執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年2月21日 14時30分
多くの材料から見通しへの不透明感強い
ユーロ/円・ポンド/円、上値重い
ユーロ/円、ポンド/円は上値の重い展開。ウクライナ戦争終結に向けて米露交渉が始まったものの、具体的な話が出なかったほか、日銀の利上げ時期が少し前倒しされるのではとの見方が広がったことが要因です。ユーロ/円は156.317円、ポンド/円は188.676円までそれぞれ下げました。もっとも、米ドル安の影響からユーロやポンドが対ドルで下値が堅かったため、クロス円の下げ幅は限定されています。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
ドイツ総選挙次第で、ユーロ売りも
23日のドイツ総選挙では、CDU/CSU（ドイツキリスト教民主同盟）が第一党に返り咲きながらも、単独過半数には届かずSPD（社会民主党）との連立政権樹立が織り込まれています。連立政権では拡張的財政策へ舵を切ると見られており、ドイツ経済の成長期待はユーロを支えるとの見方があります。ただ、ドイツでは連立交渉に数カ月かかることも多く、選挙後もドイツの政治的不安は意識されそうです。また、極右のAfD（ドイツのための選択肢）が事前予想以上に健闘すれば、週明けからユーロ売りが進む危険もあります。足許は、選挙後のドイツへの期待がユーロを支える可能性はありますが、トランプ関税への影響が見定めづらい中で、本格的なユーロ買いが強まるとは考えにくいのではないかと、考えています。
また、英中銀の利下げを巡っては、段階的な利下げの見方が優勢で次回は5月か6月と見られております。一応、英中銀のラムスデン副総裁やピルMPC委員など複数の当局者が発言しますので、内容によって英利下げ期待の振幅がポンドの動きに影響するかもしれませんが、利下げは少し先のことになるため、反応は微妙かもしれません。それ以外に目立つイベントが見当たらないため、ポンドは方向性が出にくいかもしれません。
短期反発も戻り鈍い（テクニカル分析）
ユーロ/円は短期トレンドラインが下向きとなっていますが、日足一目均衡表・基準線が159.80円レベルで横ばいとなっており、足許の値動きの印象より下落圧力は小さいのかもしれません。短期的には戻りを試す期待があります。もっとも、下降トレンドラインに上値を抑えられていますので、このレベル付近まで反発したら、戻り売りを検討したいと考えています。
また、ポンド/円もユーロ/円と同様に日足一目基準線が190.891円付近で横ばいのほか、レジスタンスラインに上値を抑えられる形になっていますので、こちらも戻り売り目線となりますが、21日線が推移する191.30円や心理的節目の192.00円付近で検討したいと、考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：EUR/JPY：154.000-160.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：GBP/JPY：184.000-193.000
2/24 週のイベント:
一言コメント
ユーロ/豪ドルは1.6357レベルまで低下。日足一目均衡表の雲下限に何とか支えられています。ここを抜けてくるのか、それとも、踏み止まり反発するのか短期的に注目しています。
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