読む前にチェック!最新FX為替情報

読む前にチェック!
最新FX為替情報
CFD銘柄を追加!

スプレッド
始値比
  • H
  • L
FX/為替レート一覧 FX/為替チャート一覧 株価指数/商品CFDレート一覧 株価指数/商品CFDチャート一覧

「ベストセラーの裏側」高城泰 FX特別インタビュー(前編)

f:id:gaitamesk:20200310155716p:plain

外為どっとコムが制作の協力をした「FX予備校」や、マネ育チャンネルで人気のひろぴーさん、ロンドン在住の松崎美子さんなど、FX著名人の書籍を手掛けているライターの高城泰さんに、FX業界の変遷、勝ち組トレーダーのこと、また偽トレーダーのことなどを伺いました。

▼目次

1.ベストセラーの裏側
2.時代ごとに変わるFX市場
3.独自の進化を遂げるトルコリラ投資家

ベストセラーの裏側

f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
本日はよろしくお願いいたします。
ライター、また編集者として、様々な書籍に携わっていると思うのですが、最近はどのようなお仕事をされましたか?
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
2019年末に出た書籍「武器としてのFX」です。田畑昇人さんの2冊目の本になります。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
「武器としてのFX」って、発売直後めちゃくちゃ売れましたよね。Amazonの書籍全体のランキングを見ていて、ぐいぐい順位が上がっていったのを覚えています。人気アイドルの写真集や、だれもが知る有名なビジネス本を凌駕していましたね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
私もびっくりするくらいの反応の良さでした。Amazonの全書籍のベストセラーで最高12位になりました。一般書店でもたくさん売れております。

ちなみに田畑さんの1冊目の「東大院生が考えたスマートフォンFX」も私が携わっています。「スマートフォンFX」は、発売から5年間コンスタントに売れ続けまして、おかげさまで10万部という異例の売れ行きになっています。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
FXというニッチな分野での10万部は、すごいですね。
ちなみに近著の田畑さんのこだわりポイントはどんなところでしたか?
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
投資初心者向けにFXを伝えるためにはどうすればよいかという、プロデューサー的な視点を強く持っていらっしゃいました。こまかな表現ひとつにもこだわって、読者に伝わるよういろいろ工夫しながらの執筆だったと思います。

私はこの業界で10年くらい仕事をしていますので、どうしてもFX初心者の目線を忘れてしまいがちなのですが、田畑さんは初心者に寄り添った表現になるようにしていましたね。

例えば、私は記事を書くときなど何気なく「ロング」や「ショート」など言葉を使ってしまうのですが、考えてみればまだFXを始めてもいない初心者には、意味がわからないですよね。田畑さんとの仕事の後は、取材の時や原稿を書くときに意識するようにしています。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
ほかの投資の書籍と、田畑さんの本で特徴的な違いって何なのでしょうか。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
売れ続けている、という書籍としての息の長さが違いますね。

私は投資の書籍をいくつも手掛けていますので、アベノミクス相場など「円安局面」だと投資の本はよく売れることを知っているのですが、田畑さんの本は円高相場でも売れていたので、下げ相場で頑張りたい読者の方にも刺さったようです。

あとは、購買層も違います。購入者は20代がボリュームゾーンなんです。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
投資の書籍を買うのは30代から40代でというイメージなんですが、違うんですね。確かに一冊目の「スマートフォンFX」って、キャッチーですもんね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
ええ。これは裏話なんですけど、書籍のタイトルは当初違うもので進んでいたんです。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
え?
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
東大院生が考えた「ごろ寝」FXだったんです。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
おー・・・。FXは寝っころがってもできるということで、まあ、ごろ寝も、いいですね・・・。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
実際、書籍名は「ごろ寝」で決まりかけていたんですが、田畑さんが「今はスマホの時代だから」と強く主張をされて、結局は「スマホ」になったんです。発売後の書籍の売れ行きを見れば、タイトルを変えて大正解だったという話なんです。この辺りの、田畑さんのプロデューサー的視点はすごいなと感じます。

今回の「武器としてのFX」も、20代の方こそ読んでほしいと思って作りました。すでに購入者からのアンケートでは10代の読者も確認されています。外為どっとコムでは18歳からFX口座を持てるということなので、若い方にこの書籍で勉強してほしいなと思います。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
わたしも「武器としてのFX」を読ませていただきましたが、読みやすい文章でFXトレードの考え方や具体的なトレード方法など幅広く紹介されていて、すごくまとまっていると感じました。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
田畑さんは「読者にどう伝えるか」も強く意識しています。だから田畑さんとお話ししていると、FX初心者がどんなところでつまづくか、見えて来ます。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
例えばどんなところですか?
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
「円買い」という言葉一つとっても、実は含まれる意味って多いですよね。
初心者の方には「円買い」で、ドル/円が上がるか下がるか、わからない。
なので最近は取材のときに田畑さんだったらどう伝えるか、想像しながら仕事するようにしています。

同じような感じで、FX上級者の取材をする際も、その場でわかったつもりにならないよう、言葉の定義の確認をつど行うようにしています。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
ベテランの高城さんでも初心を大事にしているんですね。あと著者や編集者の手間や情熱が入って取材記事などができ上るのだとわかりました。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
恐縮です。確かに文章を作るときの熱量は高いと思います。

私自身がFX取引をするひとりのトレーダーということもあり、勝ち組トレーダーがどうやって勝っているのか、心の底から聞きたいためしっかり取材しているという面もあります。

時代ごとに変わるFX市場

f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
ちなみ高城さんはいつごろからライターとして活動を始めたんでしょうか。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
サブプライムローンショックが起きる前の、2006年くらいです。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
当時は円キャリートレードが流行っていて、FXブームだったころですね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
ええ。ただ私自身、あたらしい金融商品であるFXに、当初は懐疑的だったんです。FX業者の登録制がはじまって、徐々に信頼性が高まってきたころです。FXで財を成した方々に取材をするなかで、次第に自分でもFXをやってみたいなと興味がわいてきました。

印象に残っているのはIさんに取材したときです。最初にお会いした時、六本木で待ち合わせたんですが、フェラーリで乗り付けてきて、Iさんが派手な格好で「よう!」と登場してきました。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
(笑)。マンガのようですね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
ほんとうに。そのとき、FXってすごいな、と思って(笑)。
そのまま六本木ヒルズにあるIさんの部屋に通されて取材しました。当時、1日で数万円をポンド/円のスワップポイントで得ていらしたのですが、そのような話をきくにつれ、FXの世界に魅力を感じました。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
スワップポイントという仕組みに驚かれたということでしょうかね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
もうお一人、Nさんという方なんですが、その方とは書籍作成をお手伝いする中で関わりました。Nさんとデパートに一緒に行ったら、外商の方がお出迎えをしてきて驚きました。あと、別荘も豪華でしたね。
Iさん、Nさん、お二人ともその後は波乱万丈な人生になっていくのですが、当時お二人に出会った衝撃は大きかったです。

その後も様々な投資の成功者に会っていますが、FXは豪快な方が多いという印象です。株の成功者は比較的にお仕事が手堅い感じで、エリートっぽい方が多い印象です。FXは、エリートっぽい方もいますし、人生にレバレッジをかけていらっしゃる方まで、幅広いです(笑)。
トレードの方法もバラエティーに富むのもFXの投資家ですね。

FX業界の変遷

f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
今回のインタビューにあたり、FX業界の黎明期から現在までの変遷について、表を作ってみました。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
さすが編集者・・・。恐れ入ります。これを見ると・・・。

f:id:gaitamesk:20200324175432p:plain

f:id:gaitamesk:20200324175531p:plain

f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
はじめは円キャリートレードのブームが目立っていましたね。ただ、リーマンショックでこのトレンドは終わってしまった。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
円キャリートレードの雄、豪ドル/円のレートはピーク時の107円台から半分の54円台になってしまいましたね・・・。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
このリーマンショックがもたらした効果として、それまで買い一辺倒だった個人投資家が、様々な取引スタイル、またトレード手法をためし始めるきっかけになったと考えています。

つまり、FXは買いだけではなく売りもできるということや、トレンドが出た時にでも、ある程度レンジ相場が起きることに個人投資家が気づいたということです。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
なるほど。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
リーマンショック後、いわゆるネオ系のFX会社が台頭し、通貨ペアのスプレッドが狭まってきました。それにより、FXのデイトレードが普及したと感じています。

また、取引ツールの高性能化が図られた時期だと思います。海外製のFXツール、DealBook360やChartTraderなんかが出てきましたね。 デイトレードと同時に、リピート系FXツールの人気が出てきた頃でもあると思います。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
そのあたり、くわしくお願いします。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
取材したある個人投資家の方は、下落トレンドのなかにあっても、一定の戻り局面があることに気づき、連続注文をいれる手法に切り替えたそうです。そういう方は他にも出てきました。

リピート系や、リピート系から派生した取引手法が進化し「すくみ系」などに注目が集まりました。

しばらくしてトルコリラのFX取引が始まり、高金利通貨に魅力を感じた初心者がFXを始めたのもこの時期だったと思います。
デイトレードの定着や、スプレッド狭小が進み、スキャルパーが増加しました。億トレーダーの取材でお話を聞くと、圧倒的にスキャルパーの方が多いです。

彼らは2010年以降のリーマン後にFX市場に参画してきて、各FX会社がコスト競争をするのなか、アベノミクス相場でしっかり資産を増やして、今に至る、という感じだと思います。つまり、FX業界全体のコスト競争の恩恵を受けたのが現在のスキャルパーだと思っています。

独自の進化を遂げるトルコリラ投資家

f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
各社がトルコリラ/円の取り扱いを始めたころは、50円台でしたね。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
ええ。すでに遠い昔のような気がいたします・・・。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
機会があってトルコリラを取引する方々のオフ会に参加したんですが、そこに集まるトルコリラガチ勢は、わたし、人物的に結構好きなんです。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
おお、それはどうしてですか?
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
FXのスキャルパーの方とまた違った属性でして、明らかに毛色が違うんですよね。 スキャルパーの方々って、FXで成功するために強い決意を持って始められる方が多いいんですけど、一方のトルコリラガチ勢は、余剰資産で資産運用の一環として取り組んでいるみたいな感じです。また、リア充感が強いというか、身なりがパリッとしていて、お話ししていても、良いところに勤めているんだろうな、と感じます。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
へー。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
聞くと、「トルコリラ/円をロングしたら下がっちゃったけど、逆に研究し甲斐があって面白い、ますます興味がわいた」という方が多くて、実際その後もFX投資を続けているという印象がすごくあります。 研究熱心で、ある方はリラ売り注文を出しますし、ある方は短期と長期でポジションを分けてマネーマネージメントを考えて取り組んでいらっしゃいます。

トルコリラオフ会は、カラオケができるちょっと大きい会場を借り切って、映像や音楽を流す感じでした。これも、スキャルパーが集まるのオフ会と違うんですが。

強引にまとめると、FX個人投資家やそのグループにはいろんな方がいて、取材する側としても楽しいなと思っています。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
そんな違いがあるんですね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
興味深いのは、FXのトレード手法が違うと、各グループは交流することもないようですね。

スキャルパーや、リピート系を活用する方々も含め、各々独自の進化を遂げているように見えますので、変化を追っていくのは面白いと感じています。

いまお話ししたような様々なFXへの目的が違うグループを見るにつけ、自分の目的ごとに、自分に合ったやりかたが探せると思っています。それぞれのグループが、この数年でトレード手法をかなり考えるようになってきたので、上手な方に倣って始めるのがいいのではないかと思います。そうすれば一晩で資産を大きく減らした、みたいなことはなくせるんじゃないかと思います。
f:id:gaitamesk:20191118100307p:plain
PickUp編集部:
先輩個人投資家が力をつけているということなんですね。
f:id:gaitamesk:20200323160640j:plain
高城:
そうです。2006年頃の円キャリートレードで収益を伸ばした方は、上昇相場に助けられた面が大きくて、マネーマネージメントのようなことはしていなかったと思います。

今は、先輩個人投資家がいて、アドバイスを乞えるし、FX会社の取引コストやツールもよいので、FXを始めるにはいい時期なんじゃないかと思っています。FX業界はいろいろな個人投資家のニーズが満たせる、成熟期に入ったという感じがします。

中編へ続く)

 

media.gaitame.com

 

 

media.gaitame.com