(1)
英総選挙の投票締切と同時に英BBCが報じた出口調査の結果で、ジョンソン英首相率いる与党・保守 党圧勝の見通しが強まると、ポンドが急伸。ユーロも連れて上昇した。2020年1月末に英国が欧州連合 (EU)から円滑に離脱するとの期待からポンド/円はその後も堅調を維持し、約9カ月ぶりに147.90円台ま で上昇した。なお、この日遅くに確定した選挙結果は、全650議席のうち保守党が365議席を獲得、最大 野党労働党203議席、スコットランド国民党48議席、自由民主党11議席、北アイルランド民主統一党8議 席、などとなった。
(2)
日銀短観の大企業・製造業DIは0となり、市場予想(3)および前回(5)を下回った。一方、大企業・非製 造業DIは20と、予想(16)ほどには低下しなかった(前回:21)。
(3)
英総選挙で保守党が圧勝した事を受けてEU離脱に対する不透明感が薄れる中、英国株が上昇。しかし ポンドは好材料「出尽くし感」も相まって利益確定売りに押された。
(4)
米11月小売売上高は前月比+0.2%と予想(+0.5%)を下回る伸びとなった。自動車を除いた売上高も前 月比+0.1%に留まった(予想:+0.4%)。
(5)
トランプ米大統領は、中国との第1段階の通商合意を受けて、15日に発動を予定していた対中追加関税 の発動を見送るとした上で、直ちに「第2段階」の協議に入る事をツイッターで発表。ただ、「(現行の) 25%の関税はそのまま残る」とも述べた。米中通商協議への期待と不安が交錯する形でドル/円やクロ ス円は乱高下した。
ドル/円の見通し
13日のドル/円は、ほぼ横ばいの109.30円台で取引を終えた。米中が第1弾の通商合意に至った事や、英総選挙で与党保守党が圧勝した事から欧州タイムに109.70円台まで上昇したが、NYタイムは「出尽くし感」もあって売りが優勢となった。政治リスクの緩和を前向きに捉える動きは長続きしなかった格好。トランプ米政権が15日に予定していた対中追加関税の発動は見送ったものの、2500億ドルの中国製品を対象とする現行の関税は維持するとした事などが重しになったと見られる。
12月も後半に入り年内の重要イベントをほぼ終えてしまった事で、当面市場はポジション調整が主流の展開になりやすいだろう。本日は、中国11月鉱工業生産および11月小売売上高や、米12月製造業PMI・速報値などの経済指標が発表されるものの、ドル/円に大きな反応は見込めそうにない。109円台でのもみ合いとなりそうだ。