「メキシコ中銀のタカ派的なスタンスがペソをサポートか？」メキシコペソ/円　11月見通し　ＹＥＮ蔵

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▼メキシコ中銀追加利上げ
 ▼メキシコ中銀のスタンスは寄りタカ派的に変化
 ▼メキシコのインフレ率は上昇
 ▼次回会合でも追加利上げか
 ▼ペソ円は高値更新

メキシコ中銀追加利上げ

先月のリポートでは追加利上げの可能性を示唆しましたが、9月30日の金融政策理事会で、メキシコ中央銀行は政策金利を0.25％引き上げて4.75％としました。市場のコンセンサスも0.25％の利上げでしたからコンセンサス通りの利上げとなりました。
今回は5名の理事のうち4名が利上げ票を投じました。

メキシコ中銀のスタンスは寄りタカ派的に変化

政策決定が5対4と前回の利上げ時の5対3より利上げ派が増えたこともありますが、それ以外にも中銀のスタンスがタカ派的になりました。
声明に織り込まれたメキシコ中銀のインフレ目標は10～12月期に前年同期比で6.2％の予想となり8月の予想の5.7％からさらに上昇することを予想しています。
インフレ率がメキシコ中銀の目標レンジである3±1％に戻る時期は、前回の見通しでは2022年1～3月期でたが、今回の見通しでは2022年7～9月期と後ずれしました。
このように今回の声明ではメキシコ中銀が前回よりもタカ派に傾いたのではと思われます。

メキシコのインフレ率は上昇

9月30日の政策決定時のインフレ率は前年同期比5.87％（9月前半のインフレ率）で8月後半の5.6％から上昇が加速していました。コアインフレ率も前年同期比4.93％となり8月後半の4.78％から上昇が加速していました。
10月7日に発表された9月のインフレ率は前年同期比6％と8月の5.59％から一段と上昇しました。ただ予想とは一致しました。

次回会合でも追加利上げか

このように足元インフレ率は上昇しており、メキシコ中銀は3会合連続で利上げをしましたがインフレ率の沈静化は見られていません。インフレ率は6％と政策金利の4.75％を大きく上回っています。
また次回会合前に11月2～3日にはFOMCが開催され、テーパリング開始の決定が行われる見込みです。ここのところ市場の関心はテーパリングからFOMCの最初の利上げ時期に移ってきています。これまで最初の利上げは2022年後半から2023年前半というものでした。しかしここにきて市場は2022年9月までに1回目の利上げが行われるのではないかとの予想も出てきています。
FOMCの結果を受けて市場がさらに利上げ時期を前倒しにするようだと米金利上昇の可能性もあり（パウエル議長の先週の発言から議長はハト派的なスタンスを維持すると思われますが）、メキシコ中銀としては据え置きの選択肢はないのではないかと思います。
11月11日の金融政策理事会では0.25％の利上げを行い、インフレ率の動きとFOMCの後の動きを注視し12月16日の会合ではその動き次第と予想します。

ペソ/円は高値更新

ドル/メキシコペソは9月28日から上昇が加速し30日の利上げ後も上昇し、10月11日に 1ドル＝20.9030ペソまでドル高ペソ安となりました。
21ペソ付近は3月に下落後の戻り高値になったところで中期的には21ペソ付近はレジスタンスとして機能しています。
その後下落し先週は20.1256ペソ付近まで下落しました。20.10ペソ付近は一目均衡表の雲が位置し、上昇前の起点となったところなので短期的にはサポートレベルになっています。
このレベルを下抜けすると前回安値の19.80付近が意識されます。
20.10付近が維持されれば20.10～21ペソのレンジ、下抜けする場合は19.80ペソ付近への下落を予想します。

ペソ/円は10月6日に一時5.336円まで下落しましたが6月の安値5.299円は維持されました。ドル/円の上昇の影響もありレジスタンスになっていた5.5円を上抜けしたことで上昇が加速し10月20日に5.665円の高値まで上昇しました。
5.7円付近が昨年の下落前のサポートレベルで、短期的にはこのレベルがレジスタンスとして意識されます。ここを上抜けすると昨年の下落前の6円付近（正確には6.11円）がターゲットと予想します。
5.66円付近がダブルトップ気味になっていますので5.55円が短期的なサポートとして意識されます。
短期的には5.55～5.7円のレンジを中心に、上抜けした場合は6円付近への上昇、下抜けした場合は5円付近への下落を予想します。

メキシコペソ/円　日足