為替介入リスクが高まるドル円、安全な通貨ペアでのドル買いとは【マット今井 実践トレードのつぼ】
収録日:2024/4/18
元邦銀ディーラーの今井雅人氏が現状の世界経済を詳細に分析し、今後の為替相場動向まで踏み込み見通しを示します。
時間がない方向け「ポイント要約」
目次
0:00 今回のダイジェスト
0:21 相場振り返り
1:13 為替介入の可能性
2:57 為替介入への備え
3:27 ドル円以外のドル買い
3:44 メキシコペソ円見通し
4:16 まとめ
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要約
先週、アメリカの消費者物価指数(CPI)が予想を上回ったことで、ドル高が進み、ドル円も152円を突破し、154円台に達しました。一時期、マーケットではアメリカの利下げが6月頃から始まるのではないかという観測が流れていましたが、その期待が打ち砕かれたことでドルが強くなっています。
私は以前から、そう簡単に利下げが始まるとは考えておらず、今もその見方は変わりません。したがって、少なくとも今年の前半はドル高が続くというシナリオを想定していますが、そういう流れになってきました。
このような状況下で懸念されるのが、ドル円でドル売り・円買いの為替介入があるのではないかということです。ドル円が152円を上抜けたので、いつ介入が行われてもおかしくありません。警戒して注視していましたが、これまでのところ日本政府は全く動かないため、拍子抜けというか、よくわからない状態です。
そんな中、昨日、日米韓の財務大臣会合が初めて行われました。自国通貨安に苦しんでいるのは日本だけでなく、韓国もウォン安に悩まされています。会合後の共同声明では、「最近の急速な円安・ウォン安への日韓の深刻な懸念を認識し、外国為替市場の動向について引き続き緊密に協議する」と、円安とウォン安がやや行き過ぎだというメッセージが発信されました。
鈴木財務大臣は、為替について日米での意思疎通を確認したと発言していますので、これだけを見ると、いつ為替介入が実施されてもおかしくない状況だと言えます。ただし、実際にいつ行われるのか、本当に行われるのかは予測が難しく、わかりません。とはいえ、昨日の共同声明を踏まえると、いつ介入があってもおかしくないでしょう。
万が一に備えておくことが重要ですが、過去の事例では、ドル円が一時的に4~5円ほど下落した後、急速に元の水準に戻るという展開が見られました。しかし、いつ介入が実施されるのか、本当に実施されるのかが不透明なため、対応が難しくなっています。ただ、現状では介入の可能性を意識しながら対応するしかありません。
私が最も安全だと考えているのは、ドル円以外の通貨ペアでのドル買い、例えばユーロ売り/ドル買いです。これらは為替介入の影響を受けにくいため、ドルを買っておくのが賢明だと思います。
メキシコペソ円は9.3円を超えましたが、最近は売り圧力が強まっています。これは米国の長期金利上昇の影響を受けていると考えられるため、調整局面に入ったと見てよいでしょう。ただし、調整の範囲内であり、大幅な下落は想定しにくいと思います。下値は恐らく9.0円程度であり、それ以上下がるのは、よほどのことがない限り、ないのではないでしょうか。
まとめると、米国の利下げはかなり先になりそうで、その前提でドル高が続くと予想されます。ただし、ドル円については介入リスクがあるので注意が必要です。メキシコペソ円は調整局面に入ったと考えられます。以上のような認識を持って、これから1週間を乗り切っていきたいと思います。
今井雅人 氏
1962年生まれ、岐阜県下呂市出身。上智大学卒業後、1985年に三和銀行入行、1987年よりディーリングの世界に入る。1989年から5年間シカゴに赴任、その間多くの著名トレーダーと出会う。日本に戻ってからは為替部門に従事。2004年3月までUFJ銀行の為替部門の統括次長兼チーフディーラーを勤めていたが、同年4月に独立。内外の投資家にも太いパイプを持ち、業界を代表するトレーダーとして活躍するが、2009年8月第45回衆議院選挙に立候補し、初当選。現在は、経済アナリスト活動など多忙な毎日を送る。元東京外為市場委員会委員、東京フォレックスクラブ理事歴任。株式会社マットキャピタルマネージメント代表取締役。
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