総括
メキシコペソを支えるものは何か、経常黒字の特異性
(通貨5位、株価2位)
予想レンジ 5.2-5.7
(ポイント)
*8月消費者物価は上昇幅縮小もコアは高止まり
*本日は鉱工業生産の発表あり
*メキシコの経常黒字は仕送りが支えている
*米国への貿易依存度が高い
*米とのハイレベル経済対話が開催される
*パウエルFRB議長のハト派的主張はリスク選好となりペソを引き上げた
*外国からメキシコへの7月の送金は過去最高となった
*経済指標は弱含むものも出てきている
*年内の利上げ予想あり
*原油価格は、7月の76ドルから61ドル台まで下落したが現在は69ドル台まで戻す
*バイデン米大統領をメキシコへ招待する予定
*ペメックス格下げ
*外需は強いが内需は弱い
*2021年春以降、米国からの旅行者が激増している
(米国発のリスク選好は弱まるも、日本の新政権期待でのリスク選好でペソも底堅い)
パウエルFRB議長のハト派発言でのリスク選好は欧州テーパリング観測で弱まったが、日本の新政権期待での日本株高円安で持ち直しペソ円も底堅い。
(8月消費者物価)
8月消費者物価は前年同月比5.59%上昇で7月の5.81%から低下した。ただコアインフレは4.78%と7月の4.66%から上昇した。目標は3%。前月からは運輸が7.25%から7.01%、住宅が6.14%から3.95%、余暇・文化が4.73%から4.15%へ低下した。一方、食飲料は7.3%から7.9%、レストラン・ホテルは6.21%から6.46%へ上昇した。
前月比では0.59%から0.19%へ低下。コアは0.48%から0.43%へ低下した。依然、インフレ懸念はくすぶっている。
(本日は7月鉱工業生産)
本日は7月鉱工業生産の発表がある。予想は前年同月比7%増、前月比0.3%増の予想
(メキシコの経常収支の特徴は)
経常収支は貿易サービス収支、第一次所得収支、第二次所得収支の合計だが、メキシコの場合は、経常黒字は7.94億ドルと小さいが、第二次所得収支は233.1億ドルの黒字だ、
これは海外(主に米国)のメキシコ人労働者からの仕送り(郷里送金)である。世界でもトップクラスの仕送りだ。一般的な貿易黒字国のものよりはるかに大きい。これがメキシコペソの支えとなってる。メキシコの対外債務の利払いなどの収支である第一次所得収支は168.78億ドルの赤字、貿易サービス収支は56.4億ドルの赤字であり、仕送りがそれらの赤字を相殺している珍しい国だ。
日本の経常黒字と比べると異質の黒字構造である。
(貿易依存度 2020年)
米国への輸出は全体の81.2%、輸入は43.8%、対中国は輸出が1.9%、輸入が19.2%。
仕送り送金と言い、輸出入といい米国に大きく依存している。
(米とのハイレベル経済対話、国境のインフラに焦点)
エブラルド外相は、米国との「ハイレベル経済対話」について、貿易と人々の移動、半導体産業、サイバーセキュリティーを促進するため、国境沿いのインフラに焦点を当てたものになると述べた。外相は4年ぶりに再開する同対話を活用し、メキシコへの投資を加速したいとの考えを表明。「国境のインフラといった問題」がテーマになるとした。メキシコの代表団にはクロティエ経済相も含まれる。
また、「人々が貧困や不安という理由で移民しなくてもいいよう」中米投資についても触れるほか、エレクトリックモビリティー、サイバーセキュリティー、半導体、メキシコの自動車産業も議題になるとした。エブラルド氏によると、米国側の代表団はハリス副大統領が率いる。ブリンケン国務長官も参加する。
テクニカル分析
雲の中へ下落 5日線下向く
日足、ボリバン3σ下限から反発が止まった。雲の中へ下落。8月23日-27日の上昇ラインがサポート。9月8日-9日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向く。
週足、8月9日週-16日週の下降ラインを上抜いて上昇。8月23日週-30日週の上昇ラインがサポート。7月5日週-8月9日週の下降ラインを上抜く。ただ今週は上ヒゲが長い。
月足、雲下での推移が長い(2016年1月以来)。ボリバン中位は上に抜ける。20年2月-21年7月の下降ラインが上値抵抗。21年6月-8月の上昇ラインがサポート。
年足、陽転。15年-20年の下降ラインを上抜く。
VAMOS MEXICO
債務問題を抱えるペメックスへの課税率引き下げ提案 40%に
財務省は2022年予算案で、国営のメキシコ石油公社(ペメックス)への主要課税の税率を40%に引き下げる提案を明らかにした。ペメックスへの主要課税の税率は19年に65%だったが、20年に58%、21年に54%と引き下げが続いている。左派のナショナリスト、ロペスオブラドール大統領は、国有化以来、メキシコからの外国資本排除の象徴となってきたペメックスのてこ入れに政治力を賭けている。
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