総括
最強通貨から陥落、下げ止まるかボリバン2σ下限は7.25あたり
通貨5位、株価12位
予想レンジ 南アランド円 7.2-7.7
(ポイント)
*先週は最強通貨から5位へ陥落(年初来)
*ボリバン2σ下限は7.25あたり
*9月は資源価格が急落、特に鉄鉱石
*今週は8月消費者物価と政策金利決定
*7月小売売上や製造業統計が悪化
*JPモルガンがランド売り推奨
*EIU=G20では南アだけが22年にコロナ前のGDPの水準を回復できない
*2Qの経常収支は黒字額が過去最大
*2QGDPも改善
*2Q失業率と3Q企業信頼感指数は悪化
*インフレ目標は3-4%へ明確化
*南ア株価指数は弱い
*コロナ警戒レベルを2に引き下げ
*弱点は雇用と停電
*経済対策財源は公務員給与の昇給凍結、これを新財務相が受け継ぐかどうか
(最強通貨から陥落した要因は)
9月6日週は週間、月間、年間最強通貨となっていたが、先週は対円で3.75%安と急落した。年間では5位に後退。2Q貿易収支、経常収支、GDPが大幅改善、コロナ感染抑制策もレベル2へ引き下げられ最強通貨となっていたが、複数の要因で下落した。中国景気減速の影響で鉄鉱石を中心に資源価格が下落したこと、7月小売売上や製造業統計が悪化したこと、JPモルガンがランドが非常に高水準に達しているほか、投資家が近いうちに外為ヘッジを再び検討するかもしれないとして、売りを推奨したこと、などが挙げられる。
またEIUがG20では南アだけが2022年にコロナ前のGDPの水準を回復できない唯一の国ではないかと、リポートしたことも効いた。
(今週は8月消費者物価と政策金利決定)
今週は8月消費者物価と政策金利決定がある。インフレは目標レンジの3-6%に収まっているが、中銀は3-4%のレンジに変更を示唆している。現在インフレは4.6%であるので、金融政策は今後引き締め気味になってくる。今週の消費者物価予想は4.8%、政策金利は3.5%で据え置き予想だ。
( 鉄鉱石の急落)
9月は資源価格が急落している。南ア産出の金は3.7%安、パラジウムは18.58%安、白金は7.46%安。中でも南ア産出量6位の鉄鉱石の下落が激しい。8月は220ドル近くまで上昇していたが先週末は123ドルで、それだけで44%安だ。
中国鉄鋼大手の宝山鋼鉄が下期の粗鋼生産を上期比500万トン程度減らす見通しを示したことが主因。地方政府が減産方針を打ち出し、9月に主要鉄鋼企業が設備修繕を実施することも原料需要後退の観測を強めた。強気の鋼材市況が下支えるが中国の鉄鉱石の輸入は減り、輸入価格は不安定な状態が続きそうだ。
-チャートは鉄鉱石価格-
( コロナ警戒レベルは「レベル2」に引き下げ)
ラマポーザ大統領は、新型コロナウイルスの感染者数が減少していることを受け9月13日からコロナ関連規制を緩和するとともに、外出禁止時間を短縮すると発表した。酒類販売が可能な時間も拡大されるという。これにより、同国の警戒レベルは5段階中1つ下の「レベル2」に引き下げられる。
今回緩和される措置は、6月にデルタ型変異株により発生した感染拡大第3波対策として講じられていた。大統領は、「第3波はまだ終わっていないが、ここ数週間は全土で感染者が着実に減少している」と述べた。9月12日に確認された新規感染者は3961人で、7月初めのピーク1日当たり約2万6500人から減少している。
(11月1日に地方選実施)
ドラミニ・ズマ協調統治・伝統業務相は、地方議会選挙を11月1日に実施すると発表した。選挙管理委員会は新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいないことを理由に、選挙実施日を当初予定の10月末から来年2月への延期を要請していたが、憲法裁判所はこれを認めず、11月1日までの実施を命じていた。
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン2σ上限から反落し中位を下回る。4連続陰線
日足、ボリバン2σ上限から反落し中位を下回る。4連続陰線。8月20日-9月17日の上昇ラインがサポート。9月16日-17日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。雲下。ボリバン2σ下限は7.25。
週足、8月30週-9月6日週の上昇ラインを下抜き下落。4週ぶり陰線。8月23日週-9月13日週の上昇ラインがサポート。9月6日週-13日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、8月は3か月ぶり陽線で上昇も9月は雲に入れず下落。20年8月-21年8月の上昇ラインがサポート。18年2月-21年6月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-20年の下降ラインを上抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。20年の下ヒゲも効いている。
喜望峰
南ア憲法裁、ズマ前大統領の訴え退ける
法廷侮辱罪で禁錮1年3月の実刑判決を言い渡されたズマ前大統領が判決の取り消しを求めていた訴訟で、憲法裁判所(最高裁に相当)は9月17日、前大統領の訴えを退けた。
前大統領は7月、刑が重すぎ、収監されれば健康と生命が危険にさらされるとして、判決の取り消しを求めていた。同国では、ズマ前大統領が収監されたことを受け、暴動が発生。300人以上が死亡し、数千社が略奪などの被害に見舞われた。
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