総括
FX「弱い通貨の円とリラ、 日銀はドル売り介入、トルコ中銀はドル買い」トルコリラ見通し
(通貨11位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円4.3-5.3
*円より強い。日本はドル売り介入、トルコはドル買いでも
*リラ売り介入を実施とは!リラは長期的に安いが、急激なリラ高を懸念
*過去の急激なリラ安を是正するのではなく、現在の安定を望んでいる
*目指すところはEU加盟とも思える
*政策金利は据え置きか
*海外投資家は、最も速いペースでトルコ国債を購入
*予算削減額は予想上回る 夏にインフレ緩和=副大統領
*トルコ中銀、インフレ予想引き上げ
*シムシェキ財務大臣、外貨準備増加を賞賛
*CDS低下
*株価は世界で断トツに強い
*約1年ぶりにリラ円は雲の上に
*シムシェキ財務相=経済は正しい軌道上にあり
*貿易・経常赤字は改善せず
*S&P、フィッチは格上げ
*政府は2026年にインフレが一桁となると主張
*預金の4割が外貨預金であることもリラ安要因
(弱い通貨の円とリラ、日銀はドル売り介入、トルコ中銀はドル買い)
リラは日本の円買い介入があっても、年初来では最下位の円に逆転されていない。驚くべきは日本は円買い介入を行っているのに、トルコはリラ売り介入を行っている。それでも円より強い。
トルコ株価指数は(イスタンブール100)は、年初来43.77%高と独走状態。10年国債利回りは27.715%
(リラ売り介入を実施とは!リラは長期的に安いが、急激なリラ高を懸念)
シムシェク財務相は、「市場から外貨を購入していなければ、ドルは30トルコリラを下回っていた=ドル安リラ高=かもしれない」と述べた。
「リラの価値が下がる理由はない。私たちは外貨準備金を積み上げており、その準備金ポジションを強化する必要があります。現在、トルコには多額の資金が流入しており、経常赤字は減少しており、トルコリラは非常に魅力的である。リラが大幅に下落する理由はない。これはインフレの低下を後押しするものです」
付加価値税(VAT)の一部の例外や免除を除き、今年は増税は予定されておらず、インフレ期待は改善していると付け加えた。
シムシェク財務相は「われわれはインフレ率を低下させる決意だ」と述べた。「今年はわずかに減少したからといって、私たちは引き下がるつもりはありません。我々は来年のインフレ率を14%に引き下げ、翌年には一桁に引き下げる。私たちは財政・金融政策から一歩も退きません。インフレ率が低下するまで取り組みを続ける」と述べた。
(政策金利は据え置きか)
5月23日に政策金利の決定がある。予想は50%で据え置きだ。
3月に予想外に前回の45%から50%へ5%の利上げを実施した。エコノミストらは、中銀の政策金利は2024年末には45%になると予想している。
政府が蔓延するインフレを制御すると宣言しているため、中央銀行に注目が集まっている。年間インフレ率は3月の68.5%から4月には69.8%に上昇した。
今月初め、四半期インフレ報告で中銀は2024年末のインフレ予想を従来の36%から38%に引き上げた一方、2025年と2026年のインフレ予想はそれぞれ14%、9%に据え置いた。中銀はインフレ率が中期的には5%で安定するとの見通しを示した。
カラハン中銀総裁は今月、「インフレ見通しの恒久的な悪化は絶対に許さない」と誓った。四半期報告書を発表し、「インフレ率が目標と一致する水準に低下するまで、金融引き締めスタンスを維持する決意だ」と述べた。
シムシェク財務相は先週、政府が実施している経済計画の良好な結果はインフレ期待に反映されていると述べた。市場参加者調査によると、2024年末のインフレ期待は4月の44.16%から5月には43.64%に低下した。
(海外投資家は、ここ10年以上で最も速いペースでトルコ国債を購入)
海外投資家は、トルコの金融政策の正統性とインフレ率低下の公約に勇気づけられ、ここ10年以上で最も速いペースでトルコ国債を購入している。
最新の中銀データによると、トルコのリラ建て債券への資本流入は5月10日までの週で28億ドルに達し、2013年以来最大の週間流入額となった。これにより、非居住者の国内債券保有額は最高水準となった。
昨年の選挙後、エルドアン大統領が元ウォール街銀行家のシムセク氏率いる、より市場寄りの経済当局者チームを任命して以来、外国投資家によるトルコ資産の購入が加速している。
その後の政策転換(中央銀行は2023年6月の8.5%から3月に政策金利を50%に引き上げた)により、トルコのソブリンリスクプレミアムの低下と世界的な格付け会社による格上げにつながった。非居住者が保有するリラ建てのトルコ政府債務は今年3倍近く増加し、入手可能な最新データの時点で68億ドルとなっている。
中銀が3月の会合で予想を上回る利上げを決定したことを受け、過去数週間で資金流入に新たな刺激が与えられた。世界に誇るトルコのリラキャリー取引にはさらなる利益の余地がある。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
円買い介入で下落も急回復、4.8台でもみ合う
日足、円買い介入では2σ上限から一時雲の下に沈み4.661をつける。ただ介入の高値4.897との半値の4.779を上抜く強さあり。5月16日-20日の上昇ラインがサポート。5月14日-20日の下降ラインが上値抵抗。5日線横ばい、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限で下げ止まり中位を上抜く。5月6日週-13日週の上昇ラインがサポート。4月26日週-5月6日週の下降ラインが上値抵抗。5週線上向き、20週線横ばい。
月足、2σ下限近辺で推移。3月-4月の上昇ラインがサポート。12月-4月の下降ラインが上値抵抗。
年足、9年連続陰線。その間52円から4円台へ沈む。円との熾烈な最下位争いから抜け出し、リラは12通貨中11位へ。
メルハバ
予算削減額は予想上回る 夏にインフレ緩和=副大統領
ユルマズ副大統領は、エルドアン大統領の全面的な後押しを背景に、インフレとの闘いを続けるトルコの新たな財政緊縮策による予算削減額が予想を上回るとの見通しを示した。
正統的な経済政策運営への回帰を指揮してきたユルマズ副大統領は、夏季に物価上昇が和らぎ、長年の物価高騰を経てインフレ率の沈静化に懐疑的になっているトルコ国民を納得させるのに役立つだろうとの見方も示した。
トルコ中銀の積極的な利上げに呼応し、ユルマズ副大統領とシムシェキ財務相は財政緊縮策を発表した。予算削減額の予測は示されなかったが、1000億トルコリラ程度に達する可能性があるとのアナリストの試算もある。副大統領は予算削減の規模に関し「それをはるかに上回ることになりそうだ」と述べた。
「私たちは、今夏に物価上昇が本格的に収まると考えている」とし、「日常生活に影響する問題が改善されれば、国民の認識にも好影響を与えるだろう」と言及した。
トルコの4月のインフレ率は70%だった。5月は75%前後でピークとなり、その後は金融引き締めを受けて、年末までに38%程度まで下がると中銀は予想している。ユルマズ氏も同調し、インフレ目標の達成への自信を示した。
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