執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
執筆日時 2024年12月13日 11時30分
日米金融政策は円安の起点となるか、介入警戒が広がる危険も
米ドル/円、3週間ぶりの高水準
中国が来年に「適度に緩和的な」金融政策を導入するとしたことがリスクオンムードを広げたほか、日銀の利上げ見送り観測を受けて、米ドル/円は153.05円レベルと、約3週間ぶりの水準まで上昇幅を広げました。日銀短観、企業物価指数など利上げを支持する材料は見られましたが、輸入物価指数が前年比で2カ月連続のマイナスと、通貨安によるインフレ圧力が限定されていることで、日銀が利上げを待つ余裕があるとの見方が優勢となっているようです。
(各レート水準は執筆時点のもの)
FX実践解説、指標後の振幅相場「次なる展開予測方法」(2024年12月12日)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FOMC、利下げ回数と失業率
来週は日米英で金融政策会合が開催され、マザーカレンシーをはじめ、各金融市場が動意付きそうで油断できない週になります。米FOMCでは、市場は0.25%利下げをほぼ織り込み済で、注目は新たに公表される経済見通しとなります。9月時点では来年に4回の利下げ見通しを示していましたが、複数要人が利下げに対し慎重な発言をしており、利下げ回数見通しは上方修正される可能性が高そうです。回数が2回程度となれば、欧州や新興国との金融政策の温度差から米ドルは上昇幅を広げるでしょう。ただし、失業率の見通しには注意が必要と考えています。12月6日の雇用データ発表時に失業率の悪化に着目した取引が増加したのは記憶に新しいところです。9月時点の来年の失業率見通しは4.4%でしたが、これが悪化するようなら、米金融当局の利下げペース減速も限定され、市場の失望を買って米ドルの上値は重くなる危険もあります。
出所:外為どっとコム総研
また、日銀は消費者物価の上昇に加速感が見られない中で、追加利上げを急ぐ状況にはないとの認識を持っているようで、市場の見通しも見送りで固まりつつあるようです。しかも、日銀による今回の利上げサイクルの到達点は、最大に見積もっても1.00%~1.25%と見られるため物価目標の2%には届かず、金融環境は緩和的な状況がこの先も続くと予想されます。多くの地域の金利がまだ景気抑制的な領域にある中で、日銀の12月スキップで1月利上げ観測がくすぶったとしても、円の押し上げ力は限定されやすいと感じます。これらを踏まえると、米ドル/円は下値を切り上げながら、円買い介入の警戒レベルがどの水準から強まるのかを見極めることになるのではないかと考えています。
154.83円レベルが視界に入るか(テクニカル分析)
米ドル/円は切り上がる日足一目・雲に支えられて、200日移動平均線を突破し、153円レベルまで上昇しています。中長期のトレンドを見通す上で重視される200日線を突破してきたことは好感できます。11月15日高値156.746円を起点とする、フィボナッチの61.8%戻しの153.65円を通過出来れば、76.4%の154.834円付近が見えてきそうです。ただ、上昇ペースが速いことで短期調整が強まる危険もありますが、その場合、200日線や一目・雲上限付近でサポートされるか注目したいと考えます。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:150.500-155.500
12/16 週のイベント:
一言コメント
夏は陽射しが嫌いでしたが、今の時期の陽射しはありがたいと感じます。同じ太陽なのに・・・。
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