執筆:外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2023年7月7日 16時20分
買い急ぎ注意、CPIの結果を見てからでも遅くはない
7月3日週の米ドル/円はじり安
米ドル/円は、景気後退リスクと日米金利差拡大観測に挟まれて明確な方向性が出にくかったものの、米イベント前のポジション調整もあって、さえない展開でした。米国の6月ISM製造業景況指数が2020年5月以来の低水準となったことを受けて、米国のリセッション懸念が意識された場面で、米ドル/円は143.978円まで売りが先行しました。
さらに需給面や外部環境の悪化を嫌気して日経平均株価が大きく下げると、米ドル/円は143.557円までさらに下げ幅を広げました。その後、米国の好調な雇用指標や底堅いISM非製造業景況指数から、米ドル/円は144.654円まで切り返したものの、さらに上値を買っていくには材料が不足していたようで、買い一巡後は143.355円まで下げ幅を広げました。(各レート水準は執筆時点のもの)
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
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米9月利上げ期待高まるかCPIに注目
7月25-26日のFOMC(連邦公開市場委員会)を前に、7月12日の米6月消費者物価指数(CPI)、同日の米地区連銀経済報告(ベージュブック)、7月14日の米7月ミシガン大学消費者態度指数・速報値と最終チェックポイントが控えています。これらを通過して、7月・9月の連続利上げ期待が高まるかどうかが注目されます。インフレ鈍化がサービス分野にも広がりつつあることを示す指標結果も散見されますが、底堅い消費やスーパーコアと呼ばれる住居費を除くコアサービスのインフレ率は高止まりしており油断できません。
ディスインフレのペース鈍化が限定的であることが改めて示されれば、FRBの利上げ回数見通しが上方修正され、米ドル/円は底堅さが増しそうです。また、昨年FRBの利上げ加速の一因ともなったミシガン大学消費者態度指数における1年先の期待インフレ率の動向にも、一応注意が必要と考えます。インフレ期待は直近では3.3%と、2021年3月以来の水準へ低下していますが、これが反発基調を示すようだと、インフレ低下のスピード鈍化が意識されるかもしれません。逆に、インフレの落ち着きがさらに広がっている様子が窺えれば、利上げペースのさらなる減速観測から、米ドル/円は調整の流れが強まるかもしれません。もっとも、投資家の視線は金融当局の利上げ姿勢よりも、景気動向に視線が移っているようで、株価動向にも注意が必要でしょう。
米ドル/円、調整幅広がれば141円まで下落も
米ドル/円は、上向きのトレンドは変わっていないものの、短期的にはサポート材料が緩んでおり、下方向が意識されやすい状況のようです。目先の支持線である21日移動平均線(142.673円)を下回れば、6月1日安値(138.388円)から6月30日高値(145.071円)までの上昇幅の61.8%押しとなる140.941円付近まで調整が深くなる危険はあります。上方向は、145.00円の心理的節目が上値を抑制しそうです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ:USD/JPY:141.000-145.000
7/10 週のイベント:
7/10(月) 8:50 日本 5月国際収支
7/10(月) 14:00 日本 6月景気ウオッチャー調査
7/10(月) 23:00 米国 バーFRB副議長、発言
7/10(月) 24:00 米国 デイリー米サンフランシスコ連銀総裁、発言
7/10(月) 24:00 米国 メスター米クリーブランド連銀総裁、発言
7/10(月) 25:00 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
7/12(水) 8:50 日本 5月機械受注
7/12(水) 8:50 日本 6月国内企業物価指数
7/12(水) 21:30 米国 バーキン米リッチモンド連銀総裁、発言
7/12(水) 21:30 米国 6月消費者物価指数(CPI)
7/12(水) 22:45 米国 カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、発言
7/12(水) 26:00 米国 ボスティック米アトランタ連銀総裁、発言
7/12(水) 27:00 米国 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
7/12(水) 29:00 米国 メスター米クリーブランド連銀総裁、発言
7/13(木) 8:50 日本 対外対内証券売買契約等の状況
7/13(木) 21:30 米国 6月卸売物価指数(PPI)
7/13(木) 21:30 米国 新規失業保険申請件数
7/14(金) 7:45 米国 ウォラーFRB理事、発言
7/14(金) 21:30 米国 6月輸入物価指数
7/14(金) 23:00 米国 7月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
一言コメント
今年はコロナ感染症の5類移行で、各地で花火大会が開催されます。日程を見ると、関東では8月5日が集中日のようです。日程が重なることで、かえって一か所に集中しなくて済むため、ゆっくり眺められる可能性もありますね。
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