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ユーロ/円の9月見通し「もち直し継続も上値限定」

【外為総研 House View】

House View

執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也

目次

▼ユーロ/円
・ユーロ/円の基調と予想レンジ
・ユーロ/円 8月の推移
・8月の各市場
・8月のユーロ/円ポジション動向
・9月のユーロ圏注目イベント
・ユーロ/円 9月の見通し

ユーロ/円

ユーロ/円の基調と予想レンジ

ユーロ/円 8月の推移

8月のユーロ/円相場は154.388~163.874円のレンジで推移し、月間の終値ベースで約0.6%下落した(ユーロ安・円高)。前月半ばから続く円キャリー取引の解消と見られる円買い戻しの流れが続き、日経平均株価が4400円余り下落した5日には2023年12月以来の安値となる154.39円前後まで急落した。しかし、海外株式市場の落ち着きなどで下げ渋ると、7日には日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べたことで反発し、初旬の下げをほぼ埋めた。その後も、ドル/円の持ち直しにつれて緩やかに上昇。15日にはドル/円が149円台を回復するとユーロ/円も163.87円前後まで上昇した。ただ、中旬以降は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測が高まりドルが弱含む中、ユーロ/ドルは上昇したものの、ドル/円が下落したため上値が重くなった。29日には独8月消費者物価指数(CPI)の鈍化を受けて160.00円台へ軟化する場面もあったが、欧州中銀(ECB)の9月利下げはほぼ織り込み済みとあって下値は限定的だった。

始値 高値 安値 終値
162.231 163.874 154.388 161.540


出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」

7日
日銀の内田副総裁は講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と発言。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要がある」「株価の変動は経済・物価見通しに影響し、政策運営上重要な要素」などとする見解も示した。株安と円高で日銀の利上げスタンスが弱まったとの見方から日本株が大幅に反発し、円は全面的に下落した。

13日
独8月ZEW景気期待指数は19.2と市場予想(34.0)を下回り、7カ月ぶりの低水準となった。ZEW(欧州経済研究センター)は「ドイツの景気見通しが崩れつつある」との見解を示し、「明確ではない金融政策や期待外れの米経済データ、さらに中東での紛争激化に対する懸念の高まりといった強い不透明感が景気見通しになお影響を及ぼしている可能性が高い」と指摘した。

14日
ユーロ圏4-6月期域内総生産(GDP)・改定値は前期比+0.3%と予想通りで、速報値からの修正もなかった。同時に発表されたユーロ圏6月鉱工業生産は前月比-0.1%と市場予想(+0.5%)に反してマイナスとなった。

19日
流通大手セブン&アイが、カナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けたと発表。買収額は5兆円を超えると見られ、実現すれば外資による国内企業の買収として過去最大の規模になる可能性もあると報じられた。

22日
独8月製造業PMI・速報値は42.1、同サービス業PMIは51.4といずれも市場予想(43.3、52.3)を下回り、総合PMI(48.5)は3カ月連続で低下した。その後に発表されたユーロ圏8月製造業PMI・速報値は45.6と予想(45.8)を僅かに下回ったが、同サービス業PMIは53.3と予想(51.7)を上回った。その後、ECBが公表した7月理事会の議事録で、次回9月会合は「金融政策の引き締め度合いを再評価するのに良い時期だ」との認識をメンバーが共有したことが明らかになった。

26日
独8月IFO企業景況感指数は86.6と前回(87.0)から小幅に低下したものの、市場予想(86.0)は上回った。IFO経済研究所は「ドイツ経済はますます苦境に陥っている」との見解を示した。

29日
独8CPIに先立って発表されたノルトラインウエストファーレン州やバイエルン州などドイツ主要州の8月CPIは軒並み前月比マイナスとなった。その後に発表された独8月CPI(EU基準)は前月比-0.2%、前年比+2.0%と前月の+0.5%、+2.6%から急減速した。市場予想(±0.0%、+2.2%)も下回った。

30日
ユーロ圏8月消費者物価指数(HICP)・速報値は前年比+2.2%と予想通りに7月の+2.6%から大きく鈍化。2021年7月以来の低い伸びとなった。一方、食品やエネルギーを除いたコアHICPは前年比+2.8%と予想通りながらも7月(+2.9%)からの鈍化幅は小さかった。

8月の各市場

8月のユーロ/円ポジション動向

【情報提供:外為どっとコム】

  • ※ データの更新は、NYC時に行われます(前営業日のデータが追加)。また、過去180日間のデータが表示されます。
  • ※ 外為どっとコムのFX口座「外貨ネクストネオ」でお取引をされているお客様のポジション保持情報の比率を表しています。
  • ※ 尚、このポジション比率情報は情報提供を目的としており、投資の最終判断は投資家自身でなさるようお願い致します。

 

9月のユーロ圏注目イベント

ユーロ/円 9月の見通し

ユーロ/円は7月に175.40円台まで上昇して1999年のユーロ発足後の最高値を付けたが、8月上旬には154円台に下落して年初来安値を付ける場面もあった。これほどの急落を招いたのは、米国の景気後退懸念と日銀の予想外にタカ派な金融政策スタンスを背景とする「円キャリー取引」の解消だったと考えられる。もっとも、8月中旬以降は米国の景気後退を巡る懸念は米景気指標の底堅い結果などを背景に和らいだ。日銀についても内田副総裁の講演などから「利上げありき」の積極的なタカ派スタンスではないとの見方が優位となった。このため、ユーロ/円は8月半ばに163円台まで持ち直しており、9月2日時点では161円台で推移している。

こうした動きを踏まえ、9月のユーロ/円相場は反発基調の継続を予想。ただし、市場は米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを過度に織り込んでいると考えられることから、ドルの強含みによるユーロ/ドルの反落を見込んでいる。このため、ユーロ/円の上値余地は限られそうで、7月中旬以降の下げ幅の半値戻しにあたる164.91円前後が上値の目途になると見ている。

なお、欧州中銀(ECB)は9月12日の理事会で政策金利である預金ファシリティ金利を3.75%から3.50%に引き下げる公算が大きい。ラガルド総裁は、政策金利に決まった道筋はないとして「利下げはデータ次第」のスタンスを維持するだろう。これらについては、市場も織り込み済みであることから、ユーロ相場の方向性に大きな影響を及ぼさないだろう。
(予想レンジ:158.000~165.000円)

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外為どっとコム総合研究所の調査部に所属する外国為替市場の研究員が、FX初心者向けに平日毎日12時ごろからライブ配信を行っています。前日の振り返り、今日の相場ポイントなどをわかりやすく解説しています。YouTubeの「外為どっとコム公式FX初心者ch」でご覧いただけます。

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kanda.jpg 株式会社外為どっとコム総合研究所 取締役 調査部長 上席研究員
神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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