(1)
前日の海外市場の楽観ムードを引き継いでアジア株は軒並み上昇したが円売りは劣勢。ドル/円は、月末接近による本邦輸出企業のドル売り観測や、時間外取引の米長期金利の低下が重しとなった。
(2)
独4-6月期国内総生産(GDP)・改定値は、予想通りに速報値と同じ前期比-0.1%であった。
(3)
中国外務省は「米中の電話協議の話は聞いていない」と表明し、前日のトランプ米大統領の発言を改めて否定。なお、中国共産党機関紙の人民日報は「米国は中国の報復する能力と決意を見誤るべきではない」と論説で指摘。その後、中国国営新華社通信も「中国は対米貿易戦争で反撃の手段十分にある」とする社説を発表した。
(4)
欧州市場に入るとポンドが上昇。英最大野党・労働党のコービン党首が英紙への寄稿で、合意なき欧州連合(EU)離脱を阻止するために「あらゆる必要な措置」を講じると表明した事などが支援材料となった模様。なお、この日ジョンソン英首相と電話で会談したユンケル欧州委員長は「EUは合意なき離脱シナリオ回避のために可能な限り行動する」 と述べた。
(5)
米8月消費者信頼感指数は135.1となり、前回(135.8)から小幅に低下したが、市場予想(129.0)は上回った。これを受けてドルがやや買われたが、ドル/円の106円台は重かった。なお、米長期金利が低下し、2年債利回りと10年債利回りが逆転する「逆イールド」が進んだため、景気後退への不安が広がり米国株は下げに転じた。
ドル/円の見通し
昨日のドル/円は、終値ベースで約0.3%下落。前日に回復した106円台を維持できずに105円台後半へと反落した。米10年債利回りが2年債利回りを下回る「逆イールド」が進行しており、この日は利回り格差が一段と拡大した。市場は、一時の混乱から落ち着きを取り戻しつつあるものの、米中の対立に起因する世界経済の先行きへの不透明感は拭えていない模様。なお、中国国営の新華社通信は、米国との貿易戦争について「中国は反撃の手段を十分に備えている」とする社説を発表した。
こうした中、ドル/円は本日も上値の重い展開が見込まれる。20日移動平均線が通る106.20円前後がレジスタンスとなりそうだ。一方、105円台半ばのサポートを割り込めば、105.00円に向けて下げ足を速める事も考えられる。