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トルコ国内要因改善も世界のリスク回避の流れに勝てずリラ下落

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総括

トルコ国内要因改善も世界のリスク回避の流れに勝てずリラ下落

(通貨最下位、株価最下位)   

予想レンジ トルコリラ/円 12.0-13.0

(ポイント)
*世界のリスク回避の流れに勝てずリラ下落
*米トルコ首脳会談は建設的なるも露ミサイル問題は進展なくリラ下落
*政策金利は据え置かれた
*4月経常収支は改善
*中国とのスワップ枠拡大
*外貨準備は増加
*対外純債務は3436億ドル
*5月CPIは前年同月比16.6%となり4月の17.1%から低下
*21年成長は5.75%予想=IMF
*政権汚職疑惑が浮き出る.
*1Q・GDPは前年比7%成長と強い
*中国とはウィグル族問題、ワクチン、外貨スワップ協定で関係を深めている.
*格付け会社は格下げを示唆
*トルコ政府は資本規制を考えず
*中銀総裁解任理由は前総裁の利上げのパフォーマンスが過ぎたこと
*新憲法制定を画策
*大統領はGDPを世界のトップ10に引き上げるとした

(世界のリスク回避の流れに勝てずリラ下落)
小さな良い材料もあるが、世界的なリスク回避の流れでリラは下落、株価も大きく下落し、通貨株価ともに年初来では世界で最弱の位置にある。G7・NATOと中国の対立激化で景気にまで先行き不安が高まったこと、米トルコ首脳会談が開催されたが、トルコによるロシア製地対空ミサイル「S400」購入を巡る問題の解決には至らなかったことが市場を失望させた。さらにFOMCで金利引き上げ予想が前倒しされたこと、量的緩和縮小への議論が始まったことで米金利が上昇したこともリスク回避の流れを加速しリラを下落させた。

(政策金利は据え置き)
トルコ中銀は、政策金利の1週間物レポ金利を年19%で据え置くと決めた。据え置きは3会合連続。市場では8月ごろに利下げに転じるとの見方が出ている。
 エルドアン大統領は高金利を嫌い、景気拡大のためたびたび中銀に利下げを求めている。3月にタカ派のアーバル前総裁を更迭し、自身の考えに近いカブジュオール総裁を任命した。だが、直後に通貨リラが急落し、カブジュオール氏は就任以降、リラ防衛のために利下げを見送っている。
 エルドアン大統領が今月初旬、7~8月ごろに中銀が利下げに転じることを希望していると発言したため、市場では利下げが8月にも行われるのではないかとの見方が出ている。ただ、足元の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比16%台、卸売物価指数(PPI)は同38%台に達しており、拙速な利下げはさらにインフレを悪化させる恐れがある。

(4月経常収支は改善)
4月経常収支は17.12億ドルの赤字で予想以上に縮小した。予想の22億ドルを下回った。3月の経常赤字は34億1500万ドルだった。2020年の経常赤字は367億2400万ドル。

(中国とのスワップ枠拡大)
トルコと中国が、中央銀行間の通貨スワップ枠を既存の24億ドルから60億ドルに拡大することで合意した。トルコのエルドアン大統領が、明らかにした。
トルコの外貨準備は昨年75%急減し、国際収支の危機に陥るとの懸念が浮上していた。大統領は、トルコにとって最大の貿易相手国の一つであり、極めて重要な中国と重要な合意を結んだとし、通貨スワップ枠の36億ドル拡大を発表した。
トルコ中銀は昨年6月、人民銀との通貨スワップ枠を初めて利用した。

(外貨準備)
6月11日付の外貨準備高は517.1億ドルで前週の496.4億ドルから20.7億ドル増加した。ちなみに南アの外貨準備高もトルコとほぼ同じく541.4億ドルだが、経常収支が黒字化していること、ランド相場が今年は強含んでいることで話題にならない。
 
(トルコの対外資産、対外債務)
 2020年4月のトルコの対外資産は2499億ドル、対外債務は5935億ドル、
対外純債務は3436億ドル。

(21年は5.75%成長 回復の勢い継続=IMF)
 IMFは、2021年のトルコ経済成長は20年下期の景気回復に伴うプラス効果を主に反映し、約5.75%成長するとの見通しを示した。ただ、22年からは低水準の成長トレンドに戻ると指摘した。
トルコ経済は高水準の対外資金需要やかなりの規模の国内外貨預金、低水準の外貨準備により、衝撃や国内外のセンチメント変化に対して引き続き脆弱だと指摘した。
新型コロナウイルス禍後の国営銀行主導による信用拡大や流動性支援による急速な景気回復は例外的なものだとし、政策がインフレやドル化、対外不均衡を助長したとの見方を示した。
脆弱性を低下に向けた政策やインフレに対応するためのしっかりとした金融政策スタンスが重要だと指摘。中銀の独立性や質の高い外貨準備を再構築し、政策運用枠組みを一段と簡素化し、政策コミュニケーションを改善することが必要との見方を示した。

テクニカル分析(トルコリラ/円)

ボリバン上限から下限へ下落

 日足、ボリバン2σ下限まで下落。6月2日-21日の上昇ラインがサポート。6月18日-21日の下降ラインを上抜くか。5日線下向き。
 週足、5月31日週-6月14日週の上昇ラインを下抜く。3月22日週-6月14日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下位。雲の下。
 月足、21年2月-3月の下降ラインが上値抵抗。20年11月-21年5月の上昇ラインを下抜く。
 年足、6年連続陰線。今年は僅かながらも陽線スタートも中銀総裁の電撃解任で陰転。18年-20年の下降ラインが上値抵抗。

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メルハバ

米・トルコ首脳、アフガン巡り合意 ロシア製ミサイル問題は未解決

 バイデン米大統領とトルコのエルドアン大統領は、米軍を中心とする北大西洋条約機構(NATO)軍のアフガニスタン撤退に伴い、トルコがアフガンの首都カブールの空港の警備で主導的な役割を果たすことで合意した。ただ、両首脳はトルコによるロシア製地対空ミサイル「S400」購入を巡る問題の解決には至らなかったという。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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