<第122回調査>2019年7月26日
外為どっとコムの口座開設者のお客様を対象とした投資動向等に関するアンケート調査です。
調査実施期間
2019年7月19日(金)13:00~2019年7月23日(火)24:00
※相場変動等による回答への影響を極力回避するため調査期間を短縮しました。
調査対象
外為どっとコムの『外貨ネクストネオ』に口座を開設のお客様層。
調査方法
外為どっとコムの口座開設者にメールでアンケート回答URLを送付。
今回の有効回答数は804件。
※必要項目を全て入力して回答して頂いたお客様を「有効回答数」としました。
問1:今後1カ月間の米ドル /円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の米ドル/円相場の見通し」については、「米ドル高・円安方向」と答えた割合が24.1%であったのに対し「円高・米ドル安方向」と答えた割合は50.5%であった。
この結果「米ドル/ 円予想DI」は▼26.4%ポイントと、2018年2月以来のマイナス幅を記録した前回(▼27.0%ポイント)からほぼ横ばいとなった。調査期間前後の米ドル/円は107円台から108円台へと小幅に反発したものの、個人投資家の円高・米ドル安見通しの修正には繋がらなかったようだ。翌週に控える米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが確実視されている事が影響した模様。FOMCの前日には日銀も金融政策発表を行うが、日銀については「打つ手が限られる」との見方が強いのかもしれない。
問2:今後1カ月間の米ドル /円相場の予想レートについてお答えください
「今後1カ月間の米ドル/円相場の予想レート」については、「1円~3円の円高・米ドル安」が37.4% と最も多く、次いで「±1円で推移(32.1%)」と続き、以下「1円~3円の米ドル高・円安(23.5%)」、「3 円以上の米ドル高・円安(4.1%)」、「3円以上の円高・米ドル安(2.9%)」の順になった。
ヒストグラムの形状は円高側に傾いており、円高・米ドル安見通しが示された問1の結果と整合的だ。そうした円高・米ドル安見通しが根強い一方で、前回に続き「3円以上の円高・米ドル安」を予想する割合は最も低かった。今後、円高・米ドル安に振れても節目の105円前後では下げ止まるというのが個人投資家の大方の見立てのようだ。
問3:今後 1カ月間のユーロ/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間のユーロ/円相場の見通し」については、「ユーロ高・円安方向」と答えた割合が16.3%であったのに対し、「円高・ユーロ安方向」と答えた割合は45.4%であった。この結果、「ユーロ/円予想DI」は▼29.1%ポイントと、12カ月連続でマイナスを記録。ただ、弱気度合いを示すマイナス幅は前回(▼33.2%ポイント)から僅かに縮小した。
調査期間前後のユーロ/円相場は121円台から120円台へと下落しており、1月3日の「フラッシュ・クラッシュ」以来の安値圏で推移した。こうした中、個人投資家の先安感が維持された模様。なお、「ユーロ高・円安」予想の割合が著しく低い事を踏まえると、個人投資家の逆張り的な下値でのユーロ買いも期待できそうにない。
問4:今後 1カ月間の豪ドル/円相場の見通しについてお答えください
「今後1カ月間の豪ドル/円相場の見通し」については、「豪ドル高・円安方向」と答えた割合が27.1%であったのに対し、「円高・豪ドル安方向」と答えた割合は34.0%であった。この結果「豪ドル/円予想DI」は▼6.9%ポイントとなり、マイナス幅は約7年ぶりの大きさだった前回(▼29.9%ポイント)から大幅に縮小した。
調査期間前後の豪ドル/円は、76円台では上値が重く、75円台に押し戻される展開であった。それでも、7月上旬に豪中銀(RBA)が2カ月連続の利下げを決めた時点からは下げておらず、底堅い印象もある。こうした中、個人投資家の豪ドル先安感が薄れたようだ。
問5:今後、注目の通貨ペアについてお答えください
「今後注目している通貨ペア」について尋ねたところ、「買い」で注目の通貨ペアは、米ドル/円が30.8%の回答割合を集めて1位となった。続く2位にはトルコリラ/円(11.2%)、以下、3位にユーロ/ 米ドル(10.3%)、4位に豪ドル/円(10.0%)、5位、ポンド/円(7.1%)と続いた。米ドル/円の首位は82カ月連続となる。2位にはトルコリラ/円が前回の3位から浮上し、前回2位のユーロ/ドルは3位に後退した。なお、4、5位は前回と同じであった。惜しくも次点の6位は今回もメキシコペソ/円が入った。世界的に見ればマイナー通貨であるメキシコペソと世界ナンバー3の円との組合せが、世界ナンバー2のユーロと円のペアより人気が高いのが印象的だ。
また、「売り」で注目の通貨ペアは、米ドル/円が34.8%の回答割合で首位をキープした。以下、2 位ポンド/ 円(13.6%)、3 位ユーロ/ 円(12.6%)、4 位ユーロ/ ドル(11.1%)、5 位トルコリラ/ 円(6.7%)と続いた。ポンド/円が前回の4位から2位に順位を上げたのは、英国が欧州連合(EU)から離脱するのにあたり「秩序なき離脱(合意なき離脱)」も辞さない構えのボリス・ジョンソン氏が英首相に就任した事が影響したのだろう。その他、「買い」で注目の2位に入ったトルコリラ/円は「売り」で注目の5位にもランクインした。本邦個人投資家のトルコリラへの注目度の高さが改めて窺える調査結果となった。
問6:2019年1月から6月末までの損益状況について、投資資金の何%となっていますか。
今回の特別質問として、「2019年1月から6月末までの損益状況について、投資資金の何%となっていますか」と尋ねたところ、「0%(変化なし)」が16.8%で最も多かった。次いで「+1~5%」が15.5%、「-30%以下」が10.3%、「-10~20%」が10.2%、「-1~5%」が10.1%と続き、以下「-5~10%(9.3%)」、「+5~10%(8.2%)」、「-20~30%(6.3%)」、「+10~20%(6.1%)」などの順になった。
トータルで利益(プラス)の割合は36.9%、損失(マイナス)は46.3%という結果であった。「FX取引は敗者9割、勝者1割」などとする出所不明のネット記事も散見されるが、実態としてはそこまで勝率が低い訳ではないようだ。ただ、今回の調査に「利益」と答えた向きの中央値(回答者数の真ん中)が「+5~10%」であったのに対し、「損失」の中央値は「-10~20%」である他、「-30%」の割合が高い事からも、個人投資家の取引はいわゆる「利小損大」の傾向があると言えそうだ。
なお、「自身の損益についての最大の要因はなんだと思われますか」との問かけにに対し、「利益」と回答した向きからは「ロスカットの徹底」「自分で決めたルールを守れるようになってきた」など、取引技術の向上を挙げる向きが多かった。一方、「損失」の回答者では「フラッシュクラッシュ」「トルコリラの下落」など、相場展開を理由に挙げる向きが多かった。
問7:2019年下半期の投資環境について最も大きいと思うリスクを選んでください。(いくつでも)
もうひとつの特別質問として「2019年下半期の投資環境について最も大きいと思うリスクを選んでください。(いくつでも)」と尋ねたところ、「米中貿易摩擦」が16.7%と最も多く、「米国景気の腰折れ(15.4%)」、「中国経済の失速(14.8%)」、「日本の消費増税(11.5%)」、「米FRBの追加利下げ(10.8%)」、「英国のEU離脱(8.0%)」、「米イラン関係(7.6%)」、「欧州景気の悪化(6.4%)」などの順となった。
「米中貿易摩擦」を気にする向きが最も多かった一方で、「日米貿易交渉」をリスク要因に挙げた向きは3.3%、「米欧貿易交渉」は0.7%に留まった。また、「米国景気の腰折れ」、「中国経済の失速」が上位を占めており、個人投資家の関心が経済大国ナンバー1の米国とナンバー2の中国に向いている事がわかる。2019年上半期のマーケットは、米中の貿易摩擦問題に振り回された印象が強いが、下半期についても両国の動向から目が離さない状況が続きそうだ。
今後の調査実施計画及び公表方針
本調査も第122回目となりました。調査開始から10年が経過し、データの蓄積が進んできました。今後については、毎月定点観測で実施する調査結果を基に、予想DIの時系列比較から見出せるFX投資家の相場観の変化やその傾向などのほか、中長期的な視点に基づいたFX投資家の投資スタイルの変化などの考察も進めて行きたいと考えています。
なお、毎月の本調査においては、公表扱いとしている質問項目及び回答結果の他に、「投資家の属性」、「取引頻度」、「取引規模」、「取引時間帯」、「投資選好」など、投資家実態を把握するために必要な各種の質問項目も設けて集計しています。それらの回答結果を用いた投資家の実態報告や属性別のクロス・セクション分析等については、当研究所が1年に1回、毎年年央以降に公表する「外為白書」で紹介する予定です。