執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年1月24日 14時15分
ポジショニング状況はポジティブ材料だが、経済・金融政策格差はこれまで同様にネガティブ材料
ユーロ/円、ポンド/円はさえない展開
ユーロ/円、ポンド/円はリスク回避の巻き戻し優勢だが、上値も限定的。想定よりもトランプ氏の強硬姿勢が見られなかったことで、投資家心理の悪化が進まなかったため、ユーロ/円は163.214円、ポンド/円は193.520円まで持ち直しました。足もとではトランプ米大統領の関税賦課を見越した米ドル買いポジションが膨らんでおり、ポジショニングの観点から、ユーロやポンドがサポートされているとの指摘も聞かれました。ただ、日銀のタカ派な利上げを受けて円買い戻しも優勢になったため、上昇幅は限定されました。(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、日銀25bp利上げ「ドル円初動の急騰は誤謬」なのか(2025年1月24日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
欧州通貨、上値重い展開継続
欧州経済に対しては、控えめな経済データが並んでおり、米国とのファンダメンタルズの格差は埋まっていません。ECBは1月理事会でも0.25%利下げを行う見通しのほか、3月も追加利下げに踏み切ると見られており、経済データはユーロ安を示唆しているようです。足もとの米ドルのポジション調整が一段落すれば、再びユーロ売りが強まるのではないかと考えています。一方、英国については、12月の消費者物価指数が前年比で3.6%から3.5%へ減速したものの、11月のボーナスを除いた平均賃金が5.2%から5.6%へ伸びが加速しており、英中銀はまだ段階的な利下げに留まる必要がありそうです。もっとも、こうした状況は経済回復のペースが鈍い英国にとっては、スタグフレーションに陥る危険を想起させることになり、ポンドに対する前向きな見通しにはつながりません。米ドル高の調整からユーロやポンドの買い戻しが続く可能性はありますが、そろそろそうした調整も一服して、上値が重くなり始めるのではないでしょうか。
ユーロ/円、ポンド/円、下げ幅拡大を意識(テクニカル分析)
ユーロ/円は日足一目均衡表での三役逆転を回避して、再び三役好転の状況に戻しています。ただ、チャートを確認すると24年10月31日高値166.692円や、同12月3日安値156.170円を起点とする三角保ち合いを続けており、方向性はまだ定まっていない様子で、目先、この保ち合いレンジでの振幅が続きやすいのではないかと、考えています。ただ、再度、三役逆転となった場合、レンジブレイクして下げ幅を広げる危険を想定しておいた方が無難かもしれません。
また、ポンド/円は189.336円まで下げた後、192円台まで戻してきていますが、このレベルの上側の194.00円手前から日足一目均衡表の雲が影響して、上値の重さが意識されやすくなっています。雲を完全に上抜けして195円台で定着出来れば197円付近までの上昇も期待できますが、失敗すれば直近安値の189.336円(1月17日)を割れて、188.00円付近までの下落もあり得るのではないかと、考えています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:158.500-164.500
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:187.500-196.500
1/27 週のイベント:
一言コメント
ユーロ/ポンドは、昨年8月8日からの下落幅の61.8%戻し付近で頭を抑えられる格好になっていて、ポンドの対ユーロでの減価圧力が緩和しても不思議はないのではないかと、考えています。
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。