(1)
日銀の追加緩和観測(マイナス金利深堀り観測)が広がる中、日本5年債利回りが一時-0.40%に低下して過去最低を更新するなど中期ゾーンで金利が低下。中国が米国産豚肉の購入拡大を準備しているとの報道も相まって、対ドルや対豪ドルを中心に円売りが強まった。
(2)
ジョンソン英首相による議会閉会措置が「違法」と判断された事によりこの日から英下院が再開。政局の混乱が懸念される中、欧州市場に入るとポンドは下落。なお、ジョンソン首相は米国から帰国後に議会に出席。「政府に不信任案を出してみろ」と野党を挑発した。
(3)
米8月新築住宅販売件数は年率換算71.3万件と市場予想(65.9万件)を大幅に上回った。また、米ホワイトハウスはトランプ大統領に対する弾劾調査の引き金となったウクライナ大統領との電話会談記録を公表。バイデン前副大統領の周辺調査への協力をウクライナ側に求めた事が明らかとなったが、弾劾に向けた証拠としては力不足と受け止められた模様でドルが買われた。
(4)
トランプ米大統領はNYの国連本部で記者団に向けて「中国との合意は、あなた方が考えているよりも早く実現するかもしれない」と発言。これを受けて米国株が上昇し、米長期金利も上昇する中、ドル/円が買われた。クロス円はドル高(ユーロ安、豪ドル安、ポンド安)が重石となり伸び悩んだ。
(5)
日米首脳会談で日米貿易協定の締結に最終合意。日本は72億ドル相当の米国産農産物の関税を撤廃・削減する。また、協定履行注は米通商拡大法232条による自動車・同部品への追加関税は発動されない事になり、数量制限や輸出自主規制も科されない事になった。一方、為替条項については言及されなかった。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は107.00円台から107.80円台まで上昇して終値ベースでは約0.6%高。日銀の追加緩和観測やトランプ米大統領の米中通商協議を巡る楽観発言などに支えられて終日堅調を維持した。なお、米大統領弾劾問題については、疑惑の対象となったウクライナ大統領との電話会談記録を、ホワイトハウスが公表した事でリスクへの警戒感が薄れた。いわゆる「リスク・オン」の流れに乗ってどこまで上値を伸ばせるかが本日の焦点となろう。108円台を回復できれば、先週高値の108.48円前後を目指す動きに繋がりそうだ。
なお、本日のスポット応答日(決済日)は四半期末の9月30日に当たる。このため、日本の仲値公示(9時55分)前後や英国のロンドンフィキシング(24時)前後は不規則に変動する可能性がある。