このレポートでは、メキシコペソとアメリカ経済や日本円との為替レートの動き、メキシコペソの見通し、そしてその影響を受ける可能性がある要因について詳しく解説します。
執筆:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
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インフレ見通しを引き上げつつも利下げを決定 景気下支えに主眼
メキシコ中銀は先週8日、政策金利を11.00%から10.75%へと引き下げた。据え置きか利下げかで市場の見方が分かれる中、中銀はコアインフレの鈍化を理由に、賛成3、反対(据え置き支持)2の僅差で利下げを決めた。声明では「経済活動に対するリスクのバランスは依然として下向きに傾いている」として成長減速への懸念も滲ませた。同日朝に発表された同国の7月消費者物価指数(CPI)は前年比+5.57%と前月の+4.98%から伸びが加速したものの、コアCPIは前年比+4.05%と前月の+4.13%から小幅に伸びが鈍化した。もっとも、中銀は今年のインフレ見通しを4.0%から4.44%に上方修正しており、今回の利下げは物価の抑制よりも景気の下支えに主眼を置いた措置だったと考えられる。
ペソ相場は、中銀の利下げを受けて一時下落したが、利下げによる景気持ち直しへの期待などからすぐに上昇に転じた。米新規失業保険申請件数の減少を受けて米国の景気後退懸念が和らぎ、株価が大幅に上昇したこともペソの追い風になったようだ。なお、ロドリゲス総裁は週末11日に「短期的には、向こう数四半期にわたり非コアの項目に影響を与えた衝撃は解消され、それによって総合インフレ率は早期に低下すると見込めるようになると予想している」と述べてCPIの上ブレは一時的なものとの考えを示した。
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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