中東に位置するトルコの通貨リラを取り巻く環境を分析し、トルコリラの今後の値動きを予想した。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也 X(Twitter)
トランプトレード全開でも例外的なリラ高に
5日の米大統領選でトランプ氏が勝利したことからドルは大幅に上昇。同氏が掲げる輸入関税の強化と個人・企業への減税を巡る思惑から米長期金利が上昇する中、ドルは概ね全面高となったが、その数少ない例外がトルコリラであった。米大統領選の開票が行われた6日、ドル/リラは一時34.3874リラ前後まで急騰してリラの最安値を付けたが、その後は下落に転じ終値ベースでもドル安・リラ高水準を維持した。
リラ高の明確な理由は不明だが、一部ではトランプ政権がパレスチナ問題の早期解決に動くとの期待から、中東の地政学リスクが緩んだとの見方も出ている。もっとも、トランプ氏は親イスラエルの姿勢を鮮明にしており、イスラエルと対立関係にあるパレスチナにとっては危険人物となる。そもそも、パレスチナ支援を継続しているトルコのエルドアン大統領とは主張が相容れないはずだ。仮に中東の地政学リスク緩和がリラを押し上げたとすれば、そうした展開は長続きしないと見ておきたい。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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