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ポンド/円・豪ドル/円の9月見通し「英・豪の利下げ織り込みに変化 9月会合に注目」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ポンド/円
・ポンド/円の基調と予想レンジ
・ポンド/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のポンド/円ポジション動向
・9月の英国注目イベント
・ポンド/円 9月の見通し

▼豪ドル/円
・豪ドル/円の基調と予想レンジ
・豪ドル/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月の豪ドル/円ポジション動向
・9月の豪州・中国注目イベント
・豪ドル/円 9月の見通し

ポンド/円

ポンド/円の基調と予想レンジ

ポンド/円 8月の推移

8月のポンド/円相場は180.085~193.250円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.5%下落した(ポンド安・円高)。2日に発表された米7月雇用統計の冴えない結果を受けて米国の景気後退を巡る不安が広がると、円キャリー取引の解消と見られる円買いが活発化。日経平均株価が4400円あまり下落した5日には一時180.09円前後まで下落して1月3日以来の安値を付けた。しかし、7日に日銀の内田副総裁が利上げスタンスを弱める発言をすると株安と円高が終息。14日に発表された英7月消費者物価指数(CPI)は予想を下回ったものの、ポンドの下値は限定的で中旬にかけて持ち直しの動きが続いた。15日には192円目前まで値を戻したが、それ以降は上値を伸ばせず、ポンド/ドルの上昇とドル/円の下落に挟まれて190円を挟んだもみ合いとなった。月末に向けて下値をいくぶん切り上げる形となり、30日には一時192円台を回復する場面もあったが、ドル/円が下げ幅を縮小した一方で、ポンド/ドルが上げ幅を縮小したため伸び悩むと、月足が小陰線引けとなる191.96円前後で取引を終えた。

始値 高値 安値 終値
192.681 193.250 180.085 191.964

出所:外為どっとコム

1日
英中銀(BOE)は大方の予想通りに政策金利を5.25%から5.00%に引き下げた。声明では「インフレが低水準にとどまる事を確認し、早すぎたり幅が大きすぎる利下げにならないよう注意する必要がある」と慎重に利下げを進める姿勢を示した。同時に公表した議事録では、利下げが賛成5、反対(据え置き支持)4の僅差で決定したことも明らかになった。また、BOEは四半期に一度の金融政策報告書で今後3年間のインフレ見通しを引き下げた。

2日
BOEのチーフエコノミストで金融政策委員会(MPC)のメンバーであるピル氏は、インフレ抑制について「進展を見せたもののまだ完了していない」と発言。その上で「ごく近い将来に金利はさらに引き下げられるとは、まだ約束すべきではないだろう」と述べた。

7日
日銀の内田副総裁は函館で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」「株価の変動は経済・物価見通しに影響し、政策運営上重要な要素」などとする見解も示した。株安と円高で日銀の利上げスタンスが弱まったとの見方から日本株が大幅に反発。円は全面的に下落した。

12日
今月のMPCで利下げに反対票を投じたマン委員は「賃金決定プロセスと価格プロセスの両方に上向きの動きがある。これはこの数年の高インフレ期に形成された構造的なものかもしれない」と指摘。「こうした上昇の解消は長い時間を要するだろう」との見方を示した。

13日
英4-6月の国際労働機関(ILO)基準失業率は4.2%に低下。市場予想(4.5%)を大幅に下回った。英4-6月の週平均賃金(賞与を除く)は前年比+5.4%と予想通りに3-5月の+5.8%から伸びが鈍化した。なお、英7月失業率は4.7%(前回4.4%)、失業保険申請件数は13.5万件(前回3.62万件)だった。

14日
英7月CPIは前月比-0.2%、前年比+2.2%と市場予想(-0.1%、+2.3%)を下回った。エネルギーや食品などを除いたコアCPIは前年比+3.3%と予想(+3.4%)を下回り、BOEが注目するサービスCPIも前年比+5.2%と予想以上に伸びが鈍化した(予想+5.5%、前回+5.7%)。

15日
英4-6月期国内総生産(GDP)・速報値は前期比+0.6%と予想に一致。1-3月期の+0.7%から小幅に減速した。英6月鉱工業生産は前月比+0.8%と市場予想(+0.1%)を上回り、同貿易収支は188.94億ポンドの赤字と赤字額は予想(159.00億ポンド)以上に膨らんだ。

16日
英7月小売売上高は前月比+0.5%と市場予想(+0.6%)を下回ったが、6月分は-1.2%から-0.9%に上方修正された。自動車燃料を除いた7月小売売上高は前月比+0.7%と予想(+0.6%)を上回った上に、6月分が-1.5%から-1.3%に上方修正された。

22日
英8月製造業PMI・速報値は52.5、同サービス業PMIは53.3といずれも市場予想(52.2、52.8)を上回った。

23日
BOEのベイリー総裁はジャクソンホール会議で「1年前に予想したよりもインフレは低い水準にある」と指摘。高金利が経済に与える悪影響は「過去よりも抑えられる可能性がある」とした。一方で「勝利を宣言するのは時期尚早だ」とも述べた。

8月の各市場

8月のポンド/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
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  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月の英国注目イベント

ポンド/円 9月の見通し

英国経済が底堅く推移しており、それに伴い英中銀(BOE)による9月利下げの観測が後退している。英8月PMIは、製造業、非製造業ともに好不調の分岐点である50.0を上回った。サービス業に至っては10カ月連続で50.0以上を保っている。また、BOEは8月1日の金融政策委員会(MPC)で利下げを決めたが、僅差での決定だった上に、その後複数のMPC委員がインフレの上振れリスクに警戒感を示した。8月の利下げ直後には、英金利先物が9月の利下げを5割ほど織り込んでいたが、足元では2割程度に低下している。ただし、BOEが大方の予想通りに9月19日のMPCで利下げを見送るか否かは不透明だろう。英国の7月消費者物価指数(CPI)は半年ぶりに前月比でマイナスを記録。BOEが注目するサービスCPIはおよそ2年ぶりに前年比+5.2%に鈍化した。これらを受けてベイリーBOE総裁はジャクソンホール会議の講演で「1年前に予想したよりもインフレは低い水準にある」との認識を示した。そのほか、MPC委員の交代も利下げの票読みを難しくしている。8月の利下げに反対したタカ派のハスケル委員が8月末で退任。代わりに9月からメンバーとなるテイラー氏の政策スタンスは未知数だ。8月の利下げが5対4の僅差での決定だっただけに、テイラー氏の利下げへの賛否はそれなりの重みをもつことになるだろう。仮に利下げに踏み切れば、市場にとってサプライズとなることから、ポンドは比較的大きく下落すると考えられる。一方、市場の織り込みが2割前後とはいえ、利下げ観測がくすぶっていることから、BOEの決定が据え置きならポンドは上昇するだろう。9月のポンド相場は19日の英MPCが最大の焦点となりそうだ。
(予想レンジ:187.000~197.500円)

豪ドル/円

豪ドル/円の基調と予想レンジ

豪ドル/円 8月の推移

8月の豪ドル/円相場は90.080~99.033円のレンジで推移し、月間の終値ベースでは約0.8%上昇(豪ドル高・円安)した。2日に発表された米7月雇用統計の冴えない結果を受けて米国の景気後退を巡る不安が広がると、5日には一時90.08円前後まで急落するなど波乱のスタートとなった。円キャリー取引の解消と見られる円買いが活発化した。しかし、6日に豪中銀(RBA)が市場の利下げ観測をけん制、7日に日銀の内田副総裁が利上げスタンスを弱める発言を行い、8日にブロックRBA総裁が再利上げに言及すると豪ドル/円は97円台を回復。その後も、13日の豪4-6月期賃金指数が高止まりし、15日の豪7月雇用統計が好結果だったことから上値を伸ばし、RBA議事録が公表された20日には99.03円前後まで上昇した。月末にかけてはやや動きが鈍ったが、97円台で下げ渋るなど底堅く推移。30日には持ち高調整と見られるドル/円の持ち直しにつれて98.90円台で8月の取引を終えた。8月はRBAの相対的なタカ派スタンスを支えに豪ドルが上昇。豪ドルは総じて強かった円に対して上昇する数少ない通貨となった。

始値 高値 安値 終値
97.993 99.033 90.080 98.913

出所:外為どっとコム

1日
豪6月貿易収支は55.89億豪ドルの黒字と、黒字額は市場予想(50.00億豪ドル)を上回った。輸出が前月比+1.7%の437.65億豪ドル、輸入は前月比+0.5%の381.76億豪ドルだった。続いて発表された中国7月財新製造業PMIは49.8と市場予想(51.5)を下回り、9カ月ぶりに分岐点の50.0を割り込んだ。

6日
RBAは予想通りに政策金利を4.35%に据え置いた。声明では「基調的なインフレ率は依然として高過ぎ、最新の予測では、インフレ率が目標範囲内で持続的に推移するまでにはまだ時間がかかることが示されている」とした上で「インフレ率が目標範囲に向かって持続的に推移していると確信するまで、政策は十分に制限的である必要がある」と強調した。ブロック総裁はその後の会見で、市場の年内利下げ開始観測について「先走っている」と述べてけん制。今後6カ月について「利下げはアジェンダ(検討対象)にはなく、必要に応じて引き締めに動く用意がある」と発言した。

7日
日銀の内田副総裁は函館で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」「株価の変動は経済・物価見通しに影響し、政策運営上重要な要素」などとする見解も示した。株安と円高で日銀の利上げスタンスが弱まったとの見方から日本株が大幅に反発。円は全面的に下落した。

8日
ブロックRBA総裁は、インフレの上振れリスクに警戒感を示した上で「必要なら利上げをためらわない」と発言。政策金利を据え置いた6日の理事会について「妥当な時間枠の範囲内でインフレの低下が続くよう確実を期すため、再利上げが必要かどうかはっきり検討した」と明らかにした。

13日
豪4-6月期賃金指数は前年比+4.1%と市場予想(+4.0%)に反して高止まりした一方、前期比では+0.8%と市場予想(+0.9%)に届かなかった。

15日
豪7月新規雇用者数は5.82万人増と市場予想(2.00万人増)を上回った。労働参加率が過去最高となる67.1%に上昇した影響で、失業率は4.2%と市場予想(4.1%)以上に上昇した。これを受けてRBAの早期利下げ観測が後退すると豪ドルが上昇した。なお、その後に発表された中国7月鉱工業生産は前年比+5.1%、同小売売上高は前年比+2.7%であった(予想:+5.2%、+2.6%)。

20日
RBAは8月理事会の議事録を公表。「市場が現在示唆するよりも長い期間、金利を現行水準で安定的に維持することは、インフレ率を合理的な時間枠で目標に戻すのに十分である可能性がある」「インフレ率が持続的に目標範囲に向かうとメンバーが確信するまで、金融政策は十分に景気抑制的である必要がある」などとする見解が示された。

28日
豪7月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.5%と前月(+3.8%)から伸びが鈍化したものの、市場予想(+3.4%)は上回った。コアCPIに相当するCPIトリム平均値は前年比+3.8%だった(前月+4.1%)。

30日
豪7月小売売上高は前月比±0.0%と市場予想(+0.3%)を下回った。豪政府による所得税減税や生活費補助が7月にスタートしたものの、小売売上高は伸びなかった。

8月の各市場

8月の豪ドル/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

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9月の豪州・中国注目イベント

豪ドル/円 9月の見通し

豪ドルは、8月に対円で上昇した数少ない通貨のひとつだ。キャリー取引の解消と見られる円買いを上回る豪ドル買いが入った格好で、その背景としては豪中銀(RBA)の政策スタンスが相対的にタカ派だったことが挙げられる。6月のカナダ中銀と欧州中銀(ECB)を皮切りに7月には英中銀(BOE)が利下げに転じ、9月には米連邦準備制度理事会(FRB)も追随する公算が大きい。翻って、RBAが8月に示した利上げ含みの据え置きスタンスは相対的にタカ派に映る。日銀が追加利上げを思案中とはいえ、円金利の絶対水準は依然として著しく低い。ましてや物価を加味した実質金利はマイナスのままだ。RBAの利下げは当面なさそうという理由で円を売って豪ドルを買う8月の動きは理にかなっていると言えるだろう。なお、豪金利先物における早期利下げ観測は一時より後退したものの、依然として年内の25bp(0.25%ポイント)利下げを7割程度織り込んでいる。そうした中、9月も利下げ観測の後退による豪ドル高・円安基調が続きやすいと見ている。RBAの政策スタンスを見極める上で注目されるイベントとして、5日のブロック総裁講演、19日の豪8月雇用統計、24日の理事会声明、25日の豪8月消費者物価指数(CPI)などがある。豪ドル/円は9月2日に99.86円前後に上昇する場面があり、7月高値109.37円前後から8月安値90.08円前後への下げ幅の半値戻し(99.73円)を達成。9月中に61.8%戻しにあたる102.00円を超えて上昇する可能性もあるだろう。
(予想レンジ:96.500円~102.500円)

 
kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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