総括
6か月連続でゆるやかに対円上昇 12月に続き1月PMIは悪化
予想レンジ 人民元/円 16.0-16.5
(ポイント)
*1月PMIは悪化
*人民元は年初来2位の強さ
*2020年の経常収支は3000億ドル、ドイツを抜き首位に
*短期金利が6年ぶり水準に急上昇
*MSCIは中国企業5社を株価指数から除外
*NZとFTAを強化する協定に署名
*コロナ禍でも20年は2.3%成長
*GDPは100兆元を達成
*20年消費者物価は2.5%上昇
*人民元指数の構成比率を調整、一時元が急騰した
*輸出管理法を施行
*海外資本の中国債券市場への流入が続く
*2035年までにGDP倍増、5年内の高所得国入り目指す
*双循環がキーワード 国内循環と海外循環
*2022年は米中国交回復50年
*2021年は共産党建党100年
*米国は中国の為替操作国の認定解除
(1月PMI悪化)
人民元は、世界が期待しているほど強くないが年初来2位、上海総合指数は6位となっている。今年は年間8%成長見通し、経常収支も独を抜いて世界一となっている。申し分ないが、1月PMIは悪化した。世界の株価の地合いが悪いだけに今週の株価推移にも悪影響を与えよう。1月製造業PMIは51.3で2か月連続低下、12月は51.9。非製造業PMIは52.4で2か月連続低下、12月は55.7であった。中国統計局は、国内で局地的に新型コロナウイルスが再流行し、一部企業の経営が影響を受けている、各地でコロナの防疫措置が取られサービス分野の消費意欲が明らかに減退したとしている。コロナ禍でも世界経済を引っ張ってきただけに世界的なリスク回避が進む可能性はある。また中長期的な経済成長で年初来金利が上昇していることも気がかりだ。
(心配な外交)
心配なのは政治、外交である。バイデン政権で関係改善が見られる兆候はない。香港問題では、英国が、かつて植民地だった香港の市民およそ300万人に対し、英市民権を付与する方針を表明していたが中国政府は1997年の香港返還以前に生まれた香港住民が持つ「海外在住英国民(BNO)」旅券について、1月31日以降は有効な旅券とは認めない方針を明らかにした。
台湾問題では台湾海峡における最近の軍事活動について、外国勢力による干渉や台湾独立を支持する勢力による挑発への対応であり、「台湾独立は戦争を意味する」と表明した。
(ウィンウィン、米中関係の修復呼び掛け)
中国の外交担当トップである楊氏は、米中は両国関係を予測可能で建設的な発展路線に戻す必要があるとの見方を示した。楊氏は、中国は世界における米国の地位に対抗したり、それに取って代わろうとする意図はないとする一方で、いかなる力も中国の発展を妨げることはできないと強調した。
「米国は香港やチベット、新疆など、中国の領土主権に関する問題に干渉するのを止めるべきだ」と述べ、これらは、中国の中核的利益と国家の威厳に関する問題だと指摘。中国は、選挙などの米国の国内問題に決して干渉することはないと主張した。
また、米国は貿易において国家安全保障の概念を乱用すべきでないと指摘。
「米国がゼロサムや大国間競争という時代遅れのメンタリティから抜け出し、関係を正しい状態で維持するため中国と協力することを望んでいる」と述べた。
さらに、中国は両国が対立することなく相互に尊重し、双方に利益をもたらすウィンウィンの協力という軌道に沿って関係を前進させる用意があるとした。
「短期金利上昇」
先週一時、株式・不動産市場の上昇鎮静化に向けた金融政策の引き締めスタンス転換観測が浮上し急騰した短期金利も落ち着いてきた。当局が抑えに入っているようだ。
表はSHIBOR(上海銀行間取引レート)の推移。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン上限で揉みあう
日足、ボリバン2σ上限で揉みあう。2月2日-3日の上昇ラインがサポート。2月2日-3日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足。1月11日週-18日週の下降ラインを上抜きボリバン2σ上限へ。1月4週-25日週の上昇ラインがサポート。
月足、6か月連続陽線。2021年1月も陽線スタート。11月-1月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限。3σ上限は16.58。
2020年は年足陽転。11年-20年の上昇ラインがサポート。18年-19年の下降ライン上抜いて2021年はオープン。 16年-18年の下降ラインが上値抵抗だが現在は上抜けトライ中。
チーファンラマ
台湾も2020年はプラス成長、コロナ感染抑える
台湾の去年のGDPは、新型コロナウイルスの感染を抑え込んだことで消費の落ち込みが小幅にとどまったうえ、米中対立の影響も加わって半導体などの受注が好調で輸出を押し上げたことから、世界で数少ないプラス成長を記録した。前年と比べて速報値で2.98%増加した。
台湾当局は自己負担額の3倍の買い物ができる金券の発行といった振興策が一定の効果をあげ、消費の落ち込みが小幅にとどまった。
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