執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2025年1月10日 13時50分
焦った買いは禁物、上値の重さを意識
ユーロ/円、ポンド/円は下落
ECBが発表した11月の消費者期待インフレ率が、1年先で2.6%と前月2.5%から上昇したことで、ユーロ/円は164.551円まで買いが先行しましたが、米国の関税策を巡る不透明感から上値が重くなり、162.377円まで押し戻されました。また、ポンド/円は198.253円までレンジ上限を広げたものの、英国の財政悪化懸念が意識されて英長期金利が2008年以来の高水準となる4.8%台へ上昇したことが重しとなり、193.476円まで売りが加速しました。
欧州通貨は上値重い
英国やユーロ圏のサービス分野は底堅いものの、製造業分野の鈍化は続いています。また、トランプ次期米大統領がNATO加盟国 に国防費(GDPの2%→5%へ)増加を求める方針を示すなど、欧州諸国にとっては頭の痛い問題が浮上し始めています。特に、財政健全化に疑問が生じ始めている英国にとっては、財政再建の更なる遅延要因にもなりかねません。また、仏・独の政治的不透明感もあって、欧州通貨を積極的に買い進めづらい状況になっています。ドル高の流れが一服する反動での反発は想定されますが、それでも目先の不透明感から上値の重い展開が続くのではないかと考えています。
ユーロ/円、ポンド/円、下振れを警戒(テクニカル分析)
ユーロ/円は、日足一目均衡表で三役好転の状態ですが、ストキャスティクスで、%D(緑、期間3日)がSlow%D(オレンジ、期間3日)を60%付近で下抜けてデッドクロスし始めた点は警戒されます。このまま、50%ラインを下抜けてくるようなら、ユーロ/円は160.00円割れを試し、一気に三役逆転の状態に陥る可能性もあるのではないかと、考えています。
また、ポンド/円は日足一目均衡表の雲の上限付近で下げ渋っているようには見えますが、すでに昨年12月の上昇幅の半値押し付近まで押し戻されており、上方向の重さが意識されます。同ラインを下抜けすれば、192.00円やその下の190.00円割れを試す危険があるのではないかと、見ています。
【ユーロ/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:EUR/JPY:159.00-165.000
【ポンド/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:GBP/JPY:190.000-198.000
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一言コメント
インフルエンザの流行、全国的な大雪、外出を控えなさいってことなんですね。
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