6日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、トランプ・トレードによる米10年債利回り上昇を背景に一時154.70円まで上昇した。ユーロドルは1.0683ドルまで下落後、1.0750ドル台まで下値を切り上げた。ユーロ円は164.93円から166.10円まで上昇した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、「レッド・スウィープ」(トランプ共和党候補&上下両院での共和党勝利)によるインフレ上昇懸念が高まる中での米連邦公開市場委員会(FOMC)の追加利下げ観測から上値が重い展開が予想される。
米大統領・上下両院議会選挙では、バイデン米政権の経済政策や物価高(バイデンフレーション)への不満から「レッド・スウィープ」の可能性(※上院は共和党が過半数を獲得したが、下院は開票中)が高まりつつあり、トランプ・トレード(米国債売り・ドル買い)が活発化している。
トランプ第47代米大統領は、米製造業保護の観点からドル安政策を標榜することが予想されるため、本邦通貨当局によるドル売り・円買い介入のハードルは低くなったと思われる。
昨日のドル円は154.70円まで上昇したが、155円台に乗せて160円に向けた上昇トレンドに拍車がかかるような局面では、円買い介入の可能性に警戒しておきたい。
直近の円買い介入の水準は、7月12日が159円台、7月11日が161円台、5月1日が157円台だった。
昨日から本日にかけて開催されているFOMCでは、0.25%の追加利下げ、そして12月のFOMCでも0.25%の追加利下げが見込まれている。
前回9月のFOMCで0.50%の利下げが決定された時の米10年債利回りは3.7%付近だった。現在の米10年債利回りは4.47%台まで上昇しており、トランプ・トレードで債券売りを主導している「債券自警団」(財政緊縮の道筋に回帰させようと債券を売る投資家)は、5%を目指しているらしい。参考までに、米連邦準備理事会(FRB)は、バランスシートの縮小という量的金融引締政策(QT)を行っており、月額250億ドルの米国債を売却中である。
また、米格付け会社ムーディーズは「どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高い」と指摘して、大統領選後に米国の信用格付けを引き下げることを警告していた。米国債格下げの可能性には警戒しておきたい。
トランプノミクス2.0では、関税引き上げ(中国60%、その他10%)、減税(個人所得税や法人税)と大規模な財政出動が見込まれており、物価は上昇(トランプ・フレーション)することが見込まれている。
しかし、パウエルFRB議長は、インフレ伸び率の鈍化や雇用情勢の悪化を受けて、利下げ路線を断行しつつある。パウエルFRB議長の記者会見では、天敵でもあるトランプ氏の復活とトランプフレーションの可能性を受けて、今後の利下げサイクルへの言及に要注目となる。
金利先物市場ではFRBが現在の利下げサイクルを来年6月時点のFF金利誘導目標3.75-4.00%付近で終了するとの見方が織り込まれている。
トランプ氏は、以前、大統領は金融政策について「発言権」を持つべき、すなわち、大統領が金利の変更について中銀トップ(※パウエルFRB議長)に意見を述べるのは妥当、との考えを示していた。
(山下)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
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