FXの魅力のひとつがレバレッジです。
ここではFX初心者でもわかるように、レバレッジについて、ていねいに説明してみたいと思います。
レバレッジとは
レバレッジとは、「てこ」という意味です。
てこが小さな力で大きなものを動かすように、金融では、「少ない金額で大きな金額を動かす」ことを言います。
例えば、通常100万円のものを購入するには、100万円の現金が必要です。
ところが、レバレッジを使うと、100万円よりも少ない現金を預け入れておくだけで、100万円分の金融商品のポジション(FXでは通貨ペア)を保有することができるのです。
FX初心者に知ってほしいレバレッジの目安
レバレッジを有効活用すると、少ない金額で大きな金額を動かすことができます。
結果として、余分に現金を手元に残すことができたり、その現金で別の金融商品を保有できたりと投資の選択肢が広がります。
選択肢が広がることは、基本的にいいことです。
ただ、だからと言って、レバレッジを最大の25倍にすればいいかというと、そうはありません。
レバレッジを大きくすると、価格の変動率に対して、レバレッジ倍した分だけ、損益の変化が大きくなるからです。
例えば、価格が自分の保有しているポジションの逆方向に、—1%変化した場合、レバレッジを5倍に設定していたら、損失の割合は−5%になります。
レバレッジを10倍にしていたら、損失の割合は−10%、レバレッジ25倍ならば−25%と、アッという間に、損失は膨らみます。
もし、価格が−4%変化した場合、レバレッジが25倍であれば、損失の割合は−100%となり、元本のすべてを失うことになるのです。
実際には、元本のすべてを失う前に、システムによる「強制ロスカット」が執行され、ある程度の現金が手元に残るようになっています(相場変動次第で残らない場合やそれ以上の損失が発生する場合もあります)。
例えば、あなたは口座に預け入れた金額の70%が失われてしまったとき、耐えられるでしょうか?
FX初心者は、このようなハイリスクの取引をするべきではありません。
アメリカの著名なファンド・マネジャーであるラリー・ハイトは、自身が創設した会社のトレーダーに「どの取引においても、全資産の1%以上のリスクはとるな」と指示していたそうです。
(参考)初心者に覚えてほしいFX投資に役立つ格言10選
この格言を基準として適用すると、“価格の変動率×レバレッジが1%以下になる”ような取引にすればいいのです。
さて、価格変動率は通貨ペアや時期によって、まったく異なります。
目安として、「日足の直近25日間の標準偏差÷25日間の平均値×100」で計算される変動係数(%)を計算してみました。
通貨ペア:米ドル/円
期間:2019年9月24日~10月28日(25日間)
変動係数:0.620%
こちらを上の式に代入して変形すると、
1% > 0.620% × レバレッジ
⇒ レバレッジ < 1.612
つまり、ラリー・ハイトの指示に従うと、レバレッジは1.6倍以下がよいということになります。
ただ、この数字は25日間の日足の米ドル/円による変動係数を使ったときの値なので、米ドル/円ではなく、より変動が激しい英ポンド/円を使えば、もっとレバレッジは小さくなります。
また、「自分はデイトレーダーだから」ということで、日足を使うのではなく、時間足を使って計算すると変動率は小さくなるので、もっと余裕を持ってレバレッジを設定できるかもしれません。
また、価格変動率として変動係数を用いていますが、これが正しいとも限りません。
ATR、モメンタムといったボラティリティを測る指標は、他にもいろいろあるので、それで設定しても構いません。
言ってしまえば、そもそもラリー・ハイトの「全資産の1%以上のリスクはとるな」という格言が、あなたにとって、必ず正しい格言とも限りません。
あくまでもひとつの基準でしかないのです。
投資とはそういうものなのです。
その点はよく理解して必要があります。
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株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。