係悪化懸念が台頭。豪ドル円も上げ幅を吹き飛ばす形となりました。
強すぎる豪雇用統計。今後の焦点は？
15日の未明に米FOMCでテーパリングペースの加速を決定し、2022年には3回の利上げが示唆された翌朝、豪の雇用統計でとんでもない結果が飛び込んできました。雇用者数変化は市場予想の20万人増に対して36.61万人増、失業率が4.6%（市場予想：5.0%）、労働参加率も66.1%（同65.5%）とどの結果を見ても予想を大幅に上回り、雇用者数変化に関しては2020年6月の23.76万人を大幅に上回る過去最高値を記録しました。10月にニューサウスウェールズ（NSW）州、ビクトリア（VIC）州のロックダウンが終了し、ものすごい勢いで労働市場に人が戻ってきたことを示しています。失業率こそ8月の4.5%を下回る4.6%ですが、労働参加率は8月は65.2%と今回の66.1%と比べると大幅に低い数字でした。豪中銀は失業率が4.5%に達するのは22年の半ばになると予想していたので、予想をはるかに上回るペースでの急回復となりました。この豪雇用統計発表前にロウRBA総裁は「22年中に利上げの準備が整う可能性は低い」としたうえで、「2月のRBA会合までに予想以上の進展があれば2月に債券買い入れプログラムを終了する」可能性も示唆しました。そういったことを考慮すると今回の豪雇用統計は、2月のRBA会合での債券買い入れプログラム終了の第一歩となったのではないでしょうか。
ただし、今回の雇用者数変化の内訳をみるとNSW州で約17.5万人、VIC州で約13.3万人（合計で30.8万人）が職を得ており、数字的には今年8月～10月のロックダウンで職を失った人数を上回りました。州毎の数字で見るとVIC州では今年の7月と比べると約1.4万人就業者が少ないので回復の余地はあるものの、他の州は7月の時点の就業者数と同等、あるいはそれを上回る数値となっています。そうなると今後は雇用の質（賃金）の上昇が今まで以上に重視されるのではないでしょうか。
ホリデーシーズンで参加者減少？
今週も残すところあと2週間となりました。この時期になると、外為ディーラーも今年一年の利益をほぼ確定させて無理にリスクを取らなくなります（市場参加者が少ないのにリスクを取って利益を減らしても仕方ないので…）。今週は主要各国の中央銀行の会合が行われたビッグWEEKでしたので、イベントが終わり休暇モードに入る中で、来週末にかけて徐々に値幅も狭まっていくことが予想されます。豪ドルはIMMの非商業ポジションで見ると今年1年で大きく売り越されています。そのため、週初はポジション調整での豪ドル買いも少しは期待できるかもしれません（17日金曜日に調整が終わっていなければ）。
テクニカル的には…
短期の下落トレンドは一旦終了です。上値は日足一目・雲が目先の目途。この水準には10/21高値と12/2安値を繋いだフィボナッチリトレースメントの半値戻しもあり、12/16高値もこの水準で跳ね返されましたし、200日移動平均線もこの付近に位置しています。82円台半ばから後半は強い抵抗がありそうです。ここを上抜けることが出来れば、雲の上限付近までの上昇が期待できます。一方で下値は今週安値の80.47円や12/3安値の78.78円。この水準には9/22安値の78.85円もありますので、かなり意識されていそうです。ここを下抜けられれば8/20の77.89円を目指す展開となりそうです。
【豪ドル/円 日足チャート 一目均衡表、200MA】
予想レンジ：
AUD/JPY：79.00-83.00、NZD/JPY：75.50-79.00
12/20 週のイベント:
12/20 (月) 06:45 NZ 11月貿易収支
12/21 (火) 09:30 豪 豪準備銀行（中央銀行）、金融政策会合議事要旨公表
（執筆：中村 勉）
一言コメント：
来週はクリスマスです。私が子供のころ、この時期は学校の池に薄い氷が張っていたり、霜柱が降りていたりともう少し寒かった気がします。今年は暖冬なのでしょうか。学生時代に北米に住んでいましたが、そこはかなりの豪雪地帯。クリスマスの日に大雪が降って、普段は車で5分で行ける距離なのに1時間以上かかった記憶があります。そんな地域でカマロに乗っていた私にも問題はあるのですが…（汗）
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