撮影:椋尾 詩
前編では、コロナ禍におけるミレニアル世代への影響やそれに伴うライフスタイルの変化、そこから浮き彫りになった世の中の移り変わりについて解説してもらった。今回はwithコロナ時代を見据え、実際にお金に対してどのように向き合うべきか、具体的にどのようなアクションをとるべきかを聞いた。そして、横川さんが考えるミレニアル世代を始めとした若者世代とお金の理想の関係性とは?
以下の取材記事は、個人のご経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については、充分内容をご理解のうえご自身の判断にてお取り組みください。
▼目次
1.お金についてもっと関心を持とう
2.今すぐ起こせるアクションとは何か?
3.理想は、より高いお金のリテラシーを持つ世の中
お金についてもっと関心を持とう
編集部:- コロナ禍におけるミレニアル世代への影響から世の中の移り変わりまでを俯瞰した形でお話を伺ってきました。では、実際にはこれから先、お金に対してどのように向き合うべきなのでしょうか?
横川:- 現状においては、まず大前提として自分で動くマインドを持つことです。例えば、今回の特別定額給付金に関してもマイナンバーカードを使って自分で申請するか、申請書自体は待っていれば郵送で届きましたが、それを使って自分で申請しないともらえませんでした。支援制度についても、調べたり、聞きに行ったりと、いくら困っていても自分で動かないと何も始まりません。
編集部:- せっかくの制度ですから、その恩恵を受けられないのはもったいないですからね。
横川:- 裏を返せば、困っている状況に対して手助けしてくれる制度があるということが、今回の件で分かったと思うんです。職を失って生活が困窮しているとか、あるいは事業を始めたいけど資金がないとか、もちろん必ずではありませんが、自分で調べることでそういう支援制度が見つかるかもしれません。そのようなせっかくの機会を見逃して欲しくないんです。
編集部:- だからこそ、もっとお金に関心を持って自分から動こうと。
横川:- やっぱりお金は貯めるのも増やすのもその人次第。意識を高く持って、お金のあらゆる情報に対してアンテナを高く張り巡らせて欲しいですね。今回のコロナ関連の給付金や支援策などでも、ちゃんと調べた人とそうでない人では、手元に入ってくるお金が大きく変わってしまう可能性もあったと思います。
編集部:- お金に関心を持つことで、お金が増える体質に変わっていくということですね。
横川:- そうなんです。帝国データバンクのデータなどをみていると、上場企業も赤字に修正している会社が増えています。ボーナスや給料が減るということが、今だけでなくこれから先も十分に考えられますし、常に危機感を持つことは重要です。そういう事態に備えて、お金を貯める、そして増やすという意識を持っておくことは、これからの時代を生き抜いていくためには非常に大事だと思います。
今すぐ起こせるアクションとは何か?
編集部:- お金について、今からすぐにでも実践できることはありますか?
横川:- もちろんありますよ。私は今、3つのことをお勧めしています。
編集部:- では、ひとつずつ順番に解説をお願いします。
1:マイナンバーカードの申請
横川:- まだマイナンバーカードを作っていない人はすぐに作ってぜひ「マイナポイント」の予約を申請してください。「マイナポイント」事業とは、マイナンバーカードの所持者に事前に選んだキャッシュレス決済サービスでお買い物やチャージをすると、その額の25%を国が還元してくれる制度です。一人あたりの上限は5千円分。2020年9月1日から2021年3月31日までの半年間限定で、予算に達した場合早めに締め切ると書いてあるので、お早めに申請することをお勧めします。
編集部:- まだ作っていない人は、やはり作るのが手間と考えている人が多そうですね。
横川:- マイナンバーカードを作ること自体は無料でとても簡単。しかもすぐできます。私は身分証明書としても使ってます。「マイナポイント」事業に関していえば、カードを作って申請すれば普段使っているキャッシュレスサービスを利用するだけで5千円をもらえるようなものなので、やらない手はありませんよね。 また、今回のコロナ禍における特別定額給付金は、マイナンバーがあった方がスムーズに申請が行えましたし、個人事業主の方はマイナンバーカードがあれば自宅でよりスムーズに確定申告が行えます。政府も普及させたいと思っているので、今後も持っているとお得ということが増えるかもしれません。
2:収支の見直し
横川:- おうち時間が増えた方は、ぜひこの機会に収支の見直しを行って欲しいと思います。やはり毎月の収入や何にお金を使っていて、どのくらいの支出があるのかを知っておくことはとても大事です。今はアプリもあるので、簡単に家計簿をつけることができますし、それも面倒と言う人はこまめに預金残高を見るだけでもいいと思います。
編集部:- 横川さんは実践していますか?
横川:- 私はもうガチガチに管理していて、ほぼ毎日残高を見ていますよ(笑)。単純に自分が持っている額は知っていた方が良いですし、もし思っている以上に減っていたら「ヤバい!」って思いますよね(笑)。そういうことの積み重ねで、例えば「減ってないかなぁ」とか、だんだんと自分のお金のことが気になり始めるんです。そうすると一度に引き出す金額をちゃんと考えるようになったり、自然とお金をちゃんと管理するようになってくるんです。収支を見直すことは、お金により関心を持つスタートとしても最適だと思います。 でも、めんどくさがり屋なので、毎回銀行に通帳記帳をしにいくとかではなく、スマホのアプリでさくっと開くくらいの感じです。
編集部:- 他にも実践しているお金の管理法はありますか?
横川:- 使わないお金を作ることですね。絶対に手を付けない口座や、現金でも使わないお金を残しておく。やはりお金を貯めるには、手をつけないお金を作る習慣は大事だと思います。これは3つめの話につながっていきます。
3:投資
横川:- やはり投資はした方がいいと思います。ただ、投資は余剰資金でするものなので、まずはある程度のお金を最低限の生活資金として確保したうえ、そこからさらにあまったお金で増やしていくというイメージです。私が一番お勧めしているのは「つみたてNISA」です。 運用はプロにお任せができ、基本は放置の長期投資の投資信託が対象で、月額100円からと少額が始めることができ、通常は収益から20%の税金が引かれるのですが、「つみたてNISA」は非課税というところもメリットです。また、金融庁の基準を満たした商品のみとなっているので、膨大な投資商品から選ばなくても済みます。少ない金額から始められ、税金もかからない。 投資としては非常にハードルが低いので、これから投資を始める人にぴったりだと思います。
編集部:- 横川さんご自身は資産運用はしていますか?
横川:- 私は職業柄、人にすすめるにあたっていろいろ知っておくためにも、投資はひと通り経験しました。ただし、ほとんどの投資が初期投資の金額が大きかったり、きちんとアンテナをはっておかないと情勢が読みづらいんです。 私も付きっ切りで投資に時間をさけるわけではないので、そういった意味でも働きながらの投資として先ほどお話しした「つみたてNISA」がおすすめです。
理想は、より高いお金のリテラシーを持つ世の中
編集部:- これから先の未来を見据えて、お金や投資に対してどんなマインドを持つべきだと思いますか?
横川:- お金というものは、「自分の選択肢を増やすためのもの」という感覚を持って欲しいと思います。たとえば貯金も節約というと、お金を切り詰めてするものとか、何かを我慢してやるものというイメージを持つ人もいると思います。 例えば洋服を買うことや何かを食べることが今の自分のためにお金を使っていることだとすれば、貯金や投資は未来の自分のためにお金を使うことで、それぞれお金の使い道の一つなんです。結婚、出産、子育て、老後など未来の自分のライフイベントのために必要なお金を残していくのはとても大事ですが、今ほしいものややりたいことなど、今お金を使うことで自分の人生が豊かになることもたくさんあります。 なので、そういう今この瞬間の欲しいという気持ちや小さな夢は大事にしつつ、そのバランスを上手にとることができれば、今も未来も充実したライフスタイルが送れると思っています。 そのためにも、もっと積極的にお金のことや投資について知見を深めて、うまく使い、増やし、貯めて、上手に向き合っていってほしいと思っています。
編集部:- コロナ問題以降、「新しい生活様式」や「ニューノーマル」という言葉が多く見られます。若者世代にとって、お金についてのニューノーマルがあるとすれば、どのようになっていくことが理想だと思いますか?
横川:- コロナ以前から思っていたことですが、これからの時代を生きていく世代は、パソコンやスマートフォン、インターネットをとても自由に使いこなせる世代だと思うんです。 そして、ここ数年はYoutubeやTwitter、インスタグラム、Tik TokなどのSNSを駆使することで、オンライン上で好きなことを自由に発信ができ、収入につながりやすくもなっています。 会社員であっても、副業解禁の流れもあり、会社に勤める以外のお金の稼ぎ方をしている人も増えていくはず。 そういった時に、税金や年金、お金の扱い方、収支の考え方など、お金に関する知識をきちんとつけていることがとても大事になっていきます。 私が今している活動にもつながりますが、もっとお金に対する知識を簡単に得ることができて、お金に対するリテラシーをつけやすい世の中になればいいなと思います。
横川楓氏
1990年東京都生まれ。明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として、“お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく”をモットーに活動している。幼稚園児向け雑誌でのマネー知育の監修や、若い層をターゲットにしたファッション系、オタク向けの記事や経済と恋愛を絡めたメディアまで、多方面で活躍。初の著書『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)が好評発売中。
1990年東京都生まれ。明治大学卒、同大学院を経て、経営学修士(MBA)、ファイナンシャルプランナー(AFP)などを取得。現在は唯一のミレニアル世代のお金の専門家/経済評論家として、“お金のことを誰よりも等身大の目線でわかりやすく”をモットーに活動している。幼稚園児向け雑誌でのマネー知育の監修や、若い層をターゲットにしたファッション系、オタク向けの記事や経済と恋愛を絡めたメディアまで、多方面で活躍。初の著書『ミレニアル世代のお金のリアル』(フォレスト出版)が好評発売中。