主要通貨ペア(ドル/円、ユーロ/円、豪ドル/円、ポンド/円)について前営業日の値動きをわかりやすく解説し、今後の見通しをお届けします。
作成日時 :2024年5月30日8時20分
執筆・監修:株式会社外為どっとコム総合研究所 調査部長 神田卓也
目次
▼29日(水)の為替相場
(1):豪CPIは予想に反して上昇
(2):ドイツCPIも加速
(3):米債入札は連日の不調
(4):ベージュブック公表
▼外為注文情報/ ▼本日の見通し/ ▼ドル/円の見通し:158円台に乗せる可能性/ ▼注目の経済指標/ ▼注目のイベント
29日(水)の為替相場
期間:29日(水)午前6時10分~30日(木)午前5時55分 ※チャートは30分足(日本時間表示) 出所:外為どっとコム
(1):豪CPIは予想に反して上昇
豪4月消費者物価指数(CPI)は前年比+3.6%と市場予想(+3.4%)に反して前回(+3.5%)から伸びが加速。根強いインフレで豪中銀(RBA)が再び利上げを迫られるとの見方から豪ドルが上昇した。
(2):ドイツCPIも加速
独5月CPI・速報値は前年比+2.4%と予想通りに前回(+2.2%)から加速。欧州連合(EU)基準の5月CPIは前年比+2.8%と市場予想(+2.7%)を上回った(前回+2.4%)。これを受けて独10年債利回りは約半年ぶりの水準に上昇した一方、独DAX指数は金利上昇を嫌気して1%超下落した。
(3):米債入札は連日の不調
米7年債入札(440億ドル)は応札倍率が前回を下回るなどやや不調だった。前日に続く入札の不調で米長期金利が上昇幅を拡大した。
(4):ベージュブック公表
米連邦準備制度理事会(FRB)は地区連銀経済報告(ベージュブック)を公表。4月上旬以降に「米経済は大半の地域でわずかな、ないし緩慢なペースで拡大した」と指摘。「小売り支出は横ばいから微増となった。裁量支出の減少に加え、消費者が一段と価格に敏感になっていることを反映した」「先行き不透明感が高まり、下振れリスクが高まる中、全体的な見通しはやや悲観的になった」とした。雇用については「12地区のうち8地区でわずかなペースで増加し、雇用はごくわずかに、ないし小幅に増加した」と報告した。
29日(水)の株・債券・商品市場
ドル/円 外為注文情報(FX板情報・オーダー状況)
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人気通貨ペア 本日の予想レンジ
ドル/円の見通し:158円台に乗せる可能性
昨日のドル/円はおよそ1カ月ぶりに157円台後半へと続伸。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが後ずれするとの観測が根強く157.71円前後へ上値を伸ばして今月1日以来の高値を付けた。東京市場では本邦長期金利が12年ぶりの水準に上昇する中、157円台を割り込む場面もあったが、海外市場では米長期金利が上昇したことで日米金利差はむしろ拡大した。
なお、1日は政府・日銀が157.50円付近で円買い介入を発動したと見られており、この水準を昨日の海外市場で上抜けた格好だ。円買い介入再発動への警戒感がくすぶるものの、足元のドル高・円安は1日数十銭前後の緩やかなペースで進んでいることから、海外勢の間では再発動へのハードルは高いとの見方が少なくないようだ。
本日も本邦長期金利は日銀の正常化観測も相まって上昇が予想されるが、円相場への影響は限定的だろう。引き続き、海外市場を中心に米長期金利の動向が注目される。米長期金利の上昇が続けば、ドル/円は34年ぶり高値を付けた4月29日以来となる158円台に乗せる可能性が高まりそうだ。
注目の経済指標:米新規失業保険申請件数
注目のイベント:NY連銀総裁発言
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神田 卓也(かんだ・たくや)
1991年9月、4年半の証券会社勤務を経て株式会社メイタン・トラディションに入社。 為替(ドル/円スポットデスク)を皮切りに、資金(デポジット)、金利デリバティブ等、各種金融商品の国際取引仲介業務を担当。 その後、2009年7月に外為どっとコム総合研究所の創業に参画し、為替相場・市場の調査に携わる。2011年12月より現職。 現在、個人FX投資家に向けた為替情報の配信を主業務とする傍ら、相場動向などについて、経済番組専門放送局の日経CNBC「朝エクスプレス」や、ストックボイスTV「東京マーケットワイド」、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」などレギュラー出演。マスメディアからの取材多数。WEB・新聞・雑誌等にコメントを発信。
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