FXの取引通貨はポンドのみ、売買はスマホだけという介護福祉士のFさん。長期の移動平均線と日足、1時間足のチャートで相場を分析し、利益が出ているポジションは見た瞬間に利確するという独特の手法で、今や毎月約100万円以上の利益を手にしています。後編では、さらに詳しい投資方法や投資の際のジンクス、他の金融商品とFXの違い、今後の目標などについて伺いました。
Tさん プロフィール
年齢性別 :50代男性
職業 :介護福祉士
FX取引歴 :4年
収支 :約1年半で1,000万円超(2020年1月~2021年取材申込時点)
トレードスタイル:デイトレード
投資商品 :FX、個別株、投資信託
趣味 :ゴルフ、サッカー
▼目次
1.コロナ動向も加味して予測
2.試行錯誤でハマるやり方は見つかる
3.FXはチャートだけで判断可能
4.「この形が前にも出たな」で次を読む
5.マイ・エントリー・ジンクス
6.損する経験も時には必要
7.「キャッシュ」ではなく「ポイント」と思え
8.目標は毎月100万円
9.金融商品の中でFXが一番楽しい
コロナ動向も加味して予測
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編集部: - Fさんがメインで取引されている「ポンド/円」は一日の値動きが激しいですよね。下がると思っていても、上がるときがあるでしょうし、上がると思っていても、下がるときがあると思うんです。そういうときはどうされるんですか?
Fさん:- 相場が上がるときは、特に不安に思うこともなく、買いポジションは持ち続けますね。逆に売りポジションを保有している時はスワップポイントがマイナスになるのはちょっと気になるから、できる限り日をまたがないようにしています。
また、相場が下がるという予測がつけば、「売建(ショートポジション)」でも持ち続けますね。
とはいえ、何回かですが、もちろん私も損切りを経験しています。けれど、チャートで判断して「このまま保有していても大丈夫だろう」と思えるポジションは、まあ、持ったままにします。 -
編集部: - 今のお話を整理すると、含み損が発生していても、損切りするときと、しないときがあるということですね。「損切りする」「しない」の判断は、どのようにされているのですか?損益額で決めているのでしょうか?
Fさん:- う〜ん、どうなんだろう。たとえば、コロナの第2波、第3波が、世界で広がり始めたころに「いずれ日本もくるだろう」と想像しました。そうなったら「また円はダメになるだろう」と思いましたね。そう予想したから「損切りはしない」みたいなことはありましたね。
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編集部: - テクニカル分析だけじゃなく、ファンダメンタルズ分析でも相場を予測して、損切りの判断をされているということですか?
Fさん:- そうですね。加えて長期移動平均線まで逆に動いていたら、それは損切りしますね。
試行錯誤でハマるやり方は見つかる
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編集部: - 強制ロスカットによる損失は、FXの取引方法や分析方法に影響を与えましたか?
Fさん:- 始めたころに、自分は何を見ていたのか、あまりよく覚えていないんですが、やっぱり変わりましたね。株式投資では中期の移動平均線を使って売買していて、それで利益が上がっていたので、FXも同じように25日、50日、75日という中期移動平均線でやってみたんですが、正直あまりうまくいかなかったんです。試行錯誤の結果、FXには今のやり方が合っていると感じるようになりました。
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編集部: - なるほど、それから相場の波に乗れるようになったということですね?
Fさん:- そうなんです。以前は日足も見ていなくて、1時間足のみでやっていたんです。株と違ってFXは、地政学的など、よほどのことでも起きない限り、そんなに急に動かないですよね。株価は決算発表などで、ドーンと一気に動くことがありますが、FXはそこまで動きませんね。そんな風に捉えています。
FXはチャートだけで判断可能
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編集部: - 確かに「ドル/円」はそんなに動かないですが、「ポンド/円」はけっこう動きませんか?
Fさん:- いや、株ほどではないですよ。FXと株式投資を比較したときに、「FXはチャートだな」と思ったんです。株にはいろんな要素が入ってくるけれど、FXはチャートだけなんだなと。
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編集部: - 長期移動平均線、ローソクの日足、1時間足でテクニカル分析して、世界情勢などのファンダメンタルを少しだけ交えて想像すると、Fさんには各国通貨の値動きが見えてくるというわけですか?
Fさん:- まずは日足ですが、最終的には長期移動平均線を見るようになって、運用成績はよくなったと思います。
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編集部: - 何年も前まではチェックしないけれど、3カ月程度前までを見ることで、運用成績はかなり良くなってきたということですね?
Fさん:- 毎日チャートを見ていたら、だんだん次の動きがわかってきたんですね。それが頭に刷り込まれているからなのかもしれませんが、次の動きが予想できるようになったんじゃないかな。
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編集部: - それはなかなかすごいですよ。予想通りに相場が動いてくれたら、みんながお金持ちになれるんですが(笑)
Fさん:- もちろん、私の予想が外れることもあります。今の相場では、基本的に「売りだ」と思ったら、売りしかしません。
「この形が前にも出たな」で次を読む
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編集部: - 毎日見ていると、次の動きがわかってくるようになるというのは、「確かにそういうこともあるだろう」と思えるんですが、もう少し具体的にいうと、毎日移動平均線と日足、1時間足チャートを見ることで、何が変わってくるんでしょうか?
Fさん:- 「この形は前にも出てきたな」という経験則が身に付くんだと思いますね。「これは上がりそうだ」とか、「相場が軟調だから、何もしないのがいい」とか、そういうものですね。
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編集部: - ボラティリティが出てきそうなときを見計らってエントリーするということですね?
Fさん:- そうそう。相場が上下に動いてくれるとFXはやりやすいですよね。
マイ・エントリー・ジンクス
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編集部: - 相場はどのような時間帯にチェックされているのでしょうか?
Fさん:- 仕事の都合に合わせますから、決まった時間はありませんが、まず朝6時半に起きて、すぐに相場をチェックします。チャンスがあれば、そこでエントリーしますね。仕事中は休み時間にチェックします。
実は、ちょっとしたジンクスみたいなものがあるんですが、毎時30分台にエントリーすることが多いんです。 -
編集部: - どういうことですか?
Fさん:- エントリーは毎時の30~39分にするようにしているんです。
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編集部: - 時計の針が40分台に入ったら、チャートの形が良くてもエントリーしないということですか?
Fさん:- 簡単に言えば、そういうことです。50分台でもしません。「上がりそうだ」って判断したのが、30分台だったら、迷わずにエントリーします。
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編集部: - それは面白いルールですね。もしかすると指標が30分刻みで発表されるスケジュールが多いことから、その後は相場が動きやすくなると思うので、そのせいかもしれないですね?
Fさん:- そうなんですかね。もしかすると、そうなのかもしれません。夜は11時には寝てしまいますが、ポジションが決済できずに、持ったままの状態だと、気になって起きてしまうことがありますね。その時は、深夜に起きて利益が少しでも出ていたら、すぐに利益確定です。
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編集部: - 相場チェックには、けっこう時間をかけているんですね?
Fさん:- チェックの回数は多いかもしれませんが、1回あたりは1分くらいと短いですよ。
損する経験も時には必要
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編集部: - ほかに、初心者のためのアドバイスは、何かありますか?
Fさん:- 「FXではときどき損をしてしまう」ということを、覚えることですかね。フラッシュクラッシュのようなことが起きて、予想だにしない損失を出すことがあるからです。私も損失を発生させ、ポジションもなくなって、ものすごくあせりましたが、年初に出したこのマイナスは、その年の5月までに取り返しましたよ。
そうやってピンチを乗り越えなければならない。試行錯誤しながら、実際にやることで、ようやくFXは覚えられる。一生懸命に本を読んでも、覚えられないんじゃないでしょうか。自分のお金でいろいろやってみて、初めて身に付くものだと思いますよ。 -
編集部: - チャートから次の動きが見えるのは、そうした経験値があってこそなのですね。ところで、ポジションを持たれるときのロット数はどれくらいですか?
Fさん:- 500ロット、50万通貨です。今年6月から500ロットにしました。それまでは400ロットでしたが、ロット数を徐々に増やしています。以前は10ロット単位で売買していました。
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編集部: - エントリーは500ロットを1回で注文するのですか?
Fさん:- いいえ、100ロットで5回の注文です。
「キャッシュ」ではなく「ポイント」と思え
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編集部: - 現在の運用資産はどれくらいですか?
Fさん:- 今年だけで1,200万円増えています。でも、これって資金が増えたというよりも、私にとっては「1,200万ポイント増」みたいな感覚なんです。一度も出金していないんですが、売買で利益が出たときは、そのポイントがどんどんたまっていくという感じですね。
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編集部: - 「キャッシュ」ではなく、「ポイント」感覚なんですね。「ポイントが増えた」くらいの気持ちでいると、運用状況を冷静に見られるということなんでしょうね?これもFさん成功の秘訣のひとつと言えそうですね?
Fさん:- 正直言って「お金が増えている」っていう感覚は実はないんですよ(笑)
言われてみると、だからこそ、相場を冷静に見て判断できるのかもしれません。
目標は毎月100万円
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編集部: - 運用成績の目標等はありますか?
Fさん:- 始めたころは、「毎月20万円の利益を出そう」と考えていました。
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編集部: - 今や桁が違いますね!
Fさん:- 自分の取引の成績を見て、思い切って(ロットを増やして)みたのが奏功しました。
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編集部: - Pipsは取れていますから、ロットを大きくすれば、当然、利益は増えます。そうしないともったいないですよね。今後の目標はありますか?
Fさん:- 「毎月100万円の利益をキープしたい」と思っています。
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編集部: - それにしても、話を伺っていると本当にFX取引を楽しまれていますね?
Fさん:- 楽しいですよ。予想が当たったときは、本当に楽しいです!
金融商品の中でFXが一番楽しい
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編集部: - 株式とFXは同じ投資でもまったく違いますよね?
Fさん:- 全然違いますね。
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編集部: - 株式はどのような運用をされているのでしょうか?
Fさん:- FXは1時間足ですが、株式は日足です。
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編集部: - FXよりも長いスパンで相場を見ているわけですね。個別株はどれくらいの頻度で売買されるのですか?
Fさん:- チャートをみて銘柄を入れ替えます。週に2〜3回ですかね。
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編集部: - 株式の運用成績はどうですか?
Fさん:- 今年は40万円くらいの利益ですね。私は「カラ売り」が多かったんで、今ちょっと痛い目にあっています。菅総理が事実上の辞任を表明してから、日経平均が戻りましたからね(笑)。
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編集部: - 個別株以外の金融商品はお持ちですか?
Fさん:- 投資信託ですね。老後資金のために買いましたが、実はほったらかしです。
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編集部: - 資産運用において金融商品を使い分けていらっしゃると思うのですが、それぞれの違いについてどのようにお考えですか?
Fさん:- 株式投資は元々配当金目当てで始めたんです。だから、積極的に売買するようなつもりはありませんでした。投資信託は老後資金が増えればいいなということで、ずっと「預けっぱなし」なんですよ。毎日売買しているのがFXで、やっぱり一番楽しいかな(笑)。
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編集部: - 今日はお忙しい中、仕事の合間に貴重な時間をいただき、ありがとうございました。
PickUp編集部より
毎月20万円の利益目標が、今では5倍の約100万円以上にまでなったFさん。運用利益や資金を「キャッシュ」ではなく「ポイント」として捉えているのは、何があっても、心に余裕を持ち、冷静でいられるようにするためのFさんなりのアイデアなのでしょう。利益が出ているポジションは、すぐに決済して確実に利益をものにするFさんが、今でも毎時30分台にエントリーするというジンクスを大切にしている事実は、投資の奥の深さを示しているような気がしました。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】
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